30代後半で第1子を出産。完璧主義で、まわりの人の気持ちを察しやすいHSP気質を活かし、レストランサービスや教育関連の仕事に携わる。妊娠中よりライターを目指し、子育てブログも開設。
HSP気質なママさんは、子育てでもストレスの発散がうまくできず、人一倍疲れやすいのではないでしょうか。私もHSPママのひとりです。
自分の気持ちは二の次だった私が、あることをきっかけに子どもと同じくらい自分のことも大切にし始めたら、心も体もグッとラクになったのです。今回は、私の実体験をふまえながら、HSPママさんが少しでもラクになるケアの方法をご紹介します。
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した「生まれつき感受性が強く、とても敏感な性質を持っている人」という心理的な概念です。
ここ数年、日本でも「繊細さん」といった呼ばれ方でその存在が知られるようになったので、聞いたことがあるママも多いのではないでしょうか。
私自身が「私ってHSPなんだ」と気づいたのは、「繊細さん」の呼び名が広まるきっかけとなった『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(武田友紀著・飛鳥新社・2018年)との出会いでした。
この本の著者である武田友紀さんによると、HSPについて以下のように書かれています。
ー繊細さんは、相手の感情やその場の雰囲気はもちろん、光や音まで、まわりの人が気づかない小さな変化を感じとっているのです。
ーまわりの人が気づかないささいなことに気づく。あなたが持つ繊細さは性格上の課題ではありません。「ただ繊細に生まれついた」という気質なのです。
出典:武田友紀著『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(飛鳥新社・2018年・17ページ)
毎日の家事や育児の小さなことが気になってしまう。そのせいでストレスを抱えていた私は、この本を読んで「性格ではなく生まれながらの気質なのね!」と知れただけで、とても救われた気持ちになりました。
「もしかして、私もそうかも?」と思う方がいたら、一度HSPについてこの本を読んでみるのもいいかもしれません。
HSP気質な私は、家事や育児でなるべくストレスを抱えないように、あることを意識しています。
それは、“子育てに完璧を求めない”。
○時になったからお風呂に入れなくちゃ!
子どもが泣いてるからすぐにかけつけなくちゃ!
HSPの長所でもある「気にする力」が、いつの間にか「気にし過ぎる」ようになり、「絶対にそうしなくてはいけない」と思ってしまうことが多々ありました。その結果、自分で決めたルールを守れなかったときに大きなストレスがかかり、自己嫌悪に陥ってしまう日が増えたのです。
このままでは身も心ももたない…と疲れ切った私は、夫に相談。すると、こんな言葉が返ってきました。
「あまり完璧を求めず、ママ(私)の気持ちが少しでもラクな選択をしていいんじゃないかな」
この言葉を聞いてから、子どものことはもちろん、自分のことも大事にしようと考えられるようになったのです。
今でも、自分で決めたことを「絶対に」やろうとして苦しくなりかけることがありますが、そんなときは「ほどほどで、いっか!」と切り替えています。
あれもこれも完璧にしなければと思わなくなると、驚くほど気持ちがラクになりますよ。
このままでは自分を見失ってしまうのでは?!と危機感を持った私は、どうすれば自分の気持ちをラクにできるかを考えました。
私の場合は、
・神経質で敏感
・周囲に気を使いやすい
・気疲れからくる体のだるさが毎日のようにやってくる
といった気質が強く、例えば仕事のような、外部からの大きなストレスがかかっているわけでもないのに、1日が終わるたびにドッと疲れてしまうこともありました。
そうした自分の気質を受け入れて、育児をしていくなかで見つけていった“気持ちがラクになる方法”を4つご紹介します。
“1日中家にいるからといって、子育てをしながらすべての家事をこなす必要はない”と、今の私は考えています。
“どうしても自分でやりたいと思う家事を1つでもできたらOK!”と気楽に考えることで、全部できなかったときに自己嫌悪に陥ることが減り、小さな達成感で心に余裕が生まれました。
夫の育休終了後、「私は働いていないのだから家事は全部やって当たり前!」と思ってしまいがちでした。
しかし、いざワンオペ育児が始まると、1日があっという間に過ぎ去ってしまいます。
洗濯物、まだ干してなかった!
哺乳瓶の消毒をしないと!
