babycoオンラインコンテンツディレクターであり、雑誌・書籍の編集者。カナダで短期大学、映画制作専門学校卒業後、新聞記者、ラジオDJ、TVドラマの編集など多様な分野の知識を得て帰国。帰国後は雑誌編集を中心に活動し、広告案件においても企画・コンセプト立てから担う。ライフスタイルを得意とし育児媒体には20年携わっている。
「メンタルリープ」って聞いたことはありますか?
日頃から赤ちゃんがぐずったり泣いたりすると、おっぱいの時間かな?オムツが濡れているの?眠いのかな?と対処しますよね。それでも泣き止んでくれなくて「どうして?」「おっぱいが足りていないの?」と心配になることもあるでしょう。
その “泣き”、実はいま話題の「メンタルリープ」が原因なことも。
助産師の先生に「メンタルリープについて」や「赤ちゃんが泣き止まない時の対処法」などを教えてもらいました!
1982年に桶谷式乳房管理法研修センターを開設した助産婦・桶谷そとみ(1913〜2004)の意志を引き継ぎ、550名以上の助産師が全国の助産院(母乳相談室)や病産院で母乳育児をサポートしている。
授乳をしても、オムツ替えをしても、いくらあやしても泣き止まない赤ちゃんに途方にくれた経験はありませんか?
そんなとき、祖父母や周囲の人から「黄昏泣き(コリック)かもしれないよ」などとアドバイスをもらったことがあるママもいるかもしれませんね。
夕方になると数十分〜数時間泣き止まない状態が続く黄昏泣きは、昔から知られています。加えて最近は赤ちゃんが泣き止まない状態について「パープルクライング」「メンタルリープ」といった言葉が広まっています。
この記事を読んでいるママも
と調べているママもいるでしょう。
赤ちゃんが泣く理由はさまざまな要因が考えられますが、桶谷式の相談室にいらっしゃるママのなかには
と悩んでしまうママも少なくありません。
もちろんそうしたケースも皆無ではありませんが、授乳間隔の基本は3時間おき。泣いてから飲ませるのでは遅いこともあって、母乳不足だけが原因なのではないんですね。
生理的な現象、メンタルリープなどについて知っておくと、
と考えられてゆとりをもつこともできるので、この機会にぜひ「メンタルリープ」について知っておくといいですね。
まずは上記の原因をさぐりながら ▶︎ の対処をしてみて、それでも泣き続けるなら「メンタルリープ」や「パープルクライング」が考えられます。
メンタルリープはコリックの一種ですが、時期が明確に定められているのが特徴です。
参照:メンタルリープ研究者:石川卓磨&愛里
母乳が足りないのかな? と気になるママはこちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
※もしも高熱がある、ぐったりしているなど、いつもと違う様子がみられるなら医療機関への問い合わせをしてみましょう。
メンタルリープは、世界累計200万部のベストセラー『ワンダーウィーク 〜0歳児の8つのぐずり期を最大限に和らげて発達を促してあげる方法とは〜』で一躍有名になった、赤ちゃんのぐずり期のことです。
著者であるオランダのプローイュ博士の研究によると、赤ちゃんには成長する過程において「泣きやまなくなったり、ぐずりやすくなったりする特定の時期」があって、生後1歳6ヶ月〜8ヶ月ぐらいまでの間に10回ほど訪れるそのぐずり期が脳の発達と深く関係していることがわかったそうです。
それが「メンタルリープ」と名付けられています。
※著書は0歳児についてなので、8回のぐずり期
赤ちゃんの泣きやぐずりが脳の発達に深く影響していることは、玉川大学 農学部・脳科学研究所の佐治量哉先生への取材でも明らかにしています。
CLICK▶︎夜泣きはなぜする?その答えは「脳」にもあった!脳科学で紐解く赤ちゃんのねむり
ですから、赤ちゃんが泣き止まないからといって悩まずに、
ととらえてみることも大切です。
脳が急激に発達していることに赤ちゃんがとまどっているんですね。泣いている理由は赤ちゃん自身にもわからないようです。
そんな脳の発達の目安として、メンタルリープの周期と特徴についてご紹介しましょう。
生後1ヶ月:5週頃
【1回目:五感のリープ】生まれたばかりの赤ちゃんは、目があまりよくみえておらず、徐々に視力が発達します。そのように五感の土台となる神経系や感覚が発達していく時期です。お腹の中から出てきて、さまざまな変化に驚いて泣いている時期です。
生後2ヶ月:8週頃
【2回目:パターン・様式のリープ】原子反射が徐々に少なくなるとともに、物事には規則性があることを感じ始めます。規則性というと難しいことのようですが、自分にも手足があることに気づいてみつめたり、声を出すと反応がかえってきたりすることに気づき始めます。
生後3ヶ月:12週頃
【3回目:推移のリープ】自分の周囲で起こる変化を点ではなく線でとらえられるようになる時期です。意思をもって手で何かをにぎったり、音がする方に首を向けたりできることを覚えていく時期です。睡眠時間も3時間ほどにまとまってきます。
生後4ヶ月:19週頃
【4回目:出来事のリープ】手でつかんだものをさらに動かすことができるなど、推移のリープから一段と理解が深まります。複数の五感を使って複合的にものごとを感じ取ります。なんでも口に入れて確認しはじめるのも、この時期の特徴です。授乳以外の時でもかまってほしくて泣くこともでてきます。
生後6ヶ月:26週頃
【5回目:関係のリープ】物と物の関係性について理解を深めるので、距離についても認識していきます。自分とママとの距離にも敏感になり、ママが見えないと泣き出すこともあります。興味のあるものが遠くにあって欲して泣くことがある一方で、ずりばいなどができる赤ちゃんは自ら近づくことができることにも気づきます。
