赤ちゃんから幼児の食物アレルギー、いつからなるの?どんな検査があるの?食物アレルギーは治るのか?

はい!後編も、心配になったら一番最初に読む本!
『こどものアレルギー基礎BOOK』より「食物アレルギー」について知ろう!をお届けします。
後編は、気になる食物アレルギーの検査やいつからなるのか、食物アレルギーは治るのか? などを学びましょう!

前編はこちら▶︎赤ちゃんから幼児の食物アレルギー、症状や病院に行く目安は?どんな病院に行けばいい?

食物アレルギー 検査は? 診断の進め方は?

どの食べ物にアレルギー反応があり、除去が必要かどうかを判断するには、さまざまな検査が必要なことがあります。
さらに判断をするお医者さんにも専門性が求められるため、できるだけ子どものアレルギーにくわしいお医者さんを探して、診察を受けるようにしてください。

受診する前にも家の中でしておく準備があります。

おうちの方は、お医者さんにアレルギー症状が出たときの様子をくわしく伝えるため、
「いつ」
「何を食べて」
「どれくらいで反応が出たか」
を細かくメモしておくようにしましょう。

 

親子とお医者さん

STEP 1)問診

アレルギー症状が出たときの様子をくわしく説明してください。

問診はアレルギーの原因となった食べ物を診断するためにもっとも大切です。症状があらわれた半日前から食べた物やさわった食品などをあらかじめ記録しておき、お医者さんに正確に伝えられるようにしておきましょう。

日ごろから「食べ物日誌」をつけ、食事やおやつで食べたものを記録しておくと、いざというときに役に立ちます。

 

スマホで日誌をつける様子

 

STEP 2)検査

「血液検査」や「皮フテスト」でアレルギーの原因を調べます。

アレルゲンを特定するために行う検査が「血液検査」「皮フテスト」です。IgE抗体を調べます。

※IgE抗体とは、体のなかに入ってきたアレルギーの原因となる物質=アレルゲンに働きかけて、身体を守ろうとする抗体です。

「皮フテスト」はアレルゲンのエキスを皮フに1滴のせて小さな傷をつけ、腫れが出るかどうかを見ます。
血液検査や皮フテストの結果が陽性でも症状が起こるとは限りません。陽性となった食べ物がすべて食べられないわけではありません

皮フテストの様子

STEP 3)検査「食物経口負荷試験」

本当に除去が必要な食べ物が何なのかを正確に知るための検査です。

アレルギーの原因と疑われる食べ物を実際にお医者さんの前で口にして、症状が出るかどうかを見ます。アナフィラキシーなどの重い症状が起こるリスクもあるので、専門の施設で慎重に行います。

 

定期検査は大切!

食物アレルギーと診断されたら、最低でも1年に一度はアレルギー専門医を受診し、必要に応じて血液検査や食物経口負荷試験を受けましょう。

一度診断を受けたあとも、定期的に診断を見直すことで、不要な除去を最小限にすることができます。このように少しずつ食べられるものを増やすことが大切です。

 

食物アレルギーはいつからなるの?

食物アレルギーは、大人でもある日突然なるというケースも少なくありませんが、とくに多いのが赤ちゃんから就学前くらいの子どもたちです。

子どもの年齢ごとに、アレルギーになりやすい食べ物があります。

 

0歳〜2歳くらいの赤ちゃん 3歳くらい以上の幼児 7、8歳くらい以上の学童期

0歳まで「卵(鶏卵)・牛乳・小麦」の3大原因食べ物がもっとも多く、これらは成長とともに症状が軽くなったり出なくなったりして、就学までには約7〜8割が良くなっていきます。

 

0歳に食物アレルギーになりやすい 3大原因食べ物

0歳に食物アレルギーになりやすい  3大原因食べ物

 

 

食事にさまざまな食材が加わるようになると、1歳ではイクラなどの魚卵ピーナッツ(落花生)果物でもアレルギーを起こす子もいます。

1歳を過ぎるとこんな食べ物でアレルギーを起こす子もいます

1歳を過ぎるとこんな食べ物でアレルギーを起こす子もいます

 

 

2〜3歳を過ぎるとクルミ、カシューナッツなどのナッツ類そばアレルギーも増えてきます。

2〜3歳を過ぎるとこんな食べ物でアレルギーを起こす子も増えてきます

2〜3歳を過ぎるとこんな食べ物でアレルギーを起こす子も増えてきます

 

 

7歳くらいからの学童期には、エビやカニなどの甲かく類アレルギーのお子さんが目立つようになります。

7歳くらいからはこんな食べ物でアレルギーを起こす子も増えてきます

7歳くらいからはこんな食べ物でアレルギーを起こす子も増えてきます

 

2022年5月1日に朝日新聞が取り上げた!3大食物アレルギーの原因が変わった!?

