元高校教員で、現在はフォトグラファー・ライター。 3歳の娘を育てる父で、子どもの顔写真を毎日撮影するプロジェクトを実行中。 ブログ『23時の暇つぶし』 では、娘の成長記録をパパ目線で発信。
僕はカメラマンという仕事柄、家族写真を撮影する機会がたくさんあります。
お腹が大きく膨らんだマタニティフォトを撮ることもあれば、子どもが退院してすぐのニューボーンフォトを撮影することもあったり。
リピーターの方とはマタニティフォトを撮影した場所で生まれてきた子どもと三人で家族写真を撮影することもあって、撮影している僕までその変化にほっこりと嬉しくなることも。
今回は家族写真をたくさん撮影してきたカメラマンの僕が、家族写真を撮ることの意味と、いい家族写真ってなんだろう? ということについて考えてきたことをお伝えします。
子どもが生まれて家族が増えると、写真を撮る機会が圧倒的に増えたという方も多いですよね?
スマホの容量がいっぱいになってしまって慌ててデータを移した方もいるでしょう(ハイ、僕です)。
普段は何気なく撮影する家族写真ですが、僕自身は子どもや妻の写真を撮ることで、家族に対して思いがけない効果があると思っています。
フォトグラファーが家族写真を撮る意味について考えたことを聞いてください。
この記事の読者の方は、家族写真を撮っていますか?
「家族写真」と一括りにしていますが、家族写真にはいろいろな種類があります。
例えば、
■ 正装に着替えてスタジオ写真館に行って撮影する家族写真
■ 自宅の玄関前で撮影する家族写真<
■ 毎日のなにげない瞬間をスナップ撮影した家族写真
きっとあなたが家族の写真を撮りたいと思ったときは、子どもが可愛いなと心が動いた瞬間だったり、なにかの記念の日だったり、特別な場面だったりと、その時その瞬間のことを記録しておきたいと感じたはず。
つまり、家族写真は、家族の幸せな瞬間を形に残したいという思いから撮影されたものですよね。
親が子どもを沐浴しているところ。
兄弟で笑い合っているところ。
七五三で着物を着ているところ。
親となった僕自身は、子どもや家族を毎日撮影しているのですが、ふいに
と、家族写真を撮影する意味について考えたときがありました。
たどり着いた答えは2つ。
1つは、今この瞬間を撮ることがシンプルに楽しいから。
もう1つは、子どもが家族写真を見返した時に「仲のいい家族の姿」や「家族に愛されている自分の姿」を視覚化することで、自分は愛されて育ったという気持ちが芽生えるのかなと思ったから。
家族写真には、親や家族の愛情を実感できる役割があるような気がしていて、自宅でも子どもの目に入るところに、家族写真を飾っています。
子どもが「愛されて育った」という実感を得られることは、きっと子育てにとってなによりも大切なことで、その手段の一つとして家族写真があるのかなと思ったり。ちょっと大げさかな(笑)。
でも、そんなことを考えながら、僕は今日も家族を写真に撮っています。
では、そんな家族写真をどういうイメージで撮影すれば上達できるのかという話を、フォトグラファー目線からお伝えしていきます。
僕から皆さんに考えてみてほしいことは「いい写真って、どんな写真ですか?」ということ。
いい家族写真って、どんな写真だろう?
よりよい写真を撮影するためには、もちろんカメラの機能や技術が必要なことは言うまでもないのですが、それはちょっと横に置いておくとして、スマホを持っている全ての人が活用できる上達方法をお伝えするならば…
「語れる写真を撮る」ことが、家族写真の上達で一番大切なことだと思います。
大切なことなのでもう一度お伝えしますが「語れる写真を撮ること」です。
【↑水族館のクジで大きなシャチのぬいぐるみが当たって大喜びの娘】
僕はフォトグラファーとして、いい写真ってどんな写真だろう?ということと向き合ってきました。
その中で得た結論として、いい写真とは語れる写真だと思っています。
いい家族写真とは、後にその写真を見返したときに、その写真からいくつものエピソードを家族が語れる写真だと思います。
時間の経過とともに忘れ去っていく記憶や感覚。
一枚の家族写真が自分でも忘れかけていた記憶の引き出しを開いてくれて、思い出を家族が共有できれば、その写真は素晴らしい家族写真だと言えるはずです。
いい写真を撮るためには、語れる写真を撮ること。
では、語れる写真を撮るためにはどうすればいいのでしょう?
