babyco編集長。書籍編集者。
新潟の山奥で肉用牛を飼育しながら、野菜やくだものを育てる祖父母のお手伝いをきっかけに、丹精込めて作られた食材のおいしさ、食べることや命の大切さを学ぶ。特集記事、離乳食やママごはんなど幅広く担当。ママ・パパの気持ちに寄り添った記事の制作を心がけている。
離乳食の後期〜完了期に始まる「手づかみ食べ」。“自分の手で食べものをくちに運んで食べる”という、食事のステップアップのための練習期間です。
手づかみ食べが赤ちゃんの成長に大切な理由と、ママが抱えがちな手づかみ食べに関するお悩みにお答えします。
赤ちゃんは、自分で食べものをくちに運ぶときに「食べものとくちの距離」「手で食べものをくちに運ぶ感覚」を覚えます。また、
● 熱い、冷たい
● かたい、やわらかい
● ベタベタ、ツルツル
といった食べものの温度や感触を、手でさわることで感じ取るのです。
手づかみ食べをスタートすると、はじめは力加減がわからずに食べものをつぶしてしまったり、落としてしまったりすることもあるでしょう。
食べものをくちまで運べても、上手にくちのなかに入れられないこともあります。自分のひとくちの量もわからないため、たくさん詰め込み過ぎてのどにつっかえそうになることもあるかもしれません。
ですが、そうしたことをくり返しながら、ひとくちの量を覚えて、前歯で噛み切ることを学び、モグモグと噛んで食べることを習得していくんですね。
ゆくゆくはスプーンなどを使って自分で食べるようになりますが、その前に、「手づかみ食べ」を通じて自分の手で食べものをくちに運んで食べるという練習をしているのです。
手づかみ食べはいつからスタートするのがいいのか、また、手づかみ食べの際にはどのような食べものから始めたらいいのかなど、ママとしては気になりますよね。
babycoママから多く寄せられた8つの質問をピックアップして、母子栄養指導士の先生に答えていただきました。
赤ちゃんが自分から進んで食べものに手を伸ばし始めたら、手づかみ食べスタートの時期と考えてよいでしょう。
すべてのものを手づかみ食べさせようとすると、全部食べるのに時間がかかってしまい飽きて遊んでしまう原因になることがあります。
まずは、赤ちゃんのつかみやすそうなものを1つか2つ用意し、20分くらいで食べきれるように準備するとよいでしょう。
手がベタベタになるのをいやがる赤ちゃんもいるので、最初は“手にくっつきにくいメニュー”から始めてみましょう。
また、やわらかすぎると手で握りつぶしてしまう場合があるので、例えばサイコロ状やスティック状に切ってゆでただけのにんじん、大根、かぼちゃ、さつまいもなどがおすすめです。
手づかみ食べをすることに慣れてきたら、おにぎりやおやき、ハンバーグなど、手につきやすいものややわらかめのものへと進めていきます。
「粘りけ」も、食べものの大事な感触のひとつです。ベチャベチャしたものを手づかみ食べさせると、あとで片づけるママが大変ですが、心と時間に余裕があるときなどにぜひチャレンジしてみましょう。
手にくっつくのがいやな子もいますので、無理はさせなくて大丈夫ですよ。
手にくっついたものを振り回したり、遊び始めたりしてしまうこともあるでしょう。そのときは、手にくっつきにくくなるように軟飯を小さめのおにぎりにして、青のりやしらすなどをまぶすなどの工夫をしてみてはどうでしょうか。
おにぎりにしたあとにアルミホイルに並べて、オーブントースターで軽く焼いてカリッとさせるのもおすすめです。
本格的に遊びに発展したり、食べ終わるのに時間がかかったりするようなら、いったん食事を切り上げます。
赤ちゃんは、どのくらいの量をくちに入れて大丈夫なのかわからないため、詰め込みすぎることがあります。また、噛む力が弱いために、前歯だけでは噛み切りにくいものがあると一度に全部をくちのなかに入れてしまう場合があります。
食欲が旺盛な子だと、「目の前にあるものを食べたい!」という気持ちが強いあまり、くちのなかに食べものが残っていてもどんどん入れようとしてしまうこともあります。
噛み切りにくい食べものに関しては、赤ちゃんのひとくちサイズに切るなどの工夫をしてみましょう。また、食べたい気持ちが強い子には「おくちのなかがなくなってから、次のものを食べようね」などと声をかけてあげるといいですね。
手づかみ食べを始めてすぐの頃は、どのくらいをくちに入れたらいいのか赤ちゃんはわかりません。スティック状でも、“噛み切る”ということを知らずに全部くちに入れようとして「おえっ」となる場合があります。
子どもに食べさせるときにママやパパが食べものを噛み切るようすを見せたり、「カミカミしようね」と声かけてあげたりしながら練習していきましょう。
遊び食べかどうかの判断は難しいですが、握りつぶしてしまう理由としては、まだ力加減がわかっていないからです。どの程度の力でつぶれるのかを、体感して覚えているところなんですね。
「食べものは遊ぶものじゃないよ」と声をかけつつ、20分を過ぎてもくちに入れようとしないなら、いったん片づけて食事を切り上げましょう。
子どもが手づかみ食べをしようとしない理由として考えられるのは、食べることに興味が持てなかったり、手が汚れるのがいやだったりします。
まずは、ママやパパがおいしそうに手づかみ食べをしている姿を見せたり、「一緒に食べよう!」と声をかけながらごはんをて渡りしてみたりして、関心を手づかみ食べに向けてみましょう。
それでも手を伸ばすようすが感じられないなら、ママやパパが食べさせるときに、スプーンやフォークではなく手で食べさせてあげてもいいかもしれませんね。
わが子が、いずれはひとりでごはんを食べられるようになるために大事なステップとわかってはいても、食卓や床に落ちたごはんを毎回そうじするのは大変ですよね。
食後のそうじがラクになる工夫として、床には新聞紙や小さめのレジャーシートをしいておくとよいでしょう。新聞紙は食事が終わったら捨てるだけですし、ある程度の水分も吸ってくれます。レジャーシートなら水洗いもできますよ。
テーブルの上にはシリコンマットをしいておくのがおすすめです。手づかみ食べの時期は、ごはんをこぼすだけでなく食器を落とすこともしばしば。シリコンマットなら食器のすべり止めにもなり、テーブルからマットが落ちる心配も少なくなります。
赤ちゃんのおなか側に食べこぼしポケットがついているタイプも便利です。