つい最近、ビックリするニュースが飛び込んできました。

クルミやカシューナッツ、アーモンドなどの「木の実類」で食物アレルギーを起こす人が増えている、というニュースです。
「これまで、日本人の食物アレルギーの3大原因は鶏卵、牛乳、小麦だったのが、2020年の最新調査で、木の実類が小麦を抜いた。」そうです。

「原因の1位は鶏卵(33・4%)、2位は牛乳(18・6%)で例年と同じだったが、3位は木の実類(13・5%)で、4位の小麦(8・8%)を抜いた。豆類のピーナツは5位(6・1%)だった。」「木の実類の内訳を見ると、クルミが最も多く、過半数を占める。報告件数は速報値で463件。前回調査の約2倍、9年前の10倍以上に増えている

引用元:5月1日朝日新聞

これは、国立病院機構相模原病院の海老澤元宏臨床研究センター長らが全国約千人のアレルギー専門医らを対象に2020年に実施した結果とのことです。
小麦が、クルミやカシューナッツなどの木の実類に抜かれた!
という内容にはちょっと驚きました。専門医は、くるみやカシューナッツのなどの木の実類の消費量が高くなったことも一因として考えられる、とおっしゃっていますね。

 

年齢別新規発症原因食物

年齢別新規発症原因食物表

※各年齢群ごとに5%以上を閉めるものを上位5位表記

消費者庁「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業」平成29(2017)年「即時型食物アレルギー全国モニタリング調査結果報告」より

 

離乳食でアレルギー反応が起きるの?

食物アレルギーは、乳幼児期に多く発症します。たとえば、アトピー性皮フ炎と診断された赤ちゃんが、食物アレルギーを合併していることもあります。 

そのため、「離乳食のスタートを遅らせようか」「進め方をどうしたら?」などと、迷っているママも多く見られます。

離乳食は、赤ちゃんがさまざまな食べ物の味を知り、噛んで飲み込む力をつけ、栄養をとり込むための大切な一歩です。自己判断で開始を遅らせることは好ましくありません。迷ったらお医者さんに相談し、指導にしたがって進めましょう。

食事中の子供

離乳食の開始時期は5~6ヵ月頃でOK

食物アレルギーの心配があっても、離乳食の開始を遅らせる必要はありません。

離乳食のスタートを遅らせてもアレルギーの予防効果はないからです。通常と同じように生後5~6カ月頃からはじめるとよいでしょう。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」に沿いながらはじめてください。

推奨されている食材をしっかり調理してスタート

乳児のアレルギーの原因となる食べ物は、鶏卵、牛乳、小麦が約9割を占めます。

離乳食のスタート時期に、一般的に推奨されている食材を、素材の味が引き立つようにゆでたり、和風だしで煮たりしましょう。もし、アレルギーが起きたと思ったときは、すぐに医療機関を受診しましょう。

離乳食を与えるときの注意点は?

①赤ちゃんの体調がよいときにはじめましょう

はじめて離乳食を与えるときは、赤ちゃんの体調と機嫌のよいときを選ぶようにしましょう。

 

②新鮮な食材を使って調理しましょう

赤ちゃんが食べる食材は新鮮なものを選んで調理しましょう。

 

③皮フをきれいにしてから食事をしましょう

湿疹などが出ている場合は、治療が一段落してから離乳食をはじめます。なかなか湿疹がよくならなかったら早めに受診しましょう。もしも症状が出た場合、食べ物が影響したのかどうか判断しやすくするためです。

 

④少ない量から少しずつ慣らしながら与えましょう

いきなり多くの量を与えて、強いアレルギー反応が出ないようにするためにも、1日1食(1回)少量からはじめましょう。様子を見て、アレルギー症状が出ないようなら、また次の日に与えてみてください。

 

 

 

食物アレルギーは治りますか?

赤ちゃんのころに、卵アレルギーだったのに小学校に上がったら食べても反応があまり起きなくなった
 
牛乳を飲むと吐き気がしていたのに、小学校高学年になると牛乳が好きになった
 

なんていうこともよく聞きます。

子どもに食物アレルギーが多いのは、消化吸収や免疫のしくみがまだできていないことが一因と考えられています。

そのため、成長に伴い、胃酸などの消化酵素がきちんとはたらくようになって、消化吸収や免疫のはたらきがよくなると、鶏卵・牛乳・小麦などは食べられるようになっていきます

ただし、これ以外の食品では治りにくいこともあるので、お医者さんの指示に沿って治療を続けていきましょう。

食物アレルギー患者に赤ちゃんから就学前くらいまでの子どもが多い理由は、免疫機能が未熟だからではないかと考えられています。

子どもは成長するにつれ、胃酸などの消化酵素がきちんとはたらくようになると消化吸収や免疫のはたらも整ってきくるので、卵(鶏卵)・牛乳・小麦などは食べられるようになることも比較的多くあります。おうちの方はとても心配だと思いますが、長い目で見守っていくようにしましょう。

卵(鶏卵)・牛乳・小麦以外の食品では治りにくいこともあるので、専門のお医者さんの指示に沿って治療を続けていきましょう。

 

