babycoオンラインコンテンツディレクターであり、雑誌・書籍の編集者。カナダで短期大学、映画制作専門学校卒業後、新聞記者、ラジオDJ、TVドラマの編集など多様な分野の知識を得て帰国。帰国後は雑誌編集を中心に活動し、広告案件においても企画・コンセプト立てから担う。ライフスタイルを得意とし育児媒体には20年携わっている。
葉酸は妊活&妊娠中だけでなく、授乳期にも必要って知っていましたか? 時期によって葉酸の役割は違うのです。
大切で必要なのはわかっていても、実際、いつもの食生活ではどれぐらい摂取できていてどれくらい足りないのか知りたいですよね。
1日の必要摂取量を食べ物に置き換えてみましょう。
妊娠がわかった時に、産婦人科医から葉酸を処方されたママは少なくないのでは?
そう、いまや「妊娠したら1日でも早く葉酸の摂取を」はママたちの間で常識になりつつあります。それどころか、テレビコマーシャルなどをみて「妊活中から飲むといい」と知っているママも多いでしょう。
そんなママたちに今回お伝えしたいのは、
ということ。
そう、葉酸は妊活中はもちろん、妊娠中、産後の授乳中も葉酸は必要なんです。
が気になるママもいるでしょう。
まずは厚生労働省のデータで、葉酸摂取量と推奨量を見てみましょう。
このデータは妊娠の有無に関わらず、年齢別に必要な葉酸量を示したものなのですが…
<葉酸摂取量と推奨量>(図1)
参考資料:厚生労働省 平成 29 年国民健康・栄養調査 厚生労働省 日本人の食事摂取基準
調査結果のグラフを見てみると、妊活&妊娠中および産後の授乳期と考えられる年齢に、葉酸が不足していることがわかりますよね。
20〜40代の女性は押し並べて推奨量よりも摂取量が少ないんです。
妊娠をしていなくてもこの記事を読んでいるママは葉酸が不足している可能性が高い!ということになるんですね。
厚生労働省の「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では
妊娠を希望する女性は、胎児の神経管閉鎖障害発症リスク低減のために 十分な葉酸摂取(400μg/日)が必要となります。しかし、非妊娠時の 30 歳未満の女性の葉酸摂取量は 300μg/日にも達しておらず、葉酸の摂取源の一つである緑黄色野菜の摂取量も 十分ではありません。
と記されていました。
葉酸はビタミンの一種で、
◆ホルモンバランスを整え貧血予防をしてくれる
◆おなかの中の赤ちゃんの先天性疾患のリスクをさげ、正常な発育を促してくれる
ので、ママにとっても赤ちゃんにとっても、とても強い味方!
神経管閉鎖障害と深い関りがあって不足していると赤ちゃんの疾患リスクが高まるデータもあることから、これを心配して葉酸サプリを飲んでいるママもいるようです。
厚生労働省では、神経管閉鎖障害に大きく影響する妊娠する1カ月以上前から妊娠3カ月までの葉酸の摂取を呼び掛けていますし、それを受け産婦人科でも妊娠した女性に葉酸サプリなどで摂取を薦めているというわけです。
でも、妊娠に気付いた時期や産院で葉酸を進められた時期は、すでに厚生労働省が推奨する妊娠3カ月を過ぎているという人もいますよね。
と感じてしまったママもいるかもしれませんね。
ですが、もう一度厚生労働省のデータを振り返ってみましょう。妊娠していなくても、葉酸の摂取量が不足している可能性は高いんです。
そして妊娠中期から後期はもちろん産後の授乳期にも、その時期によって役割は異なりますが、葉酸はママの体にとってとても重要な栄養素なんですよ。
葉酸の役割について、管理栄養士の岡本正子先生に教えていただきました。
葉酸には、おなかの中の赤ちゃんの細胞分裂を促進する作用のほかに、ビタミンB12とともに赤血球の形成を助ける働きがあります。
ですから妊活中や妊娠初期の葉酸摂取は、神経管閉鎖障害などの先天性リスクをさけられることが期待されています。
また妊娠中はママの体から血液を通じて赤ちゃんに栄養や酸素を送り込むため、貧血を感じるママもいます。
葉酸は血液を作り出す働きを助けるので、貧血予防のためにも赤ちゃんがどんどん大きくなる妊娠中期から後期にも、葉酸が欠かせません。
そして気になる産後ですが、母乳も血液をもとに作られているため、卒乳をするまでの授乳期にも葉酸の摂取を心掛ける必要があるということなんですね。
葉酸は、肝臓におけるメチオニン代謝にも働きかけます。
メチオニンとは、肝臓の機能を活性化するアミノ酸で、血液中のコレステロール値を下げる役割があることでも知られています。
メチオニンが不足すると肝機能障害を引き起こす恐れもありますし、肝臓が弱ってしまうと、タンパク質が十分に生成されなくって抜け毛などの原因にもなります。
妊娠中から授乳中にかけては、眉毛が薄くなったり、抜け毛が進んだりするママも少なくありません。抜け毛は一時的なものですが、葉酸不足や肝機能の低下がこんなことにもつながっているんですよ。
