babycoオンラインコンテンツディレクターであり、雑誌・書籍の編集者。カナダで短期大学、映画制作専門学校卒業後、新聞記者、ラジオDJ、TVドラマの編集など多様な分野の知識を得て帰国。帰国後は雑誌編集を中心に活動し、広告案件においても企画・コンセプト立てから担う。ライフスタイルを得意とし育児媒体には20年携わっている。
母乳&混合育児をしているママが直面する悩みとして、
復職しても母乳は続けられる?
断乳はいつからどうはじめればいい?
といったことがあります。
日頃から相談室などで母乳育児の悩みを受けている桶谷式母乳育児推進協会では、そんなママ向け講座をアリオ亀有(東京)で無料開催。
講座に来られなかったママのために、特別に一部公開します!
産休や育休が終わりいざ職場復帰! というときに、ママが直面する悩み。
「母乳を継続するか、断乳するか?」
桶谷式母乳育児では、断乳は赤ちゃんの心と体の発育にあわせておこない、時期としては1歳6ヵ月を目安にすることを推奨しています。
<断乳のタイミングの目安>
身体的なクリア▶︎自分で歩けるようになっている
栄養面でのクリア▶︎離乳食が安定して進んでいる1歳を過ぎてから
精神的クリア▶︎後追いをしない
※保育園に入る月など、環境の変化のあるタイミングは避ける
断乳は予告なくある日突然おっぱいをやめてしまうことではありません。親子で断乳の日にちを決め、その日に向かって赤ちゃんがおいしいおっぱいを満足するまで飲めるように授乳しながら、断乳の日を迎えます。断乳までに授乳の回数を徐々に制限していく必要もありません。
でも、職場復帰を考えているママにとっては、自分たち親子にあった断乳のタイミングをまたずして、復職の時期が来ることも少なくありませんよね。
そんなとき、授乳を継続できるのか断乳すべきなのか?といった悩みに直面するようです。
「断乳するか、授乳継続するか」で迷っているママにお伝えしたいのは、授乳継続のメリットです。
ずばり、母乳育児を続けていた方が仕事にもメリットがあるといえるんです。
<仕事&授乳を両立するメリット>
■子どもが母乳で栄養をもらっていると病気になりにくく、ママの欠勤が減る
■母乳が子どもの心の栄養補給にもなって、日中ママと離れていても精神的に安定しやすい
■母乳をあげると癒しホルモン「オキシトシン」がでて、仕事に疲れたママの英気にもなる
子どもが体調をくずして仕事を休まなくてはいけなくなることは少なからずありますが、母乳育児を続けることで子どもの体調がくずれにくくなります。
働くママは、心の奥底で “子どもを保育園に預けて働くこと” にちょっとした後ろめたさを感じていたりするものです。決して悪いことではないのに、いまの日本の社会ではまだそんな気持ちを抱いてしまいがち。
でも、心配しないでください! 働くママの姿は赤ちゃんにとってもいいロールモデルになりますよ。
母乳育児を続けることは、そうした意味でもママの心の支えにもなります。
しかも、おっぱいをあげることは時短にもつながるんです。
たとえば帰宅後、おなかをすかせている赤ちゃんに食事の用意をするよりも、まずはさっと母乳を与える。すると赤ちゃんの気持ちがおちつき、そのあとの家事&育児がスムーズに行えることもありますよ。
保育園に通いだすと日中はママのおっぱいをあげられないわけですが、授乳育児はどう続けていくのだろう?と疑問を感じるママもいるかもしれませんね。
保育園に通い始めても日中の授乳がなくなるだけで、基本的な授乳ペースは変わりません。昼間はミルク、帰ってきたら母乳で過ごすようになります。
ママと赤ちゃんの無理ないペースで授乳を続けていけば問題ありません。
日中の母乳をあげられない時間帯、ママは職場や自宅で搾乳をします。保育園と職場が近いママのなかには、保育園に授乳に通っている先輩ママもいますよ。
