【命をまもる防災】 第1回 「避難グッズや非常用持出袋だけじゃない! 子どもの命をまもる、親としての正しい行動って?」
babycoわからないをわかるにかえる連載、ママと赤ちゃんの命を守る「防災」、「防災対策」を一緒にまなぶコラム!スタートです。
国士舘大学 防災・救急救助総合研究所 嘱託研究員。
『訓練に勝る防災はナシ』をコンセプトに、数々の大手企業や自治体の防災計画の立案、計画実施のための訓練設計と教育を務めている。また、
大手スポーツ製品メーカーや消防製品メーカーなどの防災アドバイザーとして防災製品の開発にも参加。オンラインで防災訓練を行うなど、あらゆる側面から防災を根付かせる活動を行っている。子育てメディアbabyco(ベビコ)にて防災コラム連載中! 自身も3児のパパ。
ママたちの「防災」への関心が予想を上回っている!
babycoでは、9月半ばから11月いっぱいまで、防災に備える「非常食お試しセット」プレゼントキャンペーンを行いました。そこでびっくりしたのは、応募数です。
なんと! 2ヵ月で約3000人のママたちから応募がありました! 非常食のお試しが魅力的だったのかな〜、と編集部でも目を見張るほどの高い数字。
また、そのあとに行った防災の専門家の佐伯潤先生と作った「防災についての44のアンケート」では、約1000人のママたちが参加してくれました。
そこで「いままで大きな災害に遭ったことがありますか」という質問には、「大きな災害に遭ったことがない」59%(486人 )。種類はさまざまですが「大きな災害に遭ったことがある」は 41%(441人)との答えをいただきました。
半数に近いママたちが大きな災害を経験していることがわかり、あらためて、ママたちの防災への関心が高まっているなと実感しました。
「大きな災害に遭ったことがありますか?」
2022年11月15日〜11月30日
babycoママ930人アンケート実施
なぜ、いま「防災」が重要なの?
「地球環境の変化」。台風、豪雨、洪水、山火事など、「これまでに体験したことのない」大きな被害が日本、世界各地で起きて、命にかかわる被害にさらされています。
「これだけは起きてほしくない災害は?」というアンケート結果を見てみると、一番来てほしくないのは「地震」、次に来てほしくないのは「火事(火災)」、「津波・洪水などの水害」と続いています。じつは、自然災害に「火事」は入らないと消防庁の取材でもおしゃっていました。
ところが、地震などの大きな自然災害で一番怖いのがこの二次災害で、
2011年の東日本大震災でも、約7割が二次災害の「火事(火災)」で家などを失うなどが起きてしまったと消防士の方々が、そのこわさを教えてくれました。
「個人的に、これだけは起きて欲しくない災害とは何ですか?」
babycoの防災は、避難グッズを教えるだけじゃない!
babycoはママと赤ちゃんの命を守る「家族の防災」について考える特集を今までに何回かお届けしてきました。
「家族の防災」について載っている記事はこちら
babycoの防災記事を監修しているのが佐伯潤先生です。
佐伯先生は、国士舘大学防災・救急救助総合研究所嘱託研究員で、自治体で教育や新技術に関する防災事業のアドバイザーを務めるほか、大手企業の防災計画立案から計画実施、訓練設計を教育するなど、防災のプロとして活躍しています。
佐伯先生の防災のすごさは、非常用持出袋の中身をそろえるだけではありません。避難グッズをアドバイスするだけでもありません!
防災とは何か?
「なぜその防災をする必要があるの?」を考えてから
「だからこうする」と防災の重要性を説得力ある言葉で教えてくれます。
編集部も防災ワークショップやオンラインライブで参加した人たちも、みんな佐伯先生のすごさを体験済み!
佐伯先生の防災テクニックを知っているのと知らないのとでは、災害後の過ごし方が大きく変わります! 命をまもる方法がわかるんです。
これはもう、ぜったいにbabycoのママたちに伝えたい!
今月から「佐伯潤の命をまもる防災コラム」をお届けすることにしました。
いきなりで驚かないでください。佐伯先生はこう言うんです。
「わが子より、自分を優先するのが防災」
えっ! そんなはずないでしょ。佐伯先生だって3児のパパさんですよね。
って何度も聞き直しました。
「だからこそ、わが子を守るためには、自分が命を落としたり、ケガをしないことが重要!!」と。
それでは、佐伯先生のコラムをどうぞ〜。
もしものときには、子どもをまもる保護者がまず、 「自分自身の安全と命をまもる」必要がある!
