食品会社での会社員経験をしたのち、スキー雑誌の編集部に勤務。その後、フリーライターとなり、スキーやスノーボード、ボディボード、ゴルフ、自転車、旅行、ファッションなどさまざまなジャンルを執筆。桶谷式母乳育児で子育てをした一児の母でもあり、現在はbabycoにて自分の育児経験を生かした記事の執筆を行っている。
冬の寒い時期は布団から出るのもおっくうになるので、夜の授乳ではついつい添い乳をしたくなりますよね。ママが体を横にしながら、赤ちゃんに授乳できる添い乳。添い乳ってしても大丈夫かな?と気になっているママに。助産師がお答えします!
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ助産師たちによって、母乳で育てたいママを「技」と「心」でサポート。 桶谷式乳房管理士(助産師)が全国に約330施設ある桶谷式母乳相談室などで母乳育児支援活動を行っている。
https://www.oketani.or.jp/
寒くなると、つい添い乳ですませたくなる夜間授乳。でもじつは、添い乳は赤ちゃんにとってもママにとってもおすすめできる授乳方法とはいえないんです。
「おすすめできないと言われても、寒いし&眠いし、添い乳したっていいよね?」
と思ってしまったママもきっといますよね?!
「添い乳をしない方がいい」理由はいくつかあるそうです。その理由について助産師さんに教えてもらいました。
どんなに寒い夜で添い乳をしたくなっても「起きて授乳をしよう!」という気持ちになれるように、添い乳がどうしてダメなのか、具体的にご紹介していきましょう。
「冬の夜間授乳の場合も、赤ちゃんの生活リズムを作るためにもできるだけ起き上がって、正しい姿勢で抱っこをしながら授乳をするようにしましょう。そして夜間も3時間ごとの授乳のペースを守ることが、ママの母乳を作るうえでもとても大切なんですよ」
CLICK▶︎<助産師監修> 夜間の授乳はどうしたらうまくいくの?昼と夜はどう違うの?
赤ちゃんとママが横になって、赤ちゃんの体と触れ合いながら寝かしつける「添い寝」。
赤ちゃんの寝つきがよくなかったり、夜泣きに悩まされることもあると思います。そんな時に「添い寝」をしてあげると、赤ちゃんはママにぴったりくっついて安心して眠ることができるので、「添い寝」は問題ありません。
そしてそんな添い寝をしながら授乳することを「添い乳」といいます。
「添い乳」は、決して赤ちゃんに授乳しながらママも一緒に眠るというものではありません。ママと赤ちゃんが横になった姿勢で授乳をすることです。
添い乳はどうしていけないのでしょう?
添い乳をしているとママも不自然な姿勢になるために肩や首が凝ってしまいます。また、片側の乳房だけで授乳を終えてしまうママも少なくありませんから、あげなかった方の乳房がつまったりして乳房トラブルを引き起こすこともあります。
ほかにもいくつかのデメリットがあります。
例えば添い乳で横になったまま授乳をしていることで、ママがついウトウトとしてしまうことも多くなりますよね。きちんとゲップをさせてあげないと、中耳炎を引き起こす可能性もあるんですよ。それに赤ちゃんの窒息事故へとつながり、とても危険なことに!
添い乳にはこのようなリスクがあることを知っておきましょう。
添い乳の注意点
添い乳は正しい姿勢での授乳ではないため、乳房や乳頭をつぶして飲ませることなってしまい、母乳の出方にムラが出たり、母乳がたまりがちになって詰まらせたりというトラブルの原因になります。順番にデメリットを整理してみましょう。
赤ちゃんが上手に母乳を飲めると、飲み終わった後の乳首の形は丸くなっています。ところがうまく飲めていないと乳頭がつぶれたり、一部分がとがっていたりしてしまい、乳腺炎や乳頭亀裂などの原因になるのです。いつもちゃんと赤ちゃんが乳輪から大きく深くくわえて、上手に飲めるようにしてあげてくださいね。
添い乳は、赤ちゃんが母乳を飲み終わったあともそのままいつまでも乳首をくわえて、おしゃぶりのようにクチュクチュしているだけの状態にもなりやすく、いわゆる「だらだら飲み」になってしまいます。だらだら飲みをしていると、授乳間隔がずれてしまい、母乳の出方も安定しなくなってきてしまいますし、ママも疲れてしまいます。
それが一度や二度のことならまだよいのですが、クセになってしまって、おっぱいを加えていないと寝ない赤ちゃんになってしまうことも。
また、添い乳をしているとママ自身もうとうとしてしまって、どのくらいの時間授乳しているのかわからなくなることもあるので、やはり母子ともにけじめをつけられるよう、起き上がって正しい姿勢で授乳をするにこした事はありません。
消費者庁からは、添い乳をしているときに赤ちゃんが窒息死する事故についても発表されています。
例えばママが赤ちゃんの方に横向きになって赤ちゃんの頭を寄せて授乳をすると、ママの体が赤ちゃんに少し覆い被さるようになります。