自分の食事もままならず、気づけば夕方にお昼ごはんを食べていることもしょっちゅう…。体力はどんどん落ちていき、メンタルも弱くなっていたのを覚えています。
そんな私を見た夫は「家事は全部やる必要ないよ! 洗濯とか、俺が帰ってきてから夜に洗ってもいいんだし。無理はしないで」
幸いにも、協力的な言葉をかけてくれた夫のおかげで、私は少しずつ完璧を求めなくなりました。
子育てをしていると、ほかのお子さんとわが子を比較してしまうことがありませんか。
私は、地域の子育て支援センターやSNSのなかでさえも、常によその家の子育てについて気になりがちです。
ほかのママさんの子育てやお子さんの成長のようすを知ることは、自分の知らないことを吸収できるいい機会ですよね。
でも、注意すべきは“ほかの家の子育てと自分の子育てを比較しない”、“よその家のお子さんと自分の子どもを比較しない”ことではないかなと思います。
私は、ほかのママさんの子育てを参考にしたくて、SNSで子育てアカウントをつくりました。
最初は楽しく活用していたものの、ほかのママさんの投稿を見れば見るほどいつの間にか「比較」してしまい、不安な気持ちや嫌悪感まで出てしまったのです。
大切なのは、他人ではなく自分自身とわが子!
SNS以外の場面でも、HSPママが子育ての情報をチェックするときは、“参考にして、いいと思うところは取り入れる”くらいのスタンスでいるほうが楽しく過ごせると思います。
HSP気質があると小さいことに気がつきやすいので、毎日の家事や育児のなかでも何かしら気になってしまいますよね。
とくに、一番身近な存在であるパパの行動には、モヤッとすることがあるのではないでしょうか。
私は結婚当初、夫に伝えたいことを態度や行動だけで示していて、わかってもらえないと「なんでわからないの?」と不満が溜まりがちでした。
ですが、“言葉で伝えないと相手には届かない”ことに気がついたのです。
言葉にして伝えるって当たり前のことですが、不満があっても「私が我慢すればケンカしなくて済む」と溜め込んでしまうHSPママさんは多いと思います。
それ以来、子どもが生まれてからは「自分の気持ちにモヤモヤが溜まりそう…」と思ったら、すぐに夫と話し合うようにしています。
人の気持ちを敏感に感じ取りやすいHSPママさんにとって、自分の気持ちを言葉にして伝えるのは、ちょっと勇気がいるかもしれません。
でも、いつか心がもたなくなって不満が爆発してしまいます。そうならないためにも、ぜひ話し合う時間をつくってみてください。
家族に直接話すのが難しい場合は、『親子のための相談LINE』という厚生労働省のサービスがあります。ひとりで悩み続けてしまう前に、まずは気軽に相談できるサービスを利用してみるのも手です。
『親子のための相談LINE』の相談の流れ、受付時間などはこちら
私もそうなのですが、HSPママさんは大勢の人とワイワイ行動するよりも、ひとりでリラックスして過ごすほうが好きではないでしょうか。
そんなHSPママさんは、月に一度は「ひとり時間」をつくってください!
私は、「とにかくゆっくり休みたい」と泣きながら夫に話したことがあります。泣くなんて恥ずかしい話ですが、それだけ心身の限界を感じていたのだと思います…。
そこで、子どもを夫に任せて「今日1日は自分のための日だ〜!」と、ちょっとお高めのアロママッサージとホテルビュッフェを堪能。心も体もリフレッシュできた上に、家事や育児に対して余裕が生まれたのです。
いっぱいいっぱいでもう疲れたと感じるママは、パパや同居している家族に相談して「月に一度はひとり時間がほしい」と伝えてみてください。
難しい場合は、例えば一時保育やベビーシッターさんにお願いをして、数時間でもひとりになれる時間を確保するのもいいと思いますよ。
最近、“ママが笑顔だから、子どもも笑顔になれる”という言葉をよく見かけます。
HSPママさんは「自分さえがんばればいい」「子どものためならちょっとの我慢は必要」と、極度に自分を追い込んでしまいがちです。
でも、無理してつくった笑顔って、いつか崩れてしまうんですよね。
子どもがいても、自分のやりたいことはやっていい!
働いていなくても、ママが1日中子どものそばにいるからパパが働けている!
「ママってすごい存在なんだよ!」と、胸を張っていいと思っています。
HSPママさんが笑顔で過ごせるために、ぜひ自分自身を大切にできる方法が見つかりますように。もっと自分の心や体の声に耳をかたむけて、一緒に気楽にやっていきましょう♪