<助産師監修>赤ちゃんの体重が増えなくても気にしないで!〜母乳育児で陥りがちな不安

<助産師監修>赤ちゃんの体重が増えなくても気にしないで!〜母乳育児で陥りがちな不安
2020/10/23 2023/12/26 うるの加奈 うるの加奈

赤ちゃんに一生懸命に母乳をあげても、思っていたよりも体重が増えないと心配になるママはいませんか?
逆に母乳だけなのにこんなに増えても平気なの? と気になるママもいるかもしれませんね。
赤ちゃんの体重や身長などの成長は、本当に個人差がとても大きいものなのです。少しずつでも赤ちゃんが成長していれば気にしないことが一番!

 

赤ちゃんの体重の増加にはこだわらないで

赤ちゃんの体重2

赤ちゃんの体重や身長の増え方には非常に個人差があるものです。

生まれたときの体重にしても2500gの赤ちゃんもいれば、3500gを超えるような赤ちゃんもいますよね。ひとりひとり違うのですから、成長のスピードもまったく違うものなのです。

赤ちゃんの体重は生後1週間くらいまでは、生理的な現象によって生まれたときより5〜7%ほど減少します。
なぜかというと、生まれてすぐの赤ちゃんの体内には、便や尿などが多く溜まっていて、この期間は赤ちゃんが母乳を飲む量に比べて、体内に溜まった便や尿の排出量の方が多くなるため、体重が減っていく傾向にあるのです。

その後、生まれたときの体重に戻るには、1週間から2週間ほどかかります。
1ヵ月健診までの間はとくに、赤ちゃんの体重がどれくらい増加しているのか気になってしまうママもいることでしょう。
体重が増えないと、母乳があまり出ていないのではないかと心配になることもあるかもしれません。

じつは、赤ちゃんの体重増加については、発表している団体によって数字に幅あるのです。
たとえばユニセフでは「生後2〜3週間で生まれたときの体重に戻り、最初の6ヵ月は1日に18〜30g増える」となっています。
国際ラクテーション協会では「1週間あたり120〜240g(1日平均30g)」とあります。

数値があると指標としてはわかりやすいですが、この数字だけで母乳が足りていないのでは? と心配する必要はありませんよ。

 

母乳育児には、母乳育児なりの発育ペースがありますよ

赤ちゃんの体重3

母子健康手帳に描かれている成長曲線は、厚生労働省の調査によるものです。

厚生労働省の身体発育曲線のグラフには、母乳育児の赤ちゃんだけでなく、ミルクだけの赤ちゃん、母乳とミルクの混合の赤ちゃんと、さまざまなタイプの赤ちゃんが含まれています。

下にある「母乳栄養児成長曲線(日本母乳哺育学会)」を見てみましょう。

桶谷式母乳育児推進協会の調査によると、母乳だけで育った赤ちゃんは男女共に身長・体重は厚生労働省の値より小さめですが、頭囲や胸囲は男女共に差がなく、どちらかというと大きいくらいであることがわかりました。

これは、母乳で育っている赤ちゃんの中枢神経や臓器の発育がいいことを示していると思われます。そして体全体が引き締まって、多少小柄でも、しっかりとした体つきをしている特徴があるといえそうです。

生後1ヵ月の体重増加が少なかった赤ちゃんでも、母乳を飲ませ続けた結果、厚生労働省値と比べて差が縮まってきているということもわかりました。
これは生後1ヵ月の成長はゆっくりとしている赤ちゃんがいるということが読み取れます。
生後1ヵ月でグッと体重が増える赤ちゃんもいれば、生後2ヶ月、生後3ヵ月で体重が増える赤ちゃん、半年まではなかなか体重が増えづらかったのにそこからグッと増えてくる赤ちゃんと、本当にさまざまなのです。

赤ちゃんの体重推移グラフ(男の子)4赤ちゃんの体重推移グラフ(女の子)

こうしてグラフや数値があると参考にしてしまいますが、それは平均値ということでその数値が絶対ではありませんから、その子なりの成長スピードがあるのだということをママがわかってあげてくださいね。

体重の増えかたも、個性のひとつなんですね。

 

生後100日までは授乳のペース作りの時期

赤ちゃんの体重6

生まれてすぐは赤ちゃんが上手に母乳を飲めないことも多く、体重があまり増えないこともあります。そうすると、ママは母乳が不足しているのでは?と心配することもあるでしょう。

でも赤ちゃんがおっぱいに少しずつ慣れて、上手に飲めるようになってくると、自然と母乳の分泌量も増えていき、赤ちゃんが一度に飲める量も増えてくるものです。こうなってくると、赤ちゃんの体重増加も安定してきますよ。

