子どもの乾燥肌に潜むアレルギーリスクを知ってる?アレルギーマーチを知って対策しよう!

子どもの乾燥肌とアレルギーマーチ
2024/10/22 2024/12/04 山田治奈 山田治奈

「うちの子、肌がカサカサ、ザラザラ…」
「乾燥肌って放っておいても大丈夫?」
特に乾燥する季節、子どもの肌トラブルに悩んでいませんか?

この肌トラブルを放っておくと「アレルギーマーチ」を引き起こすかもしれません。
乾燥肌はアレルギーと密接な関係があると言われています。

「アレルギーマーチってなに?」というママ・パパも、アレルギーマーチを知って、しっかり子どもの乾燥肌を対策していきましょう!

この記事では、厚生労働省の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を参考にアレルギーマーチについて詳しく解説、アレルギーの予防策となる子どもの乾燥肌対策について紹介します。

将来のアレルギーリスクを減らすための対策方法なので、ぜひ参考にしてくださいね。

アレルギーマーチとは? アレルギーの進行プロセスを解説!

「アレルギーマーチ」という言葉をはじめて知ったという人も少なくないでしょう。
アレルギーマーチは、特定の疾患名ではなく、アレルギー発症の経過を分かりやすく説明するために用いられている俗称です。簡単に言うと、乳幼児期に始まるアレルギー反応が成長とともに次々と違うアレルギー症状を引き起こす現象のこと。

アレルギーマーチのイメージ図

※本図はアレルギー疾患の発症寛解を図示したもので「再発」については示していない。(馬場實氏による原図を参照)


遺伝的にアレルギーになりやすい素質(アトピー素因※)のある人が、年齢を経るごとにアレルギー性疾患を次から次へと発症してくる様子を表したものです。もちろん全員がそうなるわけではなく、一つの疾患だけの人もいますが、多くの場合、こうした経過をたどります。

出典元:厚生労働省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019改訂版)」

近年小児のアレルギー疾患が増加する中で、この「アレルギー・マーチ」の発症、進展を予防することが重要な課題であり、そのための早期診断、早期介入の研究が進められています。

出典元:国立成育医療研究センターの「アレルギーマーチってなに?」


アレルギーマーチを進行させないために今すぐできること

こうしてアレルギーマーチのことがわかってくると、どのように対策をすればいいのか気になってきますよね。

アレルギーマーチの出発点は皮膚からアレルギー物質が入り込むことからだと言われています。
子どもの皮膚はまだバリア機能が十分に発達していないので、アレルギー物質が肌に入り込んでしまいやすくなります。 バリア機能を高めるヒントは、乾燥肌対策にあるのです。

babycoアンバサダーのママたちにお子さんの肌の状態について聞いてみました!

乾燥肌で、たまに鮫肌みたいになるのが悩み。(1歳ママ摩耶さん)
皮膚が薄く、赤みが出やすい。湿疹などもできやすい!(2歳ママ沙季さん)
うなじなど普段見えないところが荒れがちで…。(2歳ママかすみさん)

この肌悩み、放っておかないで!
乾燥肌をしっかりケアして、バリア機能を高めることでのちのアレルギー症状の悪化や進行を抑えられるんですよ。

バリア機能を高めるためにできることのひとつが保湿ケアです。


デリケートな乳幼児の肌のために大切な保湿ケア

乳幼児の肌は、大人と比べて「バリア機能」が未完成な状態のため、大人よりも乾燥しやすい状態です。

バリア機能とは、肌の一番外側にある角層がまるでガードマンのように外部からの刺激やアレルゲンの侵入を防いでくれて、肌の水分が逃げないようにしてくれる働きのこと。

乾燥肌と健康な肌の比較図

肌が乾燥しているとバリア機能が低下してしまい、小さな隙間ができてしまいます。

すると、ダニやハウスダスト、花粉などのアレルゲンが、その隙間から侵入しやすくなってしまいます。

このように皮膚にアレルギー物質が入ってアレルギー反応を引き起こすことを「経皮感作(けいひかんさ)」と呼びます。

この経皮感作を防ぐために、毎日の保湿ケアで肌のバリア機能を高め、アレルゲンから守ってあげることが大切です。

参照:アレルギーについて(国立成育医療研究センター)


保湿ケアについてはこちらの記事も人気!
CLICK▶︎【助産師監修】赤ちゃんの肌トラブルを防ぐ!正しいスキンケア5つのポイント


保湿ケアに欠かせないセラミド!

肌のうるおいを保ってくれている「セラミド」という成分はご存知でしょうか?

セラミドとは、バリア機能と水分保持機能を担う重要な成分です。

本来私たちの肌に存在する成分で、肌の角質細胞の間を埋める「細胞間脂質」の50%を占めています。

つまり、セラミドは肌のうるおいを支えている大切な成分なのです。

ただこのセラミド、実は体を洗う時に汚れと一緒に流れてしまいがちなんです。これが乾燥肌の原因にもなってしまいます。なのでセラミドを「守りながら、洗うこと」と、「しっかり保湿すること」が大切になってきます。

参考記事:乾燥肌を建て直す?!“セラミド”の知られざる秘密に迫る!