「葉酸はいつまで必要か?」をまとめると、妊活&妊娠中から産後の授乳期までということになりますね。
岡本正子先生:管理栄養士・国際薬膳師。著書に『おいしい症状別レシピ 妊娠&授乳中のごはん150』(日東書院)ほか
厚生労働省が策定している「日本人の食事摂取基準2015年版」によると、1日あたりの成人女性の推奨量は240μg(マイクログラム)です。
また、厚生労働省がすすめている1日の葉酸摂取量は、妊娠前4週から妊娠12週まで400μg /日だそうです。
これは例えば、芽キャベツ15個、ブロッコリー10房! なかなかの量ですよね。
そして、妊娠時期の推奨量は、妊婦は+240μg、授乳婦は+100μgとされています。
表にするとこんな感じです♪
<葉酸の1日の推奨摂取量>
|
一般の成人女性 |
妊活中 |
妊娠 |
妊娠 |
授乳期 |
---|---|---|---|---|---|
推奨量 |
240μg | 240μg + 400μg |
240μg + 400μg |
240μg + 240μg |
240μg + 100μg |
最初のグラフ(図1)でわかったように、妊活&妊娠および授乳期ではなくても葉酸の平均摂取量は推奨量よりも少なかったわけですから、よっぽど心掛けていないとですよね。
葉酸は、緑黄色野菜をはじめ豆類、果物などの身近な食品に含まれています。ビタミンの一種ですから調理によって葉酸が損失されますし、体内に蓄積することも難しいので「毎日摂取することが必要」です。
<葉酸が多く含まれる食品>
食品名 |
目安の量 |
可食部重量 |
葉酸含有料 |
---|---|---|---|
ほうれん草 |
2株 | 70g | 150μg |
ブロッコリー |
3〜4房 |
70g |
150μg |
グリーンアスパラガス |
3〜4本 |
70g |
135μg |
納豆 |
中1パック |
40g |
50μg |
いちご |
中5粒 |
100g |
90μg |
そのほか葉酸を含むおすすめ食品 アボカド、枝豆、エリンギ、チンゲンサイ、モロヘイヤなどがあります。
葉酸は水溶性のビタミンですが、枝豆はさやごと茹でるので、葉酸が消失しにくいのがメリットです。
葉という文字を見ると野菜類に多く含まれているイメージを持ちますが、野菜以外にもたたみいわしや納豆、マンゴーなど、葉酸が含まれている食品は幅広くあります。
赤血球は4カ月のサイクルで死滅するので、常に新しい赤血球を正常に作れるよう産後も心掛けて摂取できるといいですね。
葉酸を使ったレシピは岡本正子先生がこちらで教えてくれています!
CLICK▶︎葉酸を含む食べものを使った妊娠中におすすめのレシピ 〜枝豆、アボカド、さつまいもなど〜
例えば妊娠初期なら640μg摂取しようとすると、ほうれん草で8〜9株になります。授乳期でも340μgですから4〜5株が目安です。
食事だけで1日の葉酸摂取推奨量を補えないな…と感じたら、栄養機能食品の利用も推奨されています。
ただし、注意すべきことがあるんです!
食べ物に含まれている葉酸と、サプリメントに含まれている葉酸では種類が異なります。
食品に含まれているのは「食事性葉酸」、栄養機能食品や健康食品、サプリメントなどで多く配合されているのは「モノグルタミン酸型の葉酸」です。
この2つは利用効率が大きく異なるため、自己判断でたくさん服用すると過剰摂取になってしまうことが…。
サプリメントを服用するときは、過剰摂取にならないよう用量をきちんと守って服用するようにしましょう。
参考:
厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針(2021年)」
不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと
というときは、何を基準に選べばいいでしょう。
栄養補助食品やサプリメントは、薬ではありません。あくまで栄養摂取のための「補助」的役割で、食品の一部です。
栄養バランスが考えられて配合されているので、葉酸サプリにも葉酸以外の栄養素も配合されています。
妊活中、妊娠中、授乳期と、要さん以外にも必要な栄養素はいろいろとありますよね。
例えば妊活中には、脳神経を形成する働きのある「ヘム鉄」やセロトニンの働きに役立つ「ビタミンD」、授乳期なら血液を作るのに必要な「鉄」や「カルシウム」といった具合です。
ですからサプリメントを選ぶときにも、その時期にあった栄養素が配合されているサプリメントを選ぶようにしましょう。葉酸の役割が時期によって異なるように、葉酸サプリに求めたい役割も変わってきますからね。
そしてママ自身が自分の体もいたわるようにしてください。