ですから、以前は多くの産院で赤ちゃんがどれぐらい母乳を飲んだか量をはかっていましたが、最近は母乳の量をはからないところも増えています。

母乳育児のペースが安定して、授乳のペースができ上がるまでには100日はかかるといわれています。ママのおっぱいが出る感覚と赤ちゃんの飲み方が一致して、授乳感覚が約2時間〜2時間半くらいに落ちついてくるのもこの頃です。

赤ちゃんの体重が4.8kg以上になると、赤ちゃんは上手に飲んでくれるようになるので、おっぱいもやわらかくなって、いつもおっぱいが張っているという状態から、赤ちゃんが飲んでいるときだけ母乳が出るようになってくるのです。

 

本当に母乳不足なのかな?

赤ちゃんの体重7

赤ちゃんがよく泣いたり、乳房が張らなくなってきたりすると、「私の母乳はあまり出ていないのかな……」と心配になってしまうこともありますよね。

赤ちゃんが泣く原因は母乳不足だけではないんですよ。赤ちゃんにとって泣くことはコミュニケーションのひとつですし、さまざまな理由があるのです。

お腹がすいた、喉がかわいた、眠い、オムツが汚れている、暑い、寒い、どこか痛い、どこかかゆい、姿勢がきゅうくつ、音や光や匂いなどがいつもと違う、抱っこして欲しい、ちょっと疲れた、リラックスしたいなどなど。

話せない赤ちゃんは泣くことですべてを伝えているんですね。

赤ちゃん自身が自分のことをよくわからず、ただ泣いているなんてこともありますよ。

ママが「きっと母乳が足りないに違いない」と心配したり、心配のあまりミルクを補充していくうちに、本当の母乳不足になってしまう……。このような見せかけの母乳不足を「母乳不足感」といい、母乳不足を心配するママのほとんどがこの母乳不足感なのです。

 

<母乳が足りている目安>
1)赤ちゃんが元気に生き生きとしていて、手足もよく動き、皮膚に張りがある。
2)おむつがおしっこやうんちで6〜8回しっかり濡れている(交換の回数ではありません)。
3)赤ちゃんの体重増加が1日平均18〜30g、1カ月で560g以上増えている。
▶︎体重の増え方は個人差が大きいので心配なときは自己判断せず、母乳育児相談室や助産師などに聞いてみてください。

 

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ミルクを追加したほうがいいのかな? 目安が知りたい!

哺乳瓶でミルクを飲む赤ちゃん

赤ちゃんは1度の授乳でどれぐらいの母乳を飲むのでしょう?

これも体重の増加と同じように赤ちゃんそれぞれ。ひとりひとり異なりますし、赤ちゃんのそのときの空腹具合などによっても変わってきます。

多いときもあれば、あまり飲まないときもあります。ですから、あまり飲まなかったかな? と感じても、1日のトータルでしっかり飲めているようでしたら、ミルクを追加しなくても大丈夫です。

それでも母乳の分泌が悪いときや、赤ちゃんがママの乳首からは上手に飲めないという場合にはミルクの追加も必要になってきます。

ミルクを追加した方がいいかどうか、心配な場合は母乳育児相談室や助産師に相談してみてくださいね。

 

<ミルク追加時の注意点>
1)必ず最初に母乳をしっかり飲ませてから、ミルクをあげるようにしましょう。
2)ミルクの追加量は、授乳間隔が2時間半〜3時間以上あかない程度を目安に調整してください。
3)ママの乳首と哺乳ビンの乳首との混乱を避けるために、スプーンやコップでの哺乳をおすすめします。
▶︎哺乳ビンを使用する場合は、桶谷式とピジョンで共同開発した「母乳相談室」をおすすめします。これは赤ちゃんが母乳が上手に飲めるようになるための訓練用哺乳ビンなので、母乳を飲む時と同じような舌の使い方ができるからです。

 

桶谷式って?

桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。

第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。

また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。

現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ助産師たちによって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。

現在の会員数は550名。

全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。

監修:公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会

桶谷式母乳育児相談室

「おっぱいが出ない」「おっぱいが痛い」「赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれない」「ちゃんとおっぱいが出ているか不安」という悩みを抱えたママたちに、乳房をやわらかくしておっぱいをスムーズに出す、独自のマッサージを行う全国約330の桶谷式母乳育児相談室。授乳や搾乳の指導も行っているので、以下「OPPA!」 から気軽に相談できますよ。

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