睡眠中に動き回るのは寝相が悪いから?赤ちゃんに「寝過ぎ」はある?脳科学で紐解くねむりのギモンQ&A

赤ちゃん 睡眠
2023/03/23 2024/01/13 太田菜津美 太田菜津美

睡眠中に動き回るのは赤ちゃんの寝相が悪いから?
うちの子、こんなに寝てて大丈夫?
24時間のサイクルってどうやって整えてあげたらいいの?

夜泣き対応や寝かしつけのコツのほかにも、赤ちゃんの睡眠は気になることがたくさん。
こうしたママのギモンに、脳科学や遺伝子的な視点も交えながらお答えします。

監修
玉川大学 農学部・脳科学研究所
佐治 量哉先生

玉川大学准教授。ねむっているときの赤ちゃんの心の声(脳波)に耳を澄ます。音が出る絵本やプラネタリウムのキッズプログラムの監修も行う。目指すは「宇宙から赤ちゃんまでを語れる科学者」。

赤ちゃんの睡眠に関するQ&A

ママが抱いている赤ちゃんの睡眠に関するギモンや不安について、赤ちゃんのねむりのプロである玉川大学赤ちゃんラボの佐治 量哉先生にお聞きしました。

人によって睡眠時間が違うのはなぜですか?

ママのイラスト

私は毎日たっぷり寝たい派で、夫は5~6時間睡眠でもへっちゃらそうです。人によって睡眠時間が違うのはどうしてですか?子どももどっちかに似るのかな?
(3ヵ月の男の子ママ)

睡眠時間の個⼈差には、遺伝⼦の働きも関係しています。

睡眠時間には、⼤きく分けて次の2つの遺伝⼦タイプがあります。

①⻑くねむらないといけない遺伝⼦の⼈
②短めのねむりでも大丈夫な遺伝子の人

夜泣きはなぜする?その答えは「脳」にもあった!脳科学で紐解く赤ちゃんのねむりの記事でお話ししたように、人間の脳は、寝ている間に、昼間に学んだ情報を整理整頓したり、脳のなかのネットワークをつなげたりしています。

そうした日々の脳のメンテナンスには化学的な物質のやりとりが関わっていて、①タイプの人はやりとりにちょっと時間がかかり、②タイプの人はやりとりがスムーズに行われやすいという違いが、睡眠時間にあらわれていると考えられています。

物質のやりとりにかかる時間は遺伝子で決まっているので、生活リズム云々ではなかなか変えることはできません。

睡眠時間=脳が正常に働くために必要な時間なので、例えば、長くねむらないといけない人が睡眠時間を短くしようとすると、脳の働きに影響が出る可能性も。

ただ、赤ちゃんの時期は、ねむっている間に脳の突貫工事をしているようなもので、大人とは少し異なるため、遺伝子の働きを気にし過ぎてもいけません。成長に合わせて、必要な睡眠時間をしっかりと確保してあげてくださいね。

子どもの「寝過ぎ」ってどこからですか?

ママのイラスト

0歳の子どもを育てていますが、親が心配になるくらいずっと寝ています。赤ちゃんにも寝過ぎってあるんですか?
(5ヵ月の女の子ママ)

⾚ちゃんは⼤⼈がびっくりするくらいよくねむりますから、⼼配になることもありますよね。 

⾚ちゃんの1⽇の睡眠時間は、成⻑とともに変化します。

・新⽣児の時期:約14〜17時間
・⽣後4〜11ヵ月:約12〜15時間
・1〜2歳:約11〜14時間

上記が、⾚ちゃんの平均的な睡眠時間の⽬安とされています。この⽬安を2時間程度超えるようであれば「もしかしたら寝過ぎかも?」と考えてみてもいいかもしれません

しかし「人によって睡眠時間が違うのはなぜ?」の質問でもお話ししたように、寝ている間に⾏われる脳や体のメンテナンスにかかる時間はひとりひとり違います。

あまり神経質になり過ぎず、睡眠時間も個性と考えて、おおらかに⾒守ってみるといいでしょう。 

ただし、幼児期になると、親⼦のコミュニケーションや体を動かす機会を得るという点で、寝ている時間だけでなく起きている時間にも意味があります

コミュニケーションや運動は脳にとっても豊かな刺激になるので、幼児さんの寝過ぎには少し気をつけたいですね。

 

赤ちゃんの睡眠サイクルは何ヵ月頃からできるのですか?

