赤ちゃんから幼児の食物アレルギー、症状や病院に行く目安は?どんな病院に行けばいい?
赤ちゃんから子どもに多いといわれる食物アレルギー。
食物アレルギーの症状ってどんなものかな? 原因は何かな?
これからずっと食べられないのかな? と心配になったら一番最初に読む本!
『こどものアレルギー基礎BOOK』で、アレルギーを学ぼう!
症状や病院に行くべき目安がわかりますよ。
監修
今井 孝成(いまい たかのり)
昭和大学医学部小児科学講座 教授 日本小児科学会専門医・指導医
日本アレルギー学会指導医東京慈恵会医科大学医学部卒業後、昭和大学医学部小児科学講座入局。
国立病院機構 相模原病院小児科医長を経て、現職。食物アレルギーを専門とし、東京都アレルギー疾患対策検討部会の委員や文科省「学校給食における食物アレルギー対応指針」作成委員会の委員長などを歴任。
厚生労働科学研究班「食物アレルギーの栄養指導の手引き」の作成委員長を務め、日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2012」の作成や品川区、横浜市、相模原市など自治体の食物アレルギー対応マニュアルの監修にも携わる。
0歳の10〜20人に1人が食物アレルギー!? 食物アレルギーの約8割が8歳くらいまでの子ども
本来、食べ物(栄養素)は体の害にはならないものですが、体の免疫が過剰にはたらくと、体から異物である食べ物を排除しようとする反応が起きてしまう場合があります。これが「アレルギー反応」です。
食物アレルギーになるのは、おもに、食べ物に含まれるタンパク質が原因です。
また、食べるだけでなく、皮フにふれたり、吸い込んだりして体内に入るだけでも、アレルギー症状があらわれることもあるので気をつけましょう。
食物アレルギーはとくに乳幼児期に発症することが多く、症状が誘発されてすぐに医療機関で治療を受けた患者は0歳児が全体の3割ほど、3歳くらいまでで6割半、8歳くらいまでで約8割を占めます。ここ数年では、0歳の赤ちゃんでは10人~20人に1人が食物アレルギーになりやすくなっているというデータもあります。
(今井 孝成 (著)『こどものアレルギー基礎BOOK』/日東書院本社より)
なぜ子どもに食物アレルギーが多いのか、いまのところ原因ははっきりわかっていませんが、赤ちゃんや小さな子どもは成長段階にあることから、消化吸収や免疫機能がまだ未発達であることも一因と考えられています。
赤ちゃんから子どもにアレルギーが出やすいおもな食べ物
・たまご(鶏卵)
・牛乳
・小麦
・モモ、リンゴ、キウイなどの果物類
・クルミなどの木の実類
・ピーナッツ(落花生)
・エビ、カニなどの甲殻類
食物アレルギーの症状ってどんなもの?
食物アレルギーの症状としてよく知られているのは、皮フにあらわれる反応ですが、ほかにもいろいろな症状が出ることがあります。
もしお子さんに食物アレルギーがあったら、どんな症状が出るのかを知っておくと対処もしやすくなります。
皮フの症状
じんましんや皮フのかゆみ、赤み、湿疹など、食物アレルギーの症状でもっとも多いものです。
粘膜の症状
目の充血、目のまわりのかゆみ、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、口の中・くちびるなどの違和感、腫れなど。
呼吸器の症状
せき、息苦しい(呼吸困難)、ゼーゼー・ヒューヒュー(ぜん鳴)など。
神経系の症状
元気がない・ぐったりする、意識が朦朧となる、尿や便をもらす、頭痛など。
消化器(胃腸など)の症状
腹痛、下痢、気持ちが悪い、吐き気・嘔吐、血便など。
循環器の症状
脈が速い、脈がふれにくい、手足が冷たい、くちびるや爪が青白い(チアノーゼ)など。
アレルギーによる疾患は軽いものから重症化するものまであります。
とくに赤ちゃんや小さなお子さんは、自分でからだの症状を上手く伝えることができないので、大人に頼るしかありません。
症状が出やすい食べ物を食べるときなどは、保護者がそばで様子を見るように心がけてください。
赤ちゃんのアレルギー 病院に行く目安は?
食物アレルギーのお子さんが、アレルギーになりやすい食べ物を食べたすぐそのあとから2時間くらいの間に、皮フや粘膜などにさまざまな症状があらわれるケースが多く見られます。
皮フ症状のほかにも、こんな症状に注意してみましょう。
食後のこんな様子に注意
・腹痛
・嘔吐や下痢
・顔色が悪い
・グッタリしている
・目やくちびる、顔全体が腫れている
・蕁麻疹(じんましん)が出ている
・息がしにくそう
・熱がある
・泣き方がいつもとは違う
いつもと様子が違う、ちょっとおかしい、
と感じたらすぐにかかりつけ医に連絡をしましょう。
深夜や休日、かかりつけ医がいないときは?
