【FP監修】扶養の壁ってなに?働き損にならない働き方や130万超の新ルールとは

扶養の壁(年収の壁)について考えるパート
2024/03/08 2024/03/07 香帆 香帆

扶養の壁とは、世帯主の扶養に入っている状態で働く際に目安となる年収額のこと。扶養の壁を超えると、税金や社会保険料の負担が発生するため、手取りが減る場合があります。

そのため、年収が扶養の壁を超えそうな場合には、生活への影響がないか事前によく確認する必要があるのです。

この記事では、これからパートを始める方向けに「扶養の壁」について解説します。そもそも扶養とは何か? いくらに抑えるのが得なのか? についても解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに教えていただきました!

監修
氏家 祥美さん
氏家 祥美

ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント。心に寄り添うカウンセリングとお金とキャリアのプラン作りで、人生の地図作りをサポート。貯まる・増やす仕組み、金融教育、セカンドキャリア支援を得意とする。 ハートマネー代表。

※パートの妻が会社員や公務員の夫の扶養に入る前提で解説しますが、パートの夫が会社員や公務員の妻の扶養に入る場合も条件は同じです。
※この記事の内容は2024年3月7日現在のものです。

知らないと損するかも?「扶養の壁」とは?

年収の壁について説明するFP
とにかく多く働いたほうが稼げると思っていませんか?
 

実は年収額によっては、月の労働時間が増えたのに手取り額が変わらない「働き損」になるケースもあるのです。

なぜ労働時間が増えたのに手取りが減るケースがあるのか。それは、年収が上がるほど社会保険料や税金の支払いが増えるためです。

税金や社会保険料がかからないように、年収を抑えようと意識される金額のボーダーラインを「扶養の壁」または「年収の壁」と呼びます。

「扶養の壁」は100万円〜201万円まで、以下6種類あります。
①100万円
②103万円
③106万円
④130万円
⑤150万円
⑥201万円

下表は扶養の壁の段階ごとに発生する税金や社会保険をまとめたものです。パート主婦が気にすべき壁については後ほど詳しく解説します。

  パート勤めの妻 給与収入がある夫
パート収入 住民税 所得税 社会保険 配偶者(特別)控除
100万円超 支払う 支払わない なし あり(38万円)
103万円超 支払う 支払う なし あり(38万円)
106万円超 支払う 支払う 勤め先の規模による あり(38万円)
130万円超 支払う 支払う 支払う あり(38万円)
150万円超 支払う 支払う 支払う あり(1〜36万円)
201万円超 支払う 支払う 支払う 適用外

 

そもそも「扶養」とは?

「扶養」とは、自身の収入だけでは生計を立てられない親族に対して、経済的に援助することです。面倒を見てあげる人を「扶養者」と呼び、面倒を見てもらう人を「被扶養者」と呼びます。

扶養に入ると社会保険料の支払いが免除されたり、扶養者の税負担が軽くなったりします。

 

扶養内で働く場合に知っておきたい2つの「扶養」

2種類ある扶養の種類

 

ひと口に「扶養」と言っても、「扶養」には「社会保険上の扶養」と「税制上の扶養」の2種類あります。

社会保険上の扶養と税制上の扶養では適用範囲や条件が異なるため、両者を分けて考えましょう。

社会保険上の扶養には該当するが、税法上の扶養には該当しないこともあるため注意が必要です。社会保険上の扶養と税制上の扶養について、それぞれ解説します。

 

社会保険上の扶養

「社会保険上の扶養」とは、扶養者(夫)が入る社会保険(健保・厚生年金)の被扶養者になることです。被扶養者になることで、下記の社会保険料の支払いが免除されます。

■国民年金
■健康保険

被扶養者は保険料を支払うことなく、医療費を3割負担すれば医療機関を受診できます。また将来年金を受給するのも可能です。

社会保険上の扶養の壁は下記2種類あります。

①106万円 
②130万円

2種類の壁を超えると、収入に大きな影響が出るため注意しましょう。

 

税制上の扶養

「税制上の扶養」とは、家族の家計を主に担う扶養者(扶養をする側)の所得税・住民税を軽くすることです。社会保険上の扶養は、扶養される側(妻)の負担を軽くする制度でしたが税制上の扶養で負担が軽くなるのは、扶養する側(夫)です。混同しないようにしましょう。

税制上の扶養が適用されると、配偶者は下記所得控除を受けられます。

■配偶者控除 
■配偶者特別控除

ただし夫の年収が1095万(所得900万円)を超えてくると、税金の軽減特典が次第に減ってきます。夫の年収が1195万円(所得1000万円)を超えると軽減がなくなるため注意が必要です。

税制上の扶養の壁は下記4種類あります。

①100万円
②103万円
③150万円
④201万円

では一体、どの壁に気をつけたら良いのでしょう?