万が一、ママがうとうとと眠ってしまうと、赤ちゃんにのしかかるような体勢になってしまうことも。
すると赤ちゃんの鼻や口がママの体で塞がれてしまい、息ができなくなってしまうのです。
こうした添い乳中の窒息事故は、年に数件報告されています。ぜひ添い乳をせずに、起き上がって授乳をしてあげるようにしてあげてくださいね。
消費者庁リリース「0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください! 」によると、「具体的な注意ポイント」として
1)大人用ベッドではなく、できるだけベビーベッドに寝かせ、転落しないように、柵は常に上げておきましょう。
2)子供用の軽い掛け布団を使用し、敷き布団やマットレス、枕は、子供用に固めの物を使用しましょう。
3)寝ている子供の顔の近くに、口や鼻を覆ったり、首に巻き付いてしまったりする物は置かないようにしましょう。
4)寝室には、子供の頭や顔が挟まってしまう隙間をなくしましょう。
5)1歳になるまでは、寝かせる時はあお向けに寝かせましょう。
6)添い寝をしたまま寝込んでしまい、保護者の身体の一部で子供を圧迫してしまわないように注意しましょう。
と記載されています。
添い乳をした後にうっかり寝てしまって...といったことにならないようにくれぐれも注意したいですね。
添い乳で授乳をすると、赤ちゃんが横になったままなので母乳が鼻の方に回ってきて、中耳炎(ミルク性中耳炎)になることがあると言われていました。ところが、現在では中耳炎の原因としては、逆流性食道炎によるものと考えられています。これは飲ませる時の姿勢というよりも、添い乳で飲ませた後にゲップをさせずにママも赤ちゃんも寝てしまうと、飲んだものがそのまま出てきてしまうことがあるのです。赤ちゃんの胃の中の母乳が逆流して、口から耳に行ってしまい、中耳炎に!
夜間授乳をした時にも、授乳後はちょっと赤ちゃんを起こして、背中をたたいてきちんとゲップさせてあげるようにしましょう。
【参考文献】
▶︎「ミルク性中耳炎」国立成育医療研究センター耳鼻咽喉科診療部長(ドクターサロン63巻より)
▶︎第 6 回 日本小児耳鼻咽喉科学会シンポジウム「授乳時と中耳炎」
夜間授乳は、ママも眠くて授乳が終わったあとにゲップをさせるのを忘れてしまうこともあるかもしれませんが、ゲップをさせてあげないと嘔吐したり、中耳炎になることもあるので、背中トントンしながらきちんとゲップを促してあげましょう。
ただし、「ゲップが出ないこともある」ということも知っておきましょう。
特に母乳育児の場合は赤ちゃんが深く乳頭をくわえて母乳が飲めていると、一緒に飲み込む空気量が少ないので、ゲップが出ないこともあります。赤ちゃんが母乳を飲んでいるときに、空気が漏れているような音を立てていたり、乳頭の含み方が浅い場合には空気を飲み込んでいる可能性が高いので、このような時には、授乳後に縦抱きにして、背中をトントンと叩いてあげてみてください。それでも心配な場合には、寝かせるときに横向きや背中を少し高くしてみてあげてくださいね。万が一、赤ちゃんが母乳を吐いてしまっても安心ですよ。 赤ちゃんへの授乳は3時間ごとと言われています。それはママのおっぱいが母乳を作るタイミングを考えてのこと。夜だけ間隔が空いてしまうと、母乳が溜まってしまい、乳腺炎の原因になることもあるので、夜間も3時間ごとの授乳ペースを守るように習慣づけましょう。寒い冬の夜についつい添い乳をしないようにするために、ママの体を冷やさないような授乳下着を着て、寝室に羽織る物や暖房器具を用意して、母乳育児にそなえましょう。
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ママの母乳育児に関する悩みには
■おっぱいが出ていないみたいで不安
■おっぱいが痛い
■赤ちゃんがうまくおっぱいを飲めていないみたい
など、たくさんありますよね。
そんなママの悩みを解決してくれるのが、桶谷式の助産師の方々。授乳や搾乳の方法など母乳育児に関することなら、なんでも答えてくれるエキスパートなんですよ。
例えばおっぱいが出にくいという悩みには、オリジナルの乳房マッサージで柔らかくしておっぱいを出やすくしてくれたりもします。
今回はそんな桶谷式の助産師さんたちに、ママたちから寄せられたご質問「冬の夜間授乳」について質問してみました。
直接悩みを相談したい!というママは、全国約330箇所にある「桶谷式母乳育児相談室」に、気軽に相談することもできますよ。
授乳や搾乳の指導も行っているので、以下「OPPA!」 から気軽にご相談ください。
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ後進達によって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。
イラスト/いいあい