かかりつけ医がいなかったり、深夜や休日の場合は、
「救急安心センター」 や 「こども医療でんわ相談」に連絡をしてアドバイスをもらうといいでしょう。
命に関わる危険を感じたときは、救急車を呼びましょう。
救急安心センター事業 #7119
休日や夜間など、かかりつけ医や近くのクリニックが閉まっているとき。
「救急車を呼んだほうがいいのかな」「まずは様子を見るべきなのかな?でも手遅れになったらどうしよう」など、救急車を呼ぶべきかどうか迷ったときに相談しましょう。医師や看護師、相談員さんが電話口でお子さんの具体や症状などを聞いてくれて、救急車を呼ぶべきかを判断してくれます。
救急車を呼ぶ? と迷ったときの相談先
救急安心センター事業 #7119
子ども医療電話相談事業 #8000
頭をぶつけた、発熱した、嘔吐している、痙攣しているなど、子どもの急なケガや病気に、「どう対処したら良いのか」「病院に行ったほうがいいのか」「何科の病院い行ったらいいのか」など判断に迷ったとき、小児科医師や看護師から対処の仕方や受診する病院などのアドバイスをしてもらえます。ほとんどの都道府県で深夜24時以降も対応してくれますが、深夜対応していないエリアもあるので事前にチェックしておくと便利です。
ケガや急病!どうしたらいいの?
子ども医療電話相談事業 #8000
具体が悪そうなら迷わず病院へ! 相談窓口でアドバイスを受けよう
食物アレルギーだけでなく、アレルギー反応は、軽めなのか重症なのかは人によって違います。いつもより症状が重かったり、具合が悪そうなときは、迷わずに病院に連絡をしましょう。そうでなくても、心配なときは相談窓口に連絡をしてアドバイスを受けましょう。
アレルギーかな?と思ったら病院はどこに?
食物アレルギーや気管支ぜん息などのアレルギーが疑われるときは、早めにお医者さんに診てもらいましょう。
命の危険のあるアナフィラキシーショックが起きる可能性のある場合は、緊急時にも対応してもらえるように、かかりつけの病院、担当医を決めておくと安心です。
アレルギーかな?と思ったらこんな病院を受診してみましょう!
小児科・アレルギー科
アレルギーを疑う症状があったら、
子どもの場合は小児科、
大人の場合は内科かアレルギー科を受診しましょう。
一般的に、小児科であれば子どものアレルギーの病気は診ることができますが、アレルギーを専門で診ているお医者さんやアレルギー外来があるかどうかなどを事前に調べておくとよいです。
アレルギーは、患者さんとお医者さんとともに長く治療をしていくこともあります。安心して治療を進められるように、アレルギー専門のお医者さんに診てもらうことをおすすめします。
日本アレルギー学会認定の専門のお医者さん
日本アレルギー学会は、アレルギーの病気に対して専門的な知識があり、アレルギーの病気に実際にかかっている患者さんの診察経験があるお医者さんを専門医・指導医として認定しています。公式HPでは都道府県、専門分野(小児科、内科など)を入力すると、専門医の氏名と勤務先などを検索できます。
日本アレルギー学会認定専門医・指導医
日本アレルギー学会専門医・指導医一覧マップ
アレルギーは自己判断が怖い!
わが子がアレルギーと聞くと、親はあわてますよね。なかには怖くなってしまう方もいらっしゃるかもしれません。すぐに病院には行くものの、人に聞いたりインターネットで調べたりして自己判断をしてしまう親が少なくないと先生に伺いました。
この本『こどものアレルギー基礎BOOK』をつくったのは、わたしを含め、親にアレルギーについて少しでも知ってもらいたいと思ったからです。
アレルギーは、まだまだ解明されていないことが多い病気。専門の先生たちが日々研究を重ねている今でも、治療法すら変わることもあるそうです。
検査のこと、薬のこと、食品除去の仕方など、小さなことでも自己判断に頼ってしまうと治療が遅れたり、重症化してしまったりすることだってある、と。
そう聞いたのがきっかけで、親が慌てず少しでもアレルギーの基礎知識を持っていたら、お医者さんと一緒に治療へ迎えるんじゃないかと思いました。
わたし自身、皮フが弱く、子どもの頃からアトピー性皮膚炎でした(昔はそういう名前じゃなかったと思いますが、笑)。そんなわたしから生まれた子どもは、やっぱりアレルギーを発症。そして0歳のころから専門の病院に通い続け、先生の言う通りに過ごしてきました。おかげで中学生になったいまでは指手、足などがきれいになってきています(よかった〜)。
親が知ること。これ、やっぱり大事なんですよ。知識があれば、ママパパの気持ちも落ち着いて考えることができますもんね。
アレルギーの治療には、専門医と相談しながらその子に合う治療法を探し、ゆっくり進めるのが良いそうです。
わからない!知らない!と壁をつくらず、
親だからこそ、アレルギーを理解して先生と一緒に治していきたいですね。
心配になったら一番最初に読む本
こんな症状が出たらアレルギーかも!? どう対処するの? 病院は? 薬は? 検査は?
子どもの発症率が高いアレルギーの原因や種類、付き合い方がよくわかるアレルギーBOOK!
アレルギーの基本を学んでおくと、いざ!というときにも対処できます。
イラスト:猫いち
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この記事を書いた人
書籍・雑誌の編集者であり、知育アドバイザー。絵本をはじめ子育て・知育・教育学習本などの企画から編集制作に携わる。
15年前にスタートした育児情報誌『babyco』を通して、上手な子育てには親の学びがとても大事! 親として学び途中なんだから失敗したっていい! と思うようになりました。知っていれば子育てで起こる様々な出来事について対処できます。突然何か起きても、知っていれば考えることもできます。学んで知って考ることで、子育てがもっと楽しく深くなっていくんじゃないかな〜と。さあ! 親が学べるbabyco、親育のためのコンテンツをたくさんつくっていきますよ。私たちも一緒に学んでいきます!