 

妻がパートで働く場合に意識したい年収の壁

夫の扶養に入っている妻がパートで働く場合、気にするべき壁は「130万円の壁」です。101人以上の企業にお勤めの場合は「106万円の壁」にも注意しましょう(※2024年10月からは51人以上に変わります)。

130万の壁と106万円の壁以外は「壁」と呼ぶほど一気に負担が増えるわけではありません。とくに影響が大きいのは「社会保険上の扶養の壁」を超えてしまうときなのです。

106万円の壁と130万円の壁について、詳しく解説します。

106万円の壁|パート先の規模が大きい場合に注意

大きな企業にお勤めの場合は106万円の壁に注意が必要です。すべての人が社会保険に加入するボーダーラインとなるのは130万円ですが、下記条件を満たした場合、年収が130万円に満たなくても、パート先の社会保険に加入しなければなりません。

■従業員数101人以上の企業に勤めている
■週に20時間以上30時間未満働く契約
■月に8.8万円以上になる
■2ヶ月を超える雇用の見込みがある
■学生ではない

※2024年10月〜は従業員数51人以上に条件が変わるため、該当者がより増えるでしょう。
参考:社会保険適用拡大特設サイト|厚生労働省

130万円の壁|原則として社会保険の扶養を外れる

年収130万円を超えると、原則として扶養を外れて自身で社会保険に加入しなければなりません。勤務先の規模など関係なく加入が求められます。

厚生年金の場合、会社が保険料を半分負担してくれますが、自己負担分だけでも給与の14%〜15%ぐらい天引きされます。そのため税金や社会保険料が引かれることにより、それまでの手取りよりも少なくなるケースがあるのです。

たとえば、年収129万円と年収130万円の場合を比較しましょう。

年収 社会保険料 所得税 住民税 社会保険と
税金の合計
手取り額
129万円 なし 1万3,000円 3万6,000円 4万9,000円 124万1,000円
130万円 195,000円 3,700円 1万7,500円 21万6,200円 108万3,800円

※社会保険料は年収の15%として概算で計算しています。介護保険料の有無などによっても実際の金額は異なります。
※復興特別所得税(所得税の2.1%)は考慮していません

130万円の人は129万円の人より15万以上手取りが少なくなってしまいます。社会保険料や税金を差し引いても手取りを減らさないようにするには、年収150万以上にしなければなりません。

中途半端な年収だと損する可能性があるため、注意が必要です。

扶養内で働くメリットは?

扶養内で働くメリットは以下3点挙げられます。

 扶養内で働くメリット 


扶養者(夫)の税負担が少ない
 被扶養者(妻)の社会保険料の支払いが免除される
 扶養手当がもらえるケースも

それぞれ見ていきましょう。

扶養者の税負担が少ない

妻が夫の税制上の扶養に入れば、夫が負担する税金が安くなります。配偶者控除・配偶者特別控除が適用され、38万円の控除を受けられるためです。

被扶養者の社会保険料の支払いが免除される

夫の社会保険上の扶養に入ることで、妻は保険料の負担を抑えながら、基本的な社会保障も受けられます。妻を扶養に入れたからと言って、夫の社会保険料が増額することもありません。

扶養手当がもらえるケースも

妻の年収額が一定額以下である場合、会社によっては「扶養手当」を支給するケースもあります。福利厚生の一環として実施されているため、法律で義務付けられた制度ではありません。そのため適用条件はさまざまです。

厚生労働省の調査によると、配偶者の年収103万円以下を条件とする企業が最も多く全体の46.7%。ついで130万円以下を条件とする企業が全体の34.3%といった結果が出ています。

夫の会社が扶養手当を支給している場合、いくらまでを妻の収入の上限としているのかを確認し、働き方を考えましょう。

参考:民間給与の実態|表12 家族手当の支給状況及び配偶者の収入による制限の状況|人事院

扶養内で働くデメリットは?

扶養内勤務はメリットばかりではありません。以下のようなデメリットもあります。

 扶養内で働くデメリット 


将来の年金が少ない
各種給付・補助が受けられない

将来の年金が少ない

扶養に入っている場合、受給できる年金は国民年金だけです。厚生年金に比べて、将来受け取れる年金額が非常に少なくなる点はデメリットポイントと言えるでしょう。扶養内で働いている場合、国民年金基金や付加年金といった年金額を増やせる仕組みも利用できません。

扶養を抜ける働き方をすれば、年金保険料の負担は発生しますが、厚生年金を受給できるようになります。

各種給付・補助が受けられない

健康保険から支給される、病気やケガで仕事を休んだ場合の傷病手当金や出産に伴う出産手当金は、扶養内で働いている方は対象外です。怪我で仕事ができなくなった場合には収入が下がってしまう恐れがあります。

扶養内勤務に関するQ&A

Q&A

扶養内で働く際に寄せられる、よくある質問にお答えします。

 

Q1)交通費は年収に含まれるの?

