家庭料理は“自分軸”よりも“家族軸”。パパの「思いやり力」で食卓がもっと楽しくなる|先輩パパからbabycoパパへエールを!インタビュー②滝村雅晴さん(後編)

babyco vol.57の特集「パパの産休・育休」では、babycoママ・パパの声を中心に取り上げました。ですが、もう少しパパのリアルな声を聞き出したいところ…。そこで、パパ代表として2名の先輩パパにお話を伺っていきたいと思います!
お二人目は、パパ料理研究家としてオンラインの料理塾を毎週末開催している滝村 雅晴さん。インタビューの前編では、料理の家事分担の考え方、料理のTPOや6つの“シェア”についてお話ししていただきました。

後編では、パパが家族に料理を作る上で持っておきたい「思いやり力」のお話や、食事の時間がなぜ家族にとって大切な理由を語っていただきます♪

家族への「思いやり力」、パパは持てていますか?

編集長(太田):滝村さんご自身も、過去には家計のことを気にせず高いお肉を買っていた(インタビュー前編はこちら)とのことですが、料理教室で20代、30代のパパとふれあっていてもそう感じますか?

滝村さん:世代によって変わると思います。最近の20〜30代の男性は、彼らのお父さん世代の50〜60代の男性よりも料理への苦手意識が少なく、料理経験もある方が多い気がします。趣味で料理を始めるというよりは、倹約のために料理を始めた方も多い世代だと思いますね。“急に料理を始めた世代”が、焼肉屋さんの感覚で高いお肉を買ってくる感じかな。

趣味料理の感覚で買いものをしてしまわないように気をつけることも大事なんですが、ぼくは、パパたちには「思いやり力」を持てるように意識してほしいですね。夫婦生活を送りながらお互いに気づいていくものなので、いつの時代も最初から「思いやり力」のあるパパは少ない気はしますが。

 

自分の損得ではなく、家族のために自分の時間を使うのが子育て

編集長(太田):それは、何に対する「思いやり力」ですか?

滝村さん自分の妻がどれだけ大変なのかしんどいのか妊娠と出産を経験してすぐの産前産後がどれだけつらいのか妻がすごくがんばり屋で責任感のある人だったら、夫はそれに甘えるのか。そういう想像力です。

家事や料理も含めて、自分の損得ばかりを考えて夫婦生活を送ると、自分の自由な時間をどんどん奪われていきますよね。赤ちゃんのお世話で時間が取られて、「本当はもっと仕事に関わる勉強をしたかった」「もっと遅くまで飲み会に参加したかった」とか。
自分の時間が削られることがネガティブに感じるなら、一緒に子育てをするのはしんどいでしょう。自分の24時間のうち、妻や子どもののっぴきならないことで奪い取られる。それが家族であり、子育てなんだっていうマインドのチェンジをしていかないと。

だからこそ、産休や育休で一緒に仕事を休んで、家のなかでコミュニケーションをとりながら子育てをするっていうのは、「よーい、ドン!」で一緒に価値観をつくっていくので、すごくいい機会だと思いますよ。

 

子育てを楽しむ秘訣は、なんでも自分からチャレンジすること!

編集長(太田):そのマインドチェンジのきっかけになるかわからないのですが、離乳食作りなんかも一緒に経験しておくといいんでしょうか?

滝村さん言われてやることと自分で調べて理解することって、理解度や習得度が全然違うんですよ。
離乳食は4期に分かれていて、すりつぶし加減や食べられるものが違うっていうのをママたちは勉強して実践するわけですよね。それで自信を持って離乳食を作っているわけなので。その勉強と実践をすっ飛ばして、「とりあえずおかゆだけ作っておいて」「ほうれん草だけつぶしといて」ってパパにお願いしても、“なんでこのタイミングでこうなのか”がわからないとただの作業なので。離乳食がなぜこの時期にこうなのか?っていうのをパパ自身も覚えようとしたほうが、絶対に楽しいです。

夫婦でお互いにはじめてのことだらけなので、「離乳食って4期に分かれてるの知ってる?」ってコミュニケーションをとりながら学んでいけたら、楽しそうじゃないですか。

編集長(太田):そういう会話も大事なコミュニケーションですもんね。

 

