babycoオンラインコンテンツディレクターであり、雑誌・書籍の編集者。カナダで短期大学、映画制作専門学校卒業後、新聞記者、ラジオDJ、TVドラマの編集など多様な分野の知識を得て帰国。帰国後は雑誌編集を中心に活動し、広告案件においても企画・コンセプト立てから担う。ライフスタイルを得意とし育児媒体には20年携わっている。
授乳をするたびに不快感をいだいてしまうことからママたちを悩ますディーマー (D-MER=不快性射乳反射)。
その原因と対処法について、助産師さんの実体験をもとにアドバイスをもらいました。
1982年に桶谷式乳房管理法研修センターを開設した助産婦・桶谷そとみ(1913〜2004)の意志を引き継ぎ、550名以上の助産師が全国の助産院(母乳相談室)や病産院で母乳育児をサポートしている。
赤ちゃんのことはかわいいし大切なのに、なぜか授乳をするのが不快…授乳をするのがイヤ…そんなママは意外と多いんです。
これは生理的な現象で、ディーマー (D-MER=不快性射乳反射)と呼ばれているもの。
ディーマー については実はまだわかっていないことが多く文献も少ないのですが、日本助産師会の「乳腺炎ケアガイドライン2020刊行に寄せて」によると
不快性射乳反射 dysphoric milk ejection reflex(D-MER)とは
母乳育児中の母親の射乳反射の30 ~ 90秒前に、胃の不快感、不安、悲しみ、恐怖、気分の落ち込み、緊張、感情的な動揺、いらいら、絶望感、否定的な感情が現れ、射乳反射のたびに繰り返される不快症状。個人の成育歴や分娩の体験などは影響しない。ドーパミンが介在していることはわかっているが、症状が出る母親とそうでない母親がいる理由はわかっていない。
とされています。
原因はどうやらドーパミンのよう。授乳の際ドーパミンが低下することが原因なのでは? と考えられています。
母乳分泌には、
◆乳汁を生産するプロラクチン
◆射乳させるオキシトシン
など、いくつかのホルモンが深く関わっています。
赤ちゃんがおっぱいを吸うとその刺激によって母乳を作るホルモンであるプロラクチンの血中濃度が上昇し、その時に脳内のドーパミンが一時的に低下するのです。
ドーパミンは幸せホルモンのひとつとして知られていますが、乳汁の分泌(射乳)とも関わりがあるのです。
\母乳の分泌についてはコチラ/
CLICK▶︎<助産師監修> 母乳が出る仕組みって?おっぱいの形や大きさは母乳の出とは関係あるの?
わかっていないことが多いとはいえ、わかっていることもあります。それは、
ということ。
生理的な現象なので、「私がいけないの?」などと自分を責めないでくださいね。
母乳が不足しているからでもありません。
babycoのインスタグラム公式アカウントで
「ディーマー だと感じたことはありますか?」とアンケートで聞いてみたところ、28%のママが「ある」との回答でした。
アンケートに回答してくれたママの声をひろってみると
と症状もさまざまでした。
胃に不快感があったり吐き気をもよおしたりと体に症状があらわれることもあれば、不安や悲しみを感じたり、気分の落ち込み、イライラ、絶望感を感じることも。
こうした症状があることから「産後うつなのでは?」と心配するママもいるかもしれませんが、ディーマーと産後うつは別ものです。
\産後うつについてはコチラ/
CLICK▶︎誰もがなりうる産後うつ。ツラいなと思ったら、パパや家族に話して!
ディーマー(不快性射乳反射)は授乳が引き金になって起こる生理的な反射現象で、一般的には約90秒ぐらい、長くとも数分で症状が落ち着くことがほとんどです。
約90秒から数分で症状が落ち着くといっても、授乳のたびに不快感をいだくのはつらいものですよね。
期間としてはどれぐらい続くのかも気になるところでしょう。
実は、不快な症状が人それぞれなように期間も人それぞれなのがちょっぴり厄介。
産後3ヵ月ぐらいで落ち着く人もいれば、授乳をしている期間は断乳をするまで続いたという人もいます。
つらいと感じたときは、母乳外来や助産師に相談をしてみましょう。一人ひとり期間や症状も違うので、一人ひとりに合わせた対処を個別相談するのが一番です。
ディーマー(不快性射乳反射)が知られるようになったのは2007〜8年のことです。
それ以前は、助産師でもその症状に悩まされ、原因も対処もわからなかったケースがあるそう。
原因や症状がわからないとますます不安になってしまうものですが、
◆生理的な現象
◆授乳中になるもの
◆数分以内に落ち着く
◆産後うつや愛情不足、母乳不足ではない
といったことがわかっているだけでも少し安心できますよね。
桶谷式母乳育児相談室にも、ディーマー について相談に来るママがいらっしゃるそうです。
そんな時は、
どんな不快感があるのか症状を共有
▼
一時的なホルモンの変化によるものであることを理解してもらう
▼
できる限り授乳を続けられるよう手助けをしていく
そうです。
赤ちゃんが吸いつき、ツンツンと反射する2~3分は、授乳からママが気をそらすなどの工夫も提案しているとか。
例えば…
<ディーマーの対処法>
・好きな音楽を流す
・アロマやお香など香りからリラックスする
・楽しい事を想像する
・お茶を飲みながら授乳する
・おしゃべりしながら授乳する
など。
「楽しいことを想像するって!」とツッコミを入れたママ。
実は、この「楽しいことを想像する」というのが侮れないのです。
ディーマーの原因は「授乳の際ドーパミンが低下することが原因」と考えられていることをお伝えしましたが、楽しいことを想像するとドーパミンが分泌することがわかっています。
ほかにも、「授乳が終わったらチョコレートを食べよう」など、ご褒美を想像することもいいそうです。
また、桶谷式手技(乳房マッサージ)を施すとお乳が柔らかくなりおすすめです。
というママも。
大切なことは、ママ自身のストレスを軽減すること。
ひとりで抱え込まずに、家族や助産師に「授乳が苦痛」と相談してみましょう。決して恥ずかしいことではないですよ。
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ママの母乳育児に関する悩みには
■おっぱいが足りているか不安
■おっぱいが痛い、これって乳腺炎?
■赤ちゃんがうまくおっぱいを飲めていないみたい
■断乳をどうやって進めたらいいの?
など、たくさんありますよね。
そんなママの悩みを解決してくれるのが、桶谷式の助産師の方々。授乳や搾乳の方法など母乳育児に関することなら、なんでも答えてくれるエキスパートです。
例えばおっぱいが出にくいという悩みには、オリジナルの乳房マッサージで柔らかくしておっぱいを出やすくしてくれたりもします。
直接悩みを相談したい!というママは、全国約330箇所にある「桶谷式母乳育児相談室」に、気軽に相談することもできますよ。
ひとりで抱え込まずに、以下「OPPA!」 から気軽にご相談ください。
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ後進達によって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。
監修:公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会
イラスト/SVTdesign