みなさんこんにちは「命をまもる防災」について、取り組んでいる佐伯です。
まずは、防災の基本を考えるために、飛行機に乗った時のことを思い出してみてください。
離陸前に非常事態に備えた脱出経路の確認や、ライフジャケットの着用方法について説明がされますね。
急激な気圧の変化などに応じて、天井から酸素マスクが降りてくることがあります。子ども用には小さなサイズの酸素マスクを客室乗務員が渡してくれます。保護者が子どもに酸素マスクをつける場合、最初に保護者自身が酸素マスクをつけてから、子どもに酸素マスクをつけるよう指導されますよね。
この順番こそが防災の基本。「自分自身の安全が最優先」ということなのです。子どもをまもりたいがために先に酸素マスクをつけようとしてあたふたすると、保護者が意識を失い、結果的に子どもも意識を失ってしまうリスクがあります。
だからこそ、まずは保護者自身が酸素マスクをつけて呼吸を確保する必要があるんです。
「何があってもこの子だけは」的なスピリットがふつふつと湧いてくることでしょう。でも、防災では自分自身の安全を最優先にしなくてはいけないのです。
とくにまもるべき小さな命がそばにあるときは、なおのこと自分自身の安全が重要かつ最優先になります。
もちろん、子どもに命の危険がある場合、放っておくという意味ではありません。命の安全を確保してからの行動のことです。「子どもの命を捨ててまで行動を!」と間違った認識はしないでくださいね。
まずは親であるみなさんが自分自身の安全を確保できることが、防災にとってとても重要な前提となってくるわけです。
子どもの命をまもるための保護者の責任とは何かを 具体的に考えてみましょう
あなたと、あなたの子どもが一緒にいて被災したとします。
安全そうな場所を見つけて、そこまで移動できるのは、あなたと、あなたの子どものどちらですか。
スマホのアプリを駆使して助けを求められるのはどちらですか。
まだ歩けないような小さな子どもの場合、当然、子どもの安全を守るのは保護者の仕事です。かといって、保護者自身の安全を無視するわけにはいきません。普段の生活では、それは当たり前のようにできています。
出かけるとき、外が寒ければベビーカーの子どもにもう1枚ブランケットをかけておこうかと考えますよね。そのときに、あなた自身は当然にコートを着用していることでしょう。自分が風邪をひかないように、守る行動をとっているわけです。
災害時にも、このような当たり前の判断をとることができるでしょうか。
夜半の被災で停電しているさなか、近所で火事が発生したとします。街灯も消えた暗い夜道を、子どもを抱いて避難するのに、あなた自身の安全は十分でしょうか。スマホの照明ではバッテリーや明るさが心配ですし、懐中電灯では片手が塞がってしまい転倒してしまったら、身を守れずにひどいケガをするかもしれません。そうならないようにするにはどうしたらいいのかを考えてみてください。両手が使えるようにできる灯りといえば?
ヘッドライトを準備しておくべきでしょう。
あなたが暗くてよく見えないと感じているときは周囲の人々もよく見えていません。思わぬ衝突を回避するために反射材は用意してあるでしょうか。
保護者がケガをして動けなくなってしまったら、子どもの安全は誰がまもるのでしょうか。あるいは、保護者の事故に子どもも巻き込まれてしまうかもしれません。
理想的かつ現実的な防災とは、外が寒いからコートを手にするのと同じ様に、自然に安全のための選択ができることではないでしょうか。自身の安全確保を当たり前にできるからこそ、よりいっそうの注意を子どもに向けることもできます。
自分では何もできない小さな子どものことが心配になるのは、親心として当然ですが、いまいちど自分自身の安全について考えてみることも非常に大切な防災の取り組みになることも覚えておいてほしいです。
防災の絶対的なルール、それは「自分自身の安全が最優先」です。
この記事を書いた人
書籍・雑誌の編集者であり、知育アドバイザー。絵本をはじめ子育て・知育・教育学習本などの企画から編集制作に携わる。
15年前にスタートした育児情報誌『babyco』を通して、上手な子育てには親の学びがとても大事! 親として学び途中なんだから失敗したっていい! と思うようになりました。知っていれば子育てで起こる様々な出来事について対処できます。突然何か起きても、知っていれば考えることもできます。学んで知って考ることで、子育てがもっと楽しく深くなっていくんじゃないかな〜と。さあ! 親が学べるbabyco、親育のためのコンテンツをたくさんつくっていきますよ。私たちも一緒に学んでいきます!