ママのイラスト

大人と同じように、朝起きて夜寝るのサイクルを整えてあげるには、どうしたらいいのでしょうか?何ヵ月頃から24時間のサイクルができるもの?
(2ヵ月の女の子ママ)

「⾚ちゃんの24時間のサイクルはいつできるのか?」を考えるとき、⽣まれたあとの過ごし⽅だけでなく、⽣まれる前の過ごし⽅にも注⽬してみましょう。

胎内にいる⾚ちゃんは、妊娠37週くらいまでは8時間寝て8時間起きて…という過ごし⽅はしておらず、 動いて、静かになって、動いて…という過ごし⽅をしています。そのため、規則的な睡眠のサイクルはありません。 

⽣まれたばかりの⾚ちゃんは、しばらくは胎内にいたときの過ごし⽅に依存しながらねむります。おなかの外に出ても、まだおなかのなかにいる気分で過ごしているというわけですね。

まだ胎内にいる気分の⾚ちゃんに「お外の世界だよ」と教えてあげるには、太陽の光、⾳などの“ママ以外の外の環境”を届けてあげることが⼤切です。

太陽の光が⽬に届き、⿃の 鳴き声が⽿に届き、脳に届くようになってはじめて、24時間という時計をつくることができます。24時間の時計は、⽣後8週間くらいから調整が始まり、16週くらいには完成するとされています。

この頃になると、朝は低くて⼣⽅は少し⾼いという体温や⼼拍のリズムなども整ってくるんですよ。

 

赤ちゃんが寝ているときは無音のほうがいいのですか?

ママのイラスト

寝るときは静かな環境をつくってあげるのがいいのかなと思うんですが、無音がいいのでしょうか?
(1ヵ月の女の子ママ)

シーンとした環境で寝ようとすると、無⾳が気になってねむれないということはありませんか? 反対に、家族の話し声や⽣活⾳、テレビの⾳を聞きながら、気づいたらソファーで寝ていた…なんてことはないでしょうか。

それは、朝晩問わず、私たちが音のある環境で生活していて、無音よりも音のある環境に慣れているからです。

⾚ちゃんにとってねむる時間は胎内の外の睡眠環境に慣れる時間でもあります

そのため、無⾳が普通になってしまうと例えばママが⾷器を洗ったり、夜に少しでも⾞やバイクが⾛ったりしたら「なんでこんなにうるさいの!」と音に敏感になってしまいます。

保育園や幼稚園でのお昼寝、⼩学校の修学旅⾏の就寝など、ほかの⼈と同じ空間でねむる機会があることも考えると、多少は⽣活⾳があるところでねむれるといいですね。

常識の範囲内のノイズがある場所で寝る習慣をつけるという視点をもつといいと思います。

 

睡眠中に動き回るのは赤ちゃんの寝相が悪いから?ほっといても大丈夫ですか?

ママのイラスト

寝かしつけたときはしっかりお布団をかけてるはずなのに、寝ている間にキックされたり、布団の隅っこに移動していたりするんです。これって寝相が悪いの?そのうち落ち着くものですか?
(2歳の男の子ママ)

⾚ちゃんってね、動きながらねむるんです。「ねむるときは静かにねむる」という⼤⼈の感覚からすると意味がわからないと思うんですが、⾚ちゃんは動きながらねむります。

それが普通なんです。何も⼼配はいりません。

私たち⼤⼈が筋⾁を動かそうと思って動かしているのと違って、乳児期の前半は動かそうと思って動かしている筋⾁が少ないんですね。胎児期のなごりが残っているので、乳児期の前半はねむっているときでも筋⾁が勝⼿に動くんです。

⼤⼈のように、筋⾁を動かそうと思って動かせるようになれば「ねむっているから、筋⾁さん静かにしてね」と脳がコントロールできるようになって静かにねむるようになりますよ。

ただし、注意すべき点は暑さです。

ママやパパと川の字になって寝ていて、⼤⼈⽤のお布団をかけて寝ることもありますよね。⼤⼈⽤の布団は、⾚ちゃんにとって暑過ぎるんです。

そのようなケースでは、必死になって暑さから逃げようとして寝相が悪くなっていることもあると思います。

お布団のかけ過ぎ、暖房の効き過ぎも気にかけてみるといいかもしれませんね。

 

赤ちゃんも睡眠不足になることがあるのですか?

