babyco編集長。書籍編集者。
新潟の山奥で肉用牛を飼育しながら、野菜やくだものを育てる祖父母のお手伝いをきっかけに、丹精込めて作られた食材のおいしさ、食べることや命の大切さを学ぶ。特集記事、離乳食やママごはんなど幅広く担当。ママ・パパの気持ちに寄り添った記事の制作を心がけている。
人との接し方、働き方、息抜きの仕方など
2020年にガラリと変化した私たちの生活。
“自分でも捉えにくい小さなストレス”が
いつの間にか溜まって爆発してしまわないように、
ママもパパも心と体のホンネを聞いて
自分自身も大切にしながら過ごしていきましょう。
帝京平成大学 ヒューマンケア学部看護科准教授
看護師として2年間手術室で働いたのち助産師の免許取得。大学病院、個人病院、助産院で、2000を超える出産に立ち会う。地域の保健センターで乳幼児健診・新生児訪問を通し、子育てママをサポートする。現在は大学教員として、
助産師・看護師の育成に力を注ぐ。共著に『実習に役立つ!国家試験に使える!母性看護学』『産後ケア講座』(ヒューマンアカデミー)がある。2男1女の母。
おうち時間の今こそ、心と体のホンネに耳を傾けよう|家族時間 自分時間で整えるママとパパの心と体①では、
● 世界中がストレスフルな今、産前産後のホルモンバランスの乱れも関係してママは人一倍ストレスに弱い状態にある
● 「新しい生活習慣への緊張感や苛立ち」に加えて、「体の変化によって不安定になる感情」「育児や家事に追われることの疲れ」といった負担がママに押し寄せている
● 体と心との強い疲労感や不調を感じたら、心がSOSを発しているサイン
など、ママの心と体の状態と、取り巻く環境についてお話ししました。
また、自分の心と体を整えるための大切な知識として
● 「ストレス」と「心身」の関係
● 心が安定 or 不安定なときの体のようす
● 心と体が発するSOSの気づき方
を簡単にご解説しました。
そして、ママが自分の気持ちと和やかに付き合っていくためには、パパのサポートが必須であるというお話をしました。
負担のひとつとして挙げた“新しい生活習慣”のなかには、「おうち時間」「ステイホーム」などの言葉が浸透したように、家族が家で過ごす時間の増加があります。
おうち時間が増えてみてどう感じたか、babycoママとパパにホンネを聞いてみましょう。
家族で過ごす時間が増えたことについてどう思うか?という質問をしたところ、ママもパパも「いいことだと思う」という回答が多く寄せられました。とくに、仕事で家族とふれあう時間が短いパパのほうが「いいこと」だと捉えているようです。
これまでは、仕事を理由に家族との時間が短かったけれど、テレワークや外出自粛でおうち時間が増えて、一緒に過ごせる時間が長くなったのはいいことですね。
一方、家事や育児で家族と向き合う時間が長いママのほうが「悪い面もある」とも感じている結果に。今まではパパが仕事に行っている間は赤ちゃんと自分の分のごはんだけでよかったのが、パパの分もプラス&昼食を適当に済ませるわけにはいかない…といった家事の負担や、常に家に家族がいることでひとりでリラックスできない心の緊張感といったストレスがかかっているのかもしれません。
いいことだと思う理由、いい面と悪い面があると思う理由を詳しく聞いてみましょう。
● ママの意見
【家族について】
・家族のつながりが深まる
・一緒に過ごす時間が増えると笑顔も増える
・実家が遠く周囲に友人もいないので、自分にとっては家族と過ごせる時間が癒しだから
【育児について】
・パパが家にいるので育児の負担が減った
・子どもがパパになつくようになった
・パパに家事や育児を協力してもらえると、負担が減って気持ちに少し余裕ができる
・子どもが小さいうちは、家族で楽しい時間や体験を共有することが大事だと思うから
・シングルマザーでフルタイム勤務だったので、子どもと過ごす時間が増えてうれしい
【夫婦関係について】
・コミュニケーションが増えて、お互いのことをゆっくり話す時間が増える
・妊娠中なので、ひとりで家にいるよりはパパがいてくれたほうが楽しい
など
● パパの意見
【家族について】
・家族だんらんの時間が増えた
・仕事よりも家庭を重視したいから
・夜勤のある仕事なので、少しでも家族と過ごせる時間が増えるのはうれしい
【育児について】
