babyco編集長。書籍編集者。
新潟の山奥で肉用牛を飼育しながら、野菜やくだものを育てる祖父母のお手伝いをきっかけに、丹精込めて作られた食材のおいしさ、食べることや命の大切さを学ぶ。特集記事、離乳食やママごはんなど幅広く担当。ママ・パパの気持ちに寄り添った記事の制作を心がけている。
365日、私たちの生活に欠かせない「ごはん」。ちゃんと食べないと元気が出ないし、とくに妊娠中は2人分のパワーが必要ですから、ママにはしっかりごはんを食べてほしいんです。
今回のbabycoは、ママと赤ちゃんの体力、気力、食べる力、体を思いやる力、なにより“生きる力”をつける食事と栄養に注目します。体にいいものがわかると、自然とその食材が好きになるはず。
管理栄養士。東京生まれ。明治大学第二文学部卒業。3人の子育てをしながら栄養学を学ぶ。矢島助産院で日々、妊婦さんや産後ママのための食事を担当する傍ら、企業や雑誌などで離乳食の監修やママのための食に関する講演・講習会などを各地で行う。著書に『妊娠・授乳中の気になる症状改善レシピ200』(日東書院)ほか
おなかのなかで赤ちゃんを育てているママが、妊娠期間を健康的に過ごすには「エネルギー」が必要です。エネルギー源というのは、
● 炭水化物
● たんぱく質
● 脂質
です。この3つの要素のなかでも、とくに“炭水化物”が若い世代のママに不足していることが問題になっています。
エネルギー不足の原因は、仕事が忙しくて朝ごはんを抜く人が多く、1日2食になりがちなこと。妊娠中は1日2,000kcalはとってほしいのですが、いまの20〜30代の女性のエネルギー摂取量は平均的に1,700kcalも満たしていません。食事回数が3回→2回になり、さらに外食や中食(コンビニごはんや惣菜)中心だと、食品数が少ないので栄養不足を引き起こします。ただでさえ体に栄養が足りていないのに、さらに朝ごはんを抜くと、もっと栄養が足りない状態になってしまうのです。
おなかの赤ちゃんは、血液を通してママが食べたものの栄養をもらい、成長します。ママがごはんを食べてくれないと赤ちゃんに栄養が届かず、低栄養・低体重に陥ってしまう危険性があります。
また、エネルギー不足のママの体からわずかな栄養をもらおうとするので、今度はママの元気がなくなり、赤ちゃんを安全に出産するための体力が温存されないのです。赤ちゃんを産み出すパワー、陣痛の痛みに耐える力を温存しておかないと、出産に時間がかかり、ママと赤ちゃんの命の危険につながります。
エネルギーを十分にとれていないママの食事内容をチェックすると、単品で済ましている方、ごはんを食べていない方が多いようです。みなさんのなかには、「低糖質ダイエット」を意識しながら食事をされている方もいるのではないでしょうか。
低糖質ダイエットと聞くと、ごはんを食べないイメージが強いと思います。ご病気で本気で悩んでいて糖質制限をされている方もいらっしゃると思うので、低糖質ダイエット自体は悪いことではありません。まちがってほしくないのは、ごはん類も砂糖類も全部一緒にしてしまうこと。低糖質ダイエットというのは、くちに入れて“甘い”と感じる糖類をやめるというのが大事なんです。
くちに入れて甘いと感じる糖類といっても、ごはんやさつまいも、フルーツにも甘みはありますよね。お米を噛んだときに、じんわりとくちに広がる甘み。フルーツのみずみずしい果汁。でも、これはお米本来、フルーツ本来の甘みです。ここでいう「甘いと感じる糖類」というのは、単糖や二糖類、少糖類などの甘みです。チョコレートやケーキなど、女性はお好きな方が多いと思います。
ごはん類は、胃のなかでゆっくり消化されるので腹持ちもよく、血糖値がゆるやかに上昇します。比べて砂糖類は、血糖値をガーンッと急激に上げるので、太りやすくなったり血管の病気につながったりすることがあります。
最近、妊娠中のママたちに多いもうひとつの問題があります。それは朝ごはんを「お菓子」で済ます方が多いこと。お菓子とは、チョコ菓子、スナック菓子などを指します。エネルギーをとるだけならば、お菓子や菓子パンでもいいかもしれません。しかし、甘いものからはほぼエネルギーしかとれないと考えてください。
例えば、板チョコレート1枚とごはん1膳。どちらもだいたい250kcal前後で、エネルギーとしてはほぼ同じです。ごはんにはビタミンB1やB2、たんぱく質やミネラルなどさまざまな栄養が含まれていますが、板チョコは脂質が多く、ほぼ同じカロリーなのに得られる栄養が違いますよね。
1日のトータルのエネルギー量がクリアできていても、栄養面を考えると、お菓子をごはんの代わりにするのはやめてほしいのです。
妊娠中は体が脂質を消化しづらい状態なので、脂質を多くとると体にも負担がかかります。しかし、脂質をとらないと肌つやがなくなったり、便秘になったりすることがあるので、体には必要な栄養なんですね。妊娠中に脂質をとるならば、植物性の脂質や不飽和脂肪酸を含むお魚の脂質がおすすめです。オリーブオイルやえごま油は血液をサラサラにする効果が期待できるので、本当にいい油なんです。お魚に含まれる不飽和脂肪酸のEPAやDHAは、血栓予防や脳の神経細胞を活性化させる効果が期待できます。肉の脂身など、“常温で固まる脂は体のなかでも固まりやすい”と覚えておくといいでしょう。
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