勤務中の搾乳は、まだ職場の環境が整っていなくてトイレで搾乳といったこともありますが、おっぱいがはりすぎる前、できれば3〜4時間ごとに少量でもいいので搾乳し、夜はしっかり授乳しましょう。
休日は、いつも通りに授乳します。
あまり搾乳をしたことがないママもいるでしょうから、搾乳方法についておさらいをしておきましょう。
搾乳は、手や搾乳器を使います。
時間にして5~6分が目安です。
職場ではじめての搾乳となると戸惑いますから、復帰前に何回か練習しておくといいですね。
職場での搾乳環境が整っていなくて搾乳ができない……
という場合も、乳腺炎を引き起こさないためにも圧抜きはしたいところです。
<圧抜きのやり方>
1)両手首で脇の下から乳房を中央に向けて約30秒くらい押す。
2)乳首のまわりを親指と人差し指で奥のほうに押し、両指の腹をくっつけるようにして押す。
■服の上からでも大丈夫です。3〜4時間に1回を目安におこないます。それでも胸がはるようでしたら、搾乳をしましょう。
搾乳の方法はこちらでご紹介していますよ。
CLICK▶︎<助産師監修> 母乳育児のプロに聞く! 産後のママのお悩みに答えます!
搾乳した母乳は、可能なら冷凍保存しましょう。ママが不在のときにパパがあげることもできますし、保育園でも冷凍母乳を受け付けてくれるとろこもあります。
入園する保育園に、事前に冷凍の搾母乳をあげてくれるかを確認しておくといいですね。
<搾乳した母乳の保存時間の目安>
常温:8時間
冷蔵:24時間
冷凍:1ヵ月
離乳食が3回食まで進んでいない時期での復職は、赤ちゃんの栄養が心配になるかもしれませんが、3回食に進んでいなくても大丈夫です。
復職前は完全母乳で赤ちゃんがミルクを受け付けない!という状態でも、いざ保育園に通いだすとほとんどの赤ちゃんは保育者や環境に慣れると哺乳瓶を受けつけてくれます。
ですから職場復帰に向けて必ずしも哺乳びんの練習をする必要もありません。
練習をするときは、パパやおじいちゃん&おばあちゃん、つまりママ以外の人に飲ませてもらうのもいいですね。保育園でママ以外の人からミルクをもらうことに早く慣れる傾向にあります。
赤ちゃんが9ヵ月以降の場合は、フォローアップミルクを活用しましょう。
フォローアップミルクは、離乳期に不足しがちな鉄分と、牛乳には含まれていないビタミンCをの供給できます。
たんぱく質や灰分(ミネラル)は牛乳よりも少なくしてあるので、赤ちゃんへの負担を減らした“牛乳代用品”にもなります。
職場復帰の時期はママによってそれぞれですが、ほとんどのママが離乳食を進めている時期だと思うので、このフォローアップミルクを上手に活用しながら、母乳をあげられない日中分の栄養を補うといいですね。
とはいえ、補完食(離乳食)を適切に与えていればフォローアップミルクは必ず飲ませなくてはいけないものでもありません。
赤ちゃんの成長にあわせて考えていきましょう。
今回は基本的な方法をご紹介しましたが、職場復帰にともなう親子のリズムのつかみ方や、断乳(卒乳)の仕方などは、ママと赤ちゃんの状態によって親子ごとに違うものです。
桶谷式母乳育児相談室では、乳房と赤ちゃんの状況を直接みてそれぞれの親子にあった方法をお話しています。また、美味しいおっぱいを飲んでもらい、断乳後のトラブルを予防するために、断乳前から桶谷式の手技をおこなって、おっぱいを整えていくこともしています。どうしたらいいのかな?と悩んだときには、断乳(卒乳)する前にお近くの相談室にご相談ください。
~保育園の入園準備についてもあわせて確認しておきましょう~
CLICK▶<助産師監修>保育園の入園準備いつから何を?母乳はどうする?
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ後進達によって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。
監修:豊永奈津美先生