・子どもと遊べる時間が増えてうれしい
・ママが何をしてくれているのかがよくわかる
・子どもとたくさん向き合える、遊べる
【その他】
・仕事のストレスから解放される
・家族のために仕事をがんばっているので、仕事へのモチベーションも高まる
など
● ママの意見
【家族について】
・家族との時間は増えるが自分の時間は減る
・スキンシップが増えるのはいいことだけれど、その分ぶつかることも増える
・家族とのきずなが深まる反面、息が詰まる場面も少なからずあると思う
【育児について】
・子どもはかわいいが、怒る機会も増える
【夫婦関係について】
・長時間一緒に過ごすと、パートナーの小さなことが目につく
・家事や育児の分担をしっかりしておかないとイライラしてしまいそう
【その他】
・仕事が好きなので、仕事をする時間が減る
・収入が減るのが不安
など
● パパの意見
【家族について】
・家族と過ごせるのはうれしいが、仕事面や収入面が不安
【夫婦関係について】
・家事や育児について、ママから不満や指摘を聞く機会が増えてストレスに感じる
【その他】
・自分のことをする時間が減る
・気が休まらない
など
いいことと感じる意見としては、「家族の仲が深まる」「ママの家事・育児の負担が少し減る」「子どもとたくさんふれあえる」などが多く挙がりました。悪い面もあると感じる意見としては、「自分の時間が減ること」がダントツ1位の結果でした。
どんなに仲がいいご家庭でも、家族と24時間ずっと同じ空間で過ごすのは息苦しいときもありますよね。家族の前ではできるだけ笑顔でいたい分、つらいことや悲しいこと、イライラすることがあったときに自分の感情や気持ちと向き合えるひとりの時間や空間はとても大切です。
ホンネ①の“悪い面もあると思う理由”として多く挙がった「自分の時間が減ること」について、どのくらい必要性を感じているのか聞いてみました。ママもパパも、お互いに自分の時間は大事にしたいという意見が多数。ママに関しては、ほぼ100%に近いようです。
こちらも、詳しく理由を聞いてみましょう。
● ママの意見
・仕事、家事、育児だけでは息がつまる
・家族に優しく接するためにもストレス発散は大事
・母親だってひとりの人間! たまには気分転換したい
・子育ても家事もいやじゃないけど、ストレスが溜まらないわけじゃないから
・ただただ時間に追われて家事をするだけになってしまって、自分への満足感がない
・自分を大切にできると、子どもとまた笑顔で向き合える
・疲れた顔を子どもに見せたくない
・自分自身を保つために、ママだって好きなことはどんどんやるべきだと思う
・睡眠時間とリフレッシュする時間がほしい
・家族に当たらないため
・ずっと家族にやってあげてばかりだと、不公平感を感じてイライラしがちになるから
・ママが趣味を楽しんでいる姿を見せるのも、子どもに刺激になると思う
・自分は今ひとりの時間を持てていないために、虚無感を感じることがある
など
● パパの意見
・仕事のストレスを発散したい
・趣味に没頭できる時間がほしい
・やりたいことを我慢するのは心の健康上、よくないと思うから
・息抜きする時間はお互いに必要だと思う
・自分時間を持つことで、家族もストレスなく過ごせると思う
・自由な時間のおかげで仕事をがんばれる
・自分がひとりになることで、ママや子どもも自分の時間を持ちやすくなると思うから
・仕事のスキルアップのための勉強や、家計の計画などに時間を使いたい
など
● ママの意見
・子どもとの時間や家事が自分時間になっている
・ひとりでいても結局家族が気になってしまう
など
● パパの意見
・家族と過ごす時間のほうが楽しい
・仕事は大変だけど、好きなときにトイレに行けたり休憩できたりする。子育てに比べたら自由だから、ひとりの時間はぜいたくに感じる
など
必要派のママとパパからは、「息抜きをしたい」という意見が多く挙がりました。ママは“家事や育児”から、パパは“仕事”から少しだけ離れて気分転換することで、「明日もまたがんばるぞ!」と立ち上がるパワーを補給しているようです。
ママの意見のなかでも印象的なのは、家族の笑顔のために自分も笑顔でいられるようにという声。家庭の雰囲気を大切にしたいと思うママの気持ちがよく伝わってきます。