第一に、語れる写真を撮るためには、「人や物との関わりを撮る距離感」が重要だと思います。
わかりやすい実践例を挙げるなら…
子どもが生まれると、ついつい子どもの顔ばかりを撮って、スマホのアルバムには同じような写真が並んでいるということはありませんか?
実は上の写真は、これから紹介する写真をトリミングで削って、赤ちゃんの顔だけを撮影した写真にしたのですが、上の写真だと赤ちゃんが眠ってるだけの写真ですよね。
もちろん子どもの顔を撮影したくなる気持ちはわかりますが、そこからもう一歩進んだ写真を撮ってみようと思った時には、子どもの表情だけでなく、「子どもと家族」や「子どもと物」の関わりといった世界との繋がりを撮ってみてほしいんですよね。
▼上の写真は、本当はこんな写真です▼
2つの写真は全く同じ写真ですが、子どもの顔だけを撮影している写真よりも、ママが子どもを抱っこして微笑んでいるところまでを写してあるほうが、語れる写真だと感じませんか?
僕は『子どもと世界の関わり』を撮影した写真こそが、「語れる写真」だと思います。そのためには写真を撮る距離感がとても大切です。
家族がその写真を見返したときに語れる写真を撮れれば、子どもや家族写真としては大成功です!
僕が思う「語れる写真の実例」をもう少し紹介します。
例えば、娘がまだ0歳の頃の沐浴の写真を挙げます。
僕たち夫婦は、この沐浴写真でいろいろなことを思い出し、語り合うことができます。
この記事を書いている時に、妻に「この写真から思い出すことってある?」と聞いただけで、すぐにこれらのエピソードが語られました。
1枚の写真から記憶の引き出しが開かれ、これだけ語り合うことができる写真は、いい家族写真なのかなと思うんですよね。
写真がブレていたりピントが合っていなくても全く問題ないという例です。
サンタさんが初めてやってきてクリスマスプレゼントにトトロのぬいぐるみをもってきてくれて興奮している子どもです。
プレゼントと子どもの距離感であったり、子どもの反応だったり、ママの関わりが写っていれば、どんなにブレていてもピントが合っていなくても、いい家族写真だと思います。
家族が主人公の写真じゃなくても、よい家族写真になりえる例です。
水族館で撮影した写真は、エイが主人公になっていますが、子どもがキラキラ光る水槽から突然自分の視界に入ってきたエイに驚いている様子がわかりますよね。
これも、語れる写真です。
家族の関わりを撮影した写真の例です。
我が家では子どもが1歳くらいのときは、絵本を読むときに、集中しやすい環境をつくって読み聞かせしていました。子ども目線から左手に次の絵本があって、読み終わったら右手に置くという環境をつくっていると、子ども自身が読み終わったら絵本を右手に置くようになっていくんですよね。そんなことを語れる写真です。
※絵本についての記事は、『0歳からの絵本|500冊以上読み聞かせた効果&宗玄さん家の成長記録』を合わせて読んでみてください。
プロが撮影する家族写真と聞くと、スタジオで白バックに緊張した面持ちで撮影する写真を想像する方も多いですよね。
フォトグラファーの僕自身も依頼を受けて家族写真を撮影していますが、スタジオではなくて、自宅や公園で撮影する写真を主に撮っています。
家族写真をプロに撮影してもらうと聞くと、なかなかハードルが高く感じるかもしれませんが、スタジオで撮影する写真よりもリラックスした自然な表情の写真をたくさん撮影してもらえるので、自分事ながらオススメです。
スタジオでかしこまった表情の写真を数枚撮ってもらうより、よっぽど家族の自然な姿を残せますよ!
顔出しはちょっと…という方も多くいらっしゃるのでごく一部の写真ですが、写真館での写真との違いが伝わるかと思います。
※web上の都合で画像が荒くなっています。
僕自身はマタニティの撮影や、赤ちゃんと一緒に撮影する写真も受け付けているので、興味のある方はぜひご連絡ください!
ホームページ:▶︎23時の暇つぶし
みなさんも家族を撮影するときは、語れる写真を意識して撮影すると、家族写真がより一層楽しくなりますよ。ぜひ試してみてください。
写真/宗玄浩
CLICK▶︎<カメラマン伝授>一生記念に残る子ども写真のアイデア10選
CLICK▶︎カメラマンパパが実践している赤ちゃん写真の撮り方、伝授します!
CLICK▶︎パパが考えた「パパの育児参加」どうしたら夫婦で育児に向き合える?
宗玄さん家の連載全記事はこちら