ママのイラスト

私や夫の仕事の都合で、寝かせる時間が遅くなってしまう日があります。子どもにも睡眠不足ってあるのかなぁと気になりました。
(6ヵ月の男の子ママ)

睡眠不⾜の定義を「寝ているんだけれどなんらかの社会的な理由のために睡眠が途切れること」とした場合、第1⼦は睡眠不⾜にならないことが多いです。

それは、たとえ寝る時間がいつもより遅くなっても、⼦どもの起きる時間を柔軟に変更することができるからです。

ですが、第2⼦、第3⼦以降になると、この意味で睡眠不⾜になることがあります。それは、第1⼦は「あなたが優先」できたのに⽐べて、第2⼦、第3⼦以降は上の⼦を中⼼とした家庭のリズムができあがっているから

たとえば、上の⼦が3歳くらいになっていて、保育園に⾏くから下の⼦も起こされるということが起こります。睡眠不⾜かどうかは、⽣まれた順番も関わってくるんですね。

では、下のお⼦さんたちはどうやって睡眠不⾜を補っているかというと、お昼寝です。第2⼦、第3⼦以降は、お昼寝をすごくするんですね。

脳が「なんだか睡眠が⾜りないな」というのを察知して、昼間にちゃんと補おうとするんです。すごいですよね。

夜の睡眠とお昼寝で結局±0なので、⼼配しなくても⼤丈夫ですよ。

 

夜に寝てほしいから昼間いっぱい遊ばせるのは問題ないですか?

ママのイラスト

毎晩寝かしつけをするのも大変なので、夜にすんなり寝てくれるように昼間にいっぱい遊ばせています。これって問題ないですか?(4歳と1歳の兄弟ママ)

はい、問題ありません。

太陽の光をいっぱい浴びると、起きてから14時間後にメラトニンという眠気のホルモンがちゃんと出るようになります。このホルモンがちゃんと出てくると「ねむいぞ」と感じ、体もねむる準備を始めます。

ただし、このようなホルモンの働きのためには、朝ちゃんと起きていることが⼤切です。

すごく早起きしなくていいので、朝7時とかに起きて、午前中に太陽の光をいっぱい浴びると、メラトニンの作⽤も強くなって夜はことんと寝てくれますよ。

 

早く生まれたわが子が寝ません。どう向き合ったらいいのでしょうか?

ママのイラスト

うちの子は予定日よりも2ヵ月早く生まれました。そうでない子に比べて成長や発達に不安があり、睡眠に関してもなかなか寝ません。どう向き合ってあげたらいいのでしょうか。
(1ヵ月の男の子ママ)

早産のお⼦さんの⼦育ては、周囲が厚意でかけてくれている⾔葉やサポートにも不安を感じたり、びっくりしたりして、親も⼾惑う場⾯が多いですよね。

産婦⼈科に⾏き「妊娠しました」となると、出⽣予定⽇というのがつきます。その出⽣予定⽇よりも早く⽣まれた⼦が早産、そのなかで極めて早く⽣まれた⼦が超早産です。

極めて早くというのは、例えば予定⽇の3ヵ⽉前に⽣まれるなどです。

早産の場合、本来ならばママの胎内で成⻑・発達すべき時間を、保育器という外の環境で成⻑することになります。

早産のお⼦さんがいるママから「うちの⼦、夜全然寝ないんです」というお話を聞くことがありますが、それってじつは当たり前なんですね。なぜなら、睡眠の考え⽅は早く⽣まれても遅く⽣まれても40週0⽇を起点として成熟するから

予定よりも早くに⼈⽣が始まっているけれど、睡眠のスタートはそうでない⼦と同じです。⽣まれてから全然寝ない、あるいはねむりが安定しないのは、まだ⽣まれる前の睡眠の仕⽅をしているからなんですね。

今はクラスに1⼈や2⼈は早くに⽣まれた⼦がいる時代。早産のお⼦さんが増えている分、悩んだり不安に感じたりしているママ・パパも多いでしょう。どれだけ早く⽣まれたかにもよりますが、いずれ、みんなに追いつけるようになると信じてみましょう。

⼀緒にがんばりましょう!

 

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