食物アレルギー4つのタイプ

食物アレルギーを知っておくのに、もうひとつ大事なことがあります。それは、食物アレルギーのタイプです。

自分や家族、お子さんがどのタイプかを知っていれば、アレルギー反応の予防にもつながります。

新生児– 乳児消化管アレルギー

新生児期乳児早期に、おもに育児用粉ミルクで起こるものです。
血便や吐き気、下痢などの消化管に関する症状があらわれます。

食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮フ炎

生後3ヵ月ごろまでに、顔や頭からかゆみのある湿疹や赤みが体に広がっていく乳児アトピー性皮フ炎。食物アレルギーと合併していることがあるので、アトピー性皮フ炎の赤ちゃんは、離乳食をはじめる前にお医者さんの診察を受けるといいでしょう。

以前は、食物アレルギーのお子さんにアトピー性皮膚炎が発症すると考えられていましたが、湿疹があってバリア機能が低下している皮フから食物が入り込んで食物アレルギーを発症するというしくみも研究によりわかっています。

即時型

原因となる食べ物を食べて、すぐに症状が出るのが即時型。多くの食物アレルギーがこのタイプで、食後30分から2時間くらいまでに、皮フや粘膜などにさまざまな症状が出ます。とくに乳児の発症が多く、鶏卵、牛乳、小麦、木の実類、ピーナッツなどが原因として多いです。

特殊型

■食物依存性運動誘発アナフィラキシー

原因となる食べ物を口にしたあと、運動をしたときだけに症状が出るもの。原因となる食べ物は、小麦、エビやカニなどの甲かく類が多いです。小学生から高校生までのお子さんに多く見られるので、昼食後の休み時間や5時間目に体育の授業がある日などは、注意しましょう。

■口腔アレルギー症候群

果物や野菜を生で食べたあと、数分以内に、口の中にだけかゆみやヒリヒリ感などが起こります。このアレルギー症状は花粉症と合併することが多く、「花粉-食物アレルギー症候群」といいます。

 

食物アレルギーになったら 専門のお医者さんを信じて!

食物アレルギーだからといって、かならずしも一生食べられないということではありません。少しずつ食べられるような治療計画を立ててもらえることも多いので、お医者さんの指導の元、一緒に進めましょう。

注意したいのは、自分だけの知識で行動しないこと。不安があれば、専門のお医者さんと相談をしながら、アレルギーという病気への理解を深めましょう。

 

食物アレルギーのおもな症状は?

子どもが多く発症する食物アレルギーのおもな症状は、
蕁麻疹(じんましん)や湿疹・かゆみ、赤みといった「皮フ症状」

 

蕁麻疹や湿疹・かゆみ・赤みなどの皮フ症状

蕁麻疹や湿疹・かゆみ・赤みなどの皮フ症状

そのほかに、
せきや「ゼーゼー」する呼吸器症状
のどや口のまわり、くちびる、目のまわりはかゆくなったり腫れたりする「粘膜の症状」
下痢、嘔吐、腹痛などの「消火器症状」

などがあります。

 

せきや「ゼーゼー」などの呼吸器症状

せきや「ゼーゼー」などの呼吸器症状

口のまわりや中・目のまわりがかゆい・腫れる粘膜症状

口のまわりや中・目のまわりがかゆい・腫れる粘膜症状

 

下痢、腹痛、嘔吐など消化器症状

下痢、腹痛、嘔吐など消化器症状

これの症状が全身で同時に起きて重症化すると「アナフィラキシーショック」になってしまうことがあります。

「アナフィラキシーショック」は、命の危険があるサインなので、十分に注意が必要です。

お医者さんから処方されているものがあれば、迷わずに使いましょう。はじめてアナフィラキシーショックを起こしたお子さんは、すぐに救急車を呼びましょう。

『こどものアレルギー基礎BOOK』では、具体的なアレルギー症状やアナフィラキシーショックについての基礎知識が学べます!

心配になったら一番最初に読む本

アレルギーについては、インターネット上でもさまざまな情報を得ることができます。

たとえば、「検査は3歳以上でないとできない」「症状は皮膚に出る」「アレルギーになる食べ物が入っているものはぜったいに食べない。食べなければアレルギーは起こらない」など、間違った内容が含まれているものもあり、その情報をうのみにしてしまわないように、と監修の先生はおっしゃいます。

こんな症状が出たらアレルギーかも!? どう対処するの? 病院は? 薬は? 検査は?
子どもの発症率が高いアレルギーの原因や種類、付き合い方がよくわかるアレルギーBOOK!
アレルギーの基本を学んでおくと、いざ!というときにも対処できます。

監修:今井 孝成(いまい たかのり)

昭和大学医学部小児科学講座 教授 日本小児科学会専門医・指導医 

日本アレルギー学会指導医東京慈恵会医科大学医学部卒業後、昭和大学医学部小児科学講座入局。

国立病院機構 相模原病院小児科医長を経て、現職。食物アレルギーを専門とし、東京都アレルギー疾患対策検討部会の委員や文科省「学校給食における食物アレルギー対応指針」作成委員会の委員長などを歴任。

厚生労働科学研究班「食物アレルギーの栄養指導の手引き」の作成委員長を務め、日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2012」の作成や品川区、横浜市、相模原市など自治体の食物アレルギー対応マニュアルの監修にも携わる。

イラスト:猫いち

前編はこちら(赤ちゃんから幼児の食物アレルギー、症状や病院に行く目安は?どんな病院に行けばいい?)
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