うちの子は大丈夫?気になるアトピー性皮膚炎

乾燥肌とアレルギーの関係がわかったところで、乳幼児期に特に気になるアレルギーと対処法についてもう少し深掘りしてみましょう。


アトピー性皮膚炎の予防としてできること

アトピー性皮膚炎は、皮膚が乾燥し、かゆみのある湿疹が慢性的によくなったり悪くなったりを繰り返します。

上記で紹介した皮膚のバリア機能の状態が深く関わっています。

皮膚が乾燥していると皮膚からの水分が蒸発しやすいだけでなく、外部からのさまざまな刺激を受けやすくなります。すると健康な皮膚に比べて刺激に敏感になるので、ちょっとしたことでもかゆみを感じてしまいます。

そのため、ひっかくなどの刺激がさらに加わって悪循環になってしまうので、まずは保湿ケアをすることが大切になってくるのです。

乾燥肌の痒みの連鎖

参照:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(厚生労働省)


保育所で行なっている3つの対処法

厚生労働省の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019改訂版)」では、次の3つの対処を呼びかけています。

原因・悪化因子を取り除くこと:室内の清掃・換気・食物の除去など(個々に異 なる)

スキンケア:皮膚の清潔と保湿、適切なシャワー・入浴など

薬物療法:患部への外用薬の塗布、かゆみに対する内服薬など

ここでも、スキンケアが大切なことがわかりますね。

こまめに掃除をしても、完全に生活の中からアレルゲンを取り除くことは難しいのでスキンケアがより重要になります。気になる症状については自己判断をせずに医師に相談し、適切な薬物療法も検討しましょう。


乾燥肌が食物アレルギーにも影響する驚きの事実!?

「子どもの乾燥肌が食物アレルギーにも影響する」と聞くと、「食べ物が原因ではないの?」と少し驚きませんか?

実は近年、食物アレルギーの研究によって常識が変わりつつあるんです。

以前は食物アレルギーを引き起こすきっかけは、原因となる食べ物を食べた時に起こるという考え方が一般的でした。それが近年では、皮膚から侵入した食物アレルゲンがアレルギーを引き起こすことがわかっています。

参照:世界初・アレルギー疾患の発症予防法を発見(国立成育医療研究センター)


昔の常識
✅ アレルギーの原因物質(アレルゲン)は、食べ物を口から食べて、お腹(腸)で吸収されて、アレルギーになる

腸だけが食物アレルギーの原因と考えられていたんです。 ところが近年の研究で、次のようなことが分かってきました!

⭕️今の常識⭕️
✅ 赤ちゃんのお肌はバリア機能が未熟なので、食べ物に含まれるアレルゲンが、皮膚からも侵入してしまうことがある!
✅ 上記でご紹介した経皮感作は、食物アレルギーでもおこる!
(乾燥などでお肌のバリア機能が低下していると、アレルゲンが侵入しやすくなる!)

乾燥肌が原因で食物アレルギーになる具体例

つまり、食物アレルギーは、 お腹(腸)からアレルゲンが入る場合と、肌からアレルゲンが入る場合(経皮感作) の両方で起こることがある、ということなんです!

特に、赤ちゃんのお肌はデリケートなので、保湿ケアでバリア機能を高め、アレルゲンから守ってあげることが大切なんですね。

食物アレルギーについてはこちらの記事も人気!
CLICK▶︎症状や病院に行く目安は?どんな病院に行けばいい?


子どもの乾燥肌ケアは、アレルギー対策の第一歩!

この記事では、子どもの乾燥肌とアレルギーの関係、特に「アレルギーマーチ」について詳しく解説してきました。

重要なポイントは3つ!

✅ アレルギーマーチとは、乳幼児期に始まるアレルギー反応が成長とともにさまざまな症状を引き起こす可能性のある現象のこと。
✅ 乾燥肌をそのままにしておくと、皮膚のバリア機能を低下させアレルゲンを侵入しやすくなってしまう。
✅ 毎日の保湿ケアが子どもの肌のバリア機能を高め、アレルギーマーチのリスクを軽減してくれる。

「うちの子、肌がカサカサしてるけど大丈夫かな…」
少しでも不安を感じたら、この記事を参考に毎日のスキンケアを見直してみましょう。

赤ちゃんの頃から正しいスキンケアを続けることが、アレルギーのリスクを減らし、健やかな成長をサポートすることに繋がりますよ。

※アトピー素因:アレルギーの原因となる要因に対しての IgE抗体を産生しやすい、本人もしくは親兄弟に気管支ぜん息やアトピー性皮膚炎、あるいはアレルギー性鼻炎などの疾患が見られることを言う。 *IgE抗体:ダニ、ホコリ、食物、花粉などが微量でも人体に入ってきたときに、それらを異物と認識して排除するために免疫反応がおこり、血液中に Ig(免疫グロブリン)E 抗体 が作られる。アレルギーの程度が強いほど血液中で高値を示す。

*この記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。最新の情報は、医療機関や専門家にご確認ください。

参照:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン (厚生労働省)、アレルギーについて(国立成育医療研究センター)

協力:ロート製薬


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