食事は、1日のなかで家族が“同じ場所で同じものを共有する”大事な時間

滝村さん:そのコミュニケーションをする一番の居場所が、「食卓」だとぼくは思うんです。
一緒にごはんを食べる瞬間に普通の会話をするって、すごく自然なことじゃないですか。食卓以外に家族が会話をするタイミングって、意外とないんですよね。子どもが大きくなったら、すぐ自分の部屋に戻っちゃったりするし。

編集長(太田):たしかに、リビングや玄関、お風呂やトイレなど家には家族の共有スペースがたくさんありますが、例えばリビングだったらテレビを観ている人がいればゲームをしている人もいますよね。同じ空間にいても、家族全員がまったく同じことをしてるってそんなにないと思うんです。
そう思うと、1日の生活のなかで“同じ場所で同じものを共有する”って、ごはんくらいなのかなと思いました。

滝村さん:一緒にごはんを食べてお互いに散々おしゃべりをしたら、あとはもうみんな自由な時間でいいと思うんです。食卓で過ごす時間をすっ飛ばすと、相当、お互いに何をしているかわからなくなる気がしますよ。
ぼくはもう、一緒にごはんを食べる時間が楽しいっていうのが、人間にとって何よりの「幸福」だと思います。

 

編集長(太田):私の母の話になりますが、家族で一緒に食べるというよりも、まずは家族に温かいごはんを食べさせることが優先という気持ちのほうが強い気がしていて。
私たちが食べているときに母はまだキッチンにいて、母が「やっと食べられる〜」と食卓についた頃にはみんなが食べ終わっちゃってることがあるんですね。母の分のごはんがもう冷めちゃっているのが悲しくて、「お母さんと一緒に食べたい」と思って待っていたこともありました(笑)。

滝村さんその自己犠牲が、お母さんのモチベーションだったりするかもしれないですよね。「たまには一緒に食べようよ」って言ったら、「私はみんなのためにがんばってるのに!」って思うかもしれない。
夫婦のコミュニケーションとして、“最初に感謝を伝えてから気持ちを伝える”っていうクセをつけるといいと思います。「いつもごはんを作ってくれてありがとう、今日はぼくらも待ってるから一緒に食べようよ」って。

あと、そうやって一緒に食べられないのって、お母さんの料理の段取りが悪くてそうなっているわけじゃないかもしれないんですよ。気づいた家族がテーブルを片づけておくとか、食器を出しておくとか、“ママが調理に集中できる時間”をつくってあげると、それだけでも一緒にごはんを食べる時間が増えますよ。

 

“自分”ではなく“家族”を軸に食事を作ると、食卓で愛されるパパごはんになる

編集長(太田):これまでは「食べる」という視点でお話を伺ってきましたが、「食べさせる」という経験はパパの子育てや料理をする気持ちにどう響くと思いますか?

滝村さん:料理を作っていない人って、「自分がおいしい」「自分が食べたい」と“自分軸”で判断しがちなんです。でも、本当の家庭料理には「自分じゃない人も食べる」という“家族軸”の視点が大切です。

パパが離乳食を作って子どもに食べさせる経験をしていたら、「こんなちょっとしか食べられないのか!」「こんなものでも食べられないのか」って、食べられるもの、食べられないもの、量、味、しょっぱさとか、膨大な量の“はじめて”が得られるんですね。

反対に、離乳食を作って食べさせる経験をしていないパパがいきなり料理に目覚めると、子どもが食べられない辛さだったり、肉が大きすぎる、噛み切れない、そういうことが起こる。子どもが食べないのは、好き嫌いなのか? 食べにくいからなのか?がわからないんです。
相手が何を食べられるのかっていうのを知りながら子育てをすると、子育てや夫婦に必要な「思いやり力」が身につくと思いますね。

 

お話を伺った先輩パパ:滝村 雅晴さん

ゆとりうむプロジェクト理事。株式会社ビストロパパ 代表取締役。食育、男女共同参画、WLB(Work Life Balance)、働き方改革を、男性の家事料理参画から推進する日本で唯一のパパ料理研究家。家族がともに食事ができることは当たり前ではないことを世に伝え、食卓の笑顔を増やしている。

 

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