生後8ヶ月:37週頃
【6回目;分類のリープ】自分が認識しているものをグルーブやカテゴリーで分けて分類しはじめます。色や感触、匂いなど五感を使いながら動物、食べ物など、類似や相違を判断してとらえていきます。そのため、じっくり観察・探究する様子がうかがえます。食べ物を指でつまんでみたりするのもその行動のひとつです。
生後11ヶ月:46週頃
【7回目:順序のリープ】例えば何かを食べたいなら、スプーンを握る▶︎食べ物をすくう▶︎口に運ぶ▶︎噛むなど、動作や物事の順序についての気づきのリープ期です。積み木を積み上げる様子も増えてきます。
生活リズムを変えていないのに突然寝なくなったといった睡眠退行があらわれるのも、脳の発達の影響です。
1歳をすぎてからも「8回目:工程のリープ」「9回目:原則のリープ」「10回目:体系のリープ」と続いていきますが、この頃になると「母乳不足が原因なのかな?」という悩みはなくなっているでしょう。それでも夜泣きやぐずりなどママは対処が必要ですから、後半に「あやし方」についてお伝えしますね。
メンタルリープの特徴を時期とともにお伝えしましたが、この時期は「生まれた日」を基準に数えるのではなく、妊娠中にお医者さんから教えてもらっている「出産予定日」から算出するのが正しい計算方法です。
赤ちゃんの成長・発達の時期はあくまで目安です。赤ちゃんは一人ひとり発達の時期も仕方も異なるので、このように進んでいないとおかしいというものではありません。母乳や離乳食の進み具合も一人ひとり異なるのと同じです。
ただ、これらを知っておくことで、いっしょうけんめいママがケアをしても赤ちゃんが泣き止まない、寝つかない、ぐずるといったことで悩まずに、赤ちゃんの成長過程において必要なことなんだな、と思えるといいですね。
メンタルリープを理解して赤ちゃんが泣きやまないことがあるのはわかっても、泣き続ける赤ちゃんをニコニコと見守るのはよっぽどママに心のゆとりがあるときかもしれません。
理解しても、やっぱり泣きやんで欲しい!
そんなときは、赤ちゃんがママのお腹の中にいたときの状態を思い出させてあげてみるのも一つの方法です。
■おくるみで包んであげる
■「シィ〜〜〜」という音を聞かせてあげる
■ビニール袋をくしゃくしゃとさせて音を聞かせてあげる
■ドライブにいくなど心地よい振動を与えてみる
といった方法で泣きやむこともあるので、試してみてくださいね。
あやしていても泣きやんでくれないと、無理に泣きやませようと強く揺さぶってしまうようなこともあるかもしれません。もし激しく揺さぶって泣きやんだとしても、それは脳にダメージを受けて泣きやんでいるだけです。
赤ちゃんの脳はとてもやわらかくて、血管や神経も弱いのです。激しく揺さぶることで後遺症を引き起こすこともあります。こうしたことは「乳幼児揺さぶられ症候群」として厚生労働省でも注意喚起されていますので、もしも「赤ちゃんのギャン泣きに耐えられない!」と感情がたかぶるようなことがあったら、赤ちゃんの安全を確認したうえでママが別室に移動するなどして、少しだけ気持ちを落ち着かせることをおすすめします。
赤ちゃんを強くゆさぶるようなことだけはやめましょう。
「赤ちゃんは泣くのが仕事」という表現があるように、泣くのは当たり前。誰が悪いわけでもありません。そうとわかっていても、大きな声で泣き続けられるとママもストレスがたまりますよね。周囲に協力してもらったり、パパにもお当番を変わってもらうなどして、一人でかかえこまないようにしてくださいね。
とはいえ、なかなか相談ができない、頼れないこともあるでしょう。そんな場合は、保育園や有料のサポート施設を使い預けてみるのも一つの手段です。
赤ちゃんを大事にしていないわけでも愛していないわけでもありません。気持ちのリフレッシュはとても大切。
そんな時間が使えると改めて新鮮な気持ちでメンタルリープ期の我が子と向き合えると思いますよ。
桶谷式の相談室でも、母乳に関する悩みはもちろんですが育児についてもご相談いただけます。
ママの母乳育児に関する悩みには
■おっぱいが足りているか不安
■おっぱいが痛い、これって乳腺炎?
■赤ちゃんがうまくおっぱいを飲めていないみたい
■断乳をどうやって進めたらいいの?
など、たくさんありますよね。
こうした母乳育児全般の悩みを解決してくれる桶谷式の相談室。一人ひとりに合わせた母乳育児のアドバイスをしてくれます。今回ご紹介した「赤ちゃんが泣き止まないのは母乳が足りないの?」といったお悩みも、気軽に相談してみましょう。
直接悩みを相談したい!というママは、全国約330箇所にある「桶谷式母乳育児相談室」に、気軽に相談することもできますよ。
赤ちゃんとママによって状況は少しずつ異なります。助産師さんに直接みてもらえる個別相談なら、自分たち親子にあった解決がみつけやすいですね。そうした一人ひとりに合わせた母乳育児に答えてくれるエキスパートです。
おっぱいが出にくいという悩みには、オリジナルの乳房マッサージで柔らかくしておっぱいを出やすくしてくれたりもします。
ひとりで抱え込まずに、以下「OPPA!」 から気軽にご相談ください。
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ後進達によって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。
監修:公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会
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