「税制上の扶養」
基本的に交通費を年収に含みません。交通費は税制上では所得と見なされないためです。つまり、103万円の壁の計算には交通費を含みません。

「社会保険上の扶養」
106万円の壁、130万円の壁で扱いが異なります。106万円の壁の計算では交通費を年収に含みませんが、130万円の壁の計算では交通費が含まれます。同じ社会保険料の扶養でも取り扱いが異なるので注意しましょう。

Q2)130万の壁がなくなるってホント?

2023年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」が始まっています。

パート・アルバイトで働く際に「年収の壁」を意識せずに働ける環境づくりを支援するもので、最長2年間だけの時限措置であって、ずっと「扶養の壁」がなくなるわけではありませんが、パート・アルバイトで働く人が繁忙期などで収入が一時的に上がった場合、手続きをすれば、引き続き扶養に入り続けられる仕組みです。

手続きとは、パート先から一時的な収入増であることの証明書を受け取り、夫の健康保険組合に提出するというもの。詳しくはパート先で確認してみましょう。 あくまで「一時的な事情」として認定を行うのみで、同じ人に対して事業主が証明できるのは原則2回まで。

令和5年(2023 年)10 月 20 日以降の被扶養者認定および被扶養者の収入確認において適用されます。過去に被扶養者認定を受けた分に関しては遡って適用することもありません。

参考:事業主の証明による被扶養者認定に関するQ&A
参考:「年収の壁」対策がスタート!パートやアルバイトはどうなる?|政府広報オンライン 
参考:年収の壁・支援強化パッケージ|厚生労働省

Q3)フリーランスでも夫の扶養でいられるの?

社会保険上の扶養にも税制上の扶養にも入れます。それぞれ分けて解説します。

【社会保険上の扶養】

個人事業主であっても、原則として配偶者の扶養には入れます。配偶者の扶養に入る上で、雇用形態は関係ありません。フリーランスとして扶養内で働けるかどうかの目安は130万円。

売上高から売上原価を引いた「粗利益の部分」で年収130万円以上かどうかを判定します。

【税制上の扶養】

年間の所得が48万円(基礎控除額)以下の場合、配偶者控除の対象になります。所得は、売上などの収入から必要経費を差し引いた金額です。

個人事業主で青色申告を選択している場合には、青色申告特別控除55万円(もしくは65万円)も使えるため、売上から経費を差し引いた所得が103万円(もしくは113万円)まで扶養でいられることになります。

Q4)「103万円の壁」を気にする必要はないの?

<p<以前は妻の年収が103万円を超えると、夫の配偶者控除38万円が受けられなくなるため、103万円の壁は大きな壁でした。しかし平成29年度の税制改正で配偶者特別控除の適用範囲が150万円まで拡大されました。

その結果103万円の壁はそれほど大きな壁ではなくなったのです。

103万円を超えると「配偶者控除」から「配偶者特別控除」と名前が変わるだけで、控除額が減るわけではありません。妻本人は所得税の課税対象にはなりますが、103万円を超えた部分に対して税金がかかるだけなので負担は大きくありません。

社会保険に加入する必要もないため、103万の壁を気にして収入を抑える必要はないでしょう。

 

扶養の壁を越えて働くことも検討を

「扶養の壁」について解説しました。パート主婦が扶養内で働く場合に気にすべき扶養の壁は以下2種類です。

■106万の壁
■130万の壁

年収だけの視点でいえば、社会保険上の扶養に入りながら、年収130万未満に抑えるのがお得と言えるでしょう。
※ただし、101人以上(2024年10月からは51人以上)の企業にお勤めの場合は「106万円の壁」を超えると負担が増えるため注意が必要です。

一方で、「106万円」の壁の対象になるパート先が増えています。時給を上げる企業も増えています。 一時的に収入が増えても扶養のままでいられる特例も始まっています。
ですから、働ける時間が増えてきた人は、扶養の壁を越えて働くことも、この機会に検討しましょう。

生涯所得をふまえて働き方を考えると、扶養の壁を超えて働けるならその方がお得という考え方もあります。

年収160万円を超えれば手取りは再び増えます。
リスキリングという言葉を聞いたことがある方もいると思いますが、子育てが落ち着いて長時間労働が可能になったら派遣や社員として働けるように、今から資格を取得するなどスキルアップをして備えておくこともいいですね。

イラスト/kogome

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