なくてもいい派のママは、ひとりで過ごしていても家族のことを考えてしまうという方もいるようです。パパのなかには、ひとりで過ごすよりも家族といたほうが楽しいと感じている方も見受けられました。
おうち時間の今こそ、心と体のホンネに耳を傾けよう|自分時間 家族時間で整えるママとパパの心と体①にて、「産前産後の体の変化も関係してママはストレスに敏感」だとお話ししましたが、慣れない生活のなかでストレスを感じているのはパパも同じ。家族に対してピリピリしても、ひとりの時間をお互いに確保して感情や気持ちをコントロールできれば、家族ともおだやかな気持ちで向き合えます。
お互いに“心と体をリセットする時間”が必要なこと、新しい生活スタイルに適応しようとがんばっていることを理解し合って、それぞれの自分時間を持てるように寄り添いましょう。
とはいえ、赤ちゃんのお世話はつきっきりでしなくちゃならないし、思い通りにいかない毎日のなかでひとりの時間を確保するのはそう簡単ではないですよね。
パパは急に家が仕事場になって、環境を整えることから苦戦中だと思います。ママと赤ちゃんを攻めるつもりはないけれど、泣き声や食器を洗う音が気になったり…。
ママとパパができるだけストレスなく、自分の時間を過ごせるようになるにはどうしたらいいのでしょうか。
おうち時間のいいところには、「今まで見られなかったお互いのがんばりを、そばで見られること」もあると思います。
例えば、普段ママは、パパが職場で働く姿を直接見ることができませんから、お仕事をがんばるパパのようすを知ることができます。「パソコンを使いこなしてすごいな」「こんな風に働いて、家族を支えてくれているんだな」と、がんばりが具体的に見えますよね。
反対に、パパは日中のママの姿を見ることができませんから、赤ちゃんと向き合いながら家事をこなすママのがんばりを見ることができます。「育児ってかわいいだけじゃないんだ」「大変そうだから自分も協力しよう」とやる気を出してくれたら、ママの負担も減り、気持ちにちょっとでも近づけます。
こうした“今まで見えなかったがんばり”をフォローし合うことは、お互いに自分の時間を持てるヒントになるんです。
● ママへのフォローのヒント①
生後まもない頃のお世話で
ママが赤ちゃんにつきっきりな場合
生後すぐは24時間そばにいるので、ママは食事やトイレでさえ落ち着いてするのが難しいです。1日3食のうち1食でいいから食べたいときに食事ができたり、トイレでひと息つけたりするだけでホッとするので、パパはママのようすを見てできるだけサポートを!
● ママへのフォローのヒント②
家事の負担が増えて
ゆっくりと座って休むひまもない場合
パパの在宅により家事の負担が大きいならば、「お昼はお弁当を買ってこようか?」といった“パパからの提案”があるとママの負担が軽くなるかも。朝と夜の通勤時間帯は子どものお迎えをお願いするなど、相談&シェアしましょう。
● パパへのフォローのヒント①
家で仕事をしたいが、家事の音や
子どもの泣き声で集中しづらい場合
パパが家で仕事をする日は、1日の仕事内容や流れをママに共有しましょう(共働きならばお互いに共有するとgood)。説明が難しい場合は「○時に会議があるからこの時間は集中したい」といった予定を教えてもらえれば、「じゃあこの時間帯は赤ちゃんとお散歩してこよう」と、ママも1日の動きを調整しやすいですね。赤ちゃんの行動は予測が難しいですが、会議や仕事は前もって動きを予測しやすいのでパパもママに共有しやすいと思います。
● パパへのフォローのヒント②
在宅でのオンライン会議などで
子どもが騒いだりしないか気になる場合
リモートワーク中はオンラインでの会議もあるので、会議中に子どもが騒いだり、ひょこっとお顔を出したりしないかドキドキですよね。こうしたドキドキを軽くするためにパパ自身でできることとして、「会議中に子どもの声が聞こえてしまうかもしれません」と事前に会社の人へ伝えておくと気持ちが軽くなると思います。パパが周囲に伝えておいてくれると、ママも「赤ちゃんが泣いて申し訳ない」という気持ちが軽くなりますし、家で家族と過ごすというのは当然なことですから、案外、想定内と思ってくれる人が多いはず。
イラスト:きど ふみか
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