食品会社での会社員経験をしたのち、スキー雑誌の編集部に勤務。その後、フリーライターとなり、スキーやスノーボード、ボディボード、ゴルフ、自転車、旅行、ファッションなどさまざまなジャンルを執筆。桶谷式母乳育児で子育てをした一児の母でもあり、現在はbabycoにて自分の育児経験を生かした記事の執筆を行っている。
妊娠中や授乳中のママにとって、新型コロナウイルス感染症に関する心配ごとは山積み! 世の中にはさまざまな情報があふれていて、どれが正しいのか悩んでしまいますよね。コロナに感染したらどうなっちゃうの? ワクチン接種はできるの? 新型コロナウイルスに関する心配ごとにお答えします。
※この記事は、2022年12月27日時点の厚生労働省等、信頼できる公の情報及び、監修の桶谷式母乳育児推進協会の見解に基づいて執筆したものです。今後、新たな情報の進展などにより、記事の内容が変更される可能性があります。
ワクチン接種に関して、世間ではさまざまな意見が出回っていて、ママとしてはワクチン接種に対して心配になってしまうこともあるかもしれませんね。アメリカでは12歳以下へのワクチン接種が可能になり、日本でも近いうちに可能になるといわれています。(2021年10月現在)
日本では2022年10月から乳幼児(生後6か月~4歳)の接種も始まっています。ファイザー社のワクチンを使用することとされており、接種回数は他の年代と異なり3回で1セットになっています。(2022年12月27日現在)
お子さんのいらっしゃるbabyco世代のパパママにとっても気になるニュースです。
厚生労働省では、妊娠している人も授乳中の人も、さらには妊活中の人もワクチン接種はできるとしています。現在の日本で承認されている新型コロナワクチンが妊娠、胎児、母乳、生殖器に影響を及ぼすということもないと報告されていて、妊娠中の時期を問わず、早めに接種しておくことが推奨されています。
ただし日本産婦人科感染症学会・産科婦人科学会の提言では、「心配な方は、器官形成期(妊娠12週まで)のワクチン接種を避けるようにおすすめしています」としていますので、かかりつけの産婦人科医に摂取のタイミングを相談してみましょう。接種前後に超⾳波やドップラー検査などで胎児⼼拍を確認するなどの対応をしてもらえることもあるようです。
ワクチン接種後の6時間から24時間程度は、発熱や接種部位の痛みがでる方もいるようです。
妊婦さんに関してはアセトアミノフェンは使用可能ですが、非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェン、ロキソプロフェン等)は妊娠後半期の使用は避けるべきと考えられています。(国立成育医療研究センターHPより)
すでに赤ちゃんのいるご家庭ではママへのサポート体制をとっておくと安心ですね。 パートナーと同日に接種をするとサポートできなくなる可能性がありますから、 日にちをずらすこともおすすめです。
また、糖尿病や高血圧といった基礎疾患をもっている方が感染すると重症化リスクが高いので、接種を検討してくださいね。
パパや同居している家族からの感染が多いとの報告もあります。同居している家族がワクチンを接種することで、ママと赤ちゃんを守ることにもなるので、家族でどう向き合っていくか話し合ってみましょう。アレルギーなどさまざまな理由からワクチンを摂取できない体質の方もいらっしゃるでしょうから、家族の状態や環境によってどうしていくか相談してみましょう。
参照元▶︎厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A
へその緒で繋がっているママとおなかの中の赤ちゃん。妊娠中にワクチンを接種した場合、おなかの中の赤ちゃんにも免疫はつくのでしょうか?
じつは、妊娠中にファイザー製やモデルナ製のmRNAワクチン(※1)を接種したママのさい帯血(※2)や産後の母乳を調べたところ、さい帯血や母乳中に新型コロナウイルスに対する抗体があることが報告されているんですよ。
まだ研究段階なのでこれらの抗体で新生児の感染が減少するとはいいきれませんが、ママがワクチンを接種することで赤ちゃんに抗体が移行している可能性があるそうです。赤ちゃんのためにもなるのなら、早めにワクチンを接種したいものですね。
※1 日本で接種されているファイザー製、モデルナ製のワクチンはmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンです。このmRNAワクチンはウイルスのタンパク質を作る元となる遺伝情報の一部を注射することで、それに対する抗体が体内で作られ、ウイルスに対する免疫ができます。
※2 赤ちゃんとママをつなぐ臍帯(へその緒)と胎盤に残った赤ちゃんの体内に流れている血液のこと。
参照元▶︎厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A
ワクチンの接種が母乳に影響しないかと心配になるママもいますよね。でも心配しなくて大丈夫。接種しても授乳はそのまま続けることができます。
上記「1 妊娠中、授乳中でもワクチン接種はできるの?」にも記載していますが、新型コロナワクチンが母乳に影響を及ぼすことはないと報告されています。
また、妊娠中や授乳中にmRNAワクチンを受けた人の母乳から、新型コロナウイルスに対する抗体があることが確認されています。
(2022年12月27日更新)
mRNA ワクチンは⺟乳中に分泌されませんが、抗体が⺟乳中に分 泌されるので、⾚ちゃんを感染から守る効果が期待できます。
ただし、ワクチン接種後に発熱した場合は、早めに解熱剤を服用するようにしてくださいね。授乳中の場合でも、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェン、ロキソプロフェン等)のどちらのタイプの解熱剤でも安全に使用できるといわれています。
心配な場合はかかりつけ医で相談してみてくださいね。
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マスクや手洗いをしっかりして、消毒にまで気を配っていても、知らないうちにかかってしまうことがある新型コロナウイルス。妊娠中にかかってしまうとどんな影響があるのかをまとめてみました。
基礎疾患をもっていない人は妊娠中でも、感染に関する経過は妊娠していない同年代の女性とほぼ同じであるとされています。ただ妊娠後期に感染すると、早産の確率が高まり、ママ本人が重症化することもあるとの報告があります。
妊娠中は重症化しやすい可能性があります。また中後期の感染では早産(37週未満)のリスクが高くくなるともいわれています。(国立成育医療研究センターHPより)
また高血圧や肥満、糖尿病の方や高年齢での妊娠の場合は、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高まるともいわれていますので、とくに感染予防に気をつけてくださいね。
ママが新型コロナウイルスに感染したら、どのくらい胎児に影響があるのでしょうか。感染した妊婦からおなかの赤ちゃんへの感染はまれだと考えられています。
妊娠初期や中期に感染した場合でも、現段階ではウイルスが原因で胎児に先天異常が引き起こされる可能性は低いとされています。
しかしながら中長期の感染では早産のリスクが高まることでNICU(新生児集中治療室)への入室を必要とする事例が多かったとの報告もありました。
死産や新生児死亡のリスクは想定よりも高くなかったようです。(国立成育医療研究センターHPより)
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ちょっと体調がすぐれない、少し熱があるみたい、もしかしてコロナにかかってしまったのかな?と心配になったら、お住まいの都道府県ごとに相談センターなどが設置されていますので、そこに相談してみてください。
下記に都道府県ごとの新型コロナウイルスに関する相談センターなどの情報が一覧になっていますので、参考にしてみてくださいね。
<新型コロナウイルスに関する相談や医療に関する情報や受診・相談センターの連絡先>
参照元▶︎厚生労働省 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策 ~妊婦の方々へ~
新型コロナウイルス感染症に罹ってしまったら、どうやって授乳を続けるのか、授乳は中断した方がいいのかと悩んでしまいますよね。この場合、以下の3つの選択が考えられます。感染の対応をしてくれる病院と相談しながら、どんな方法が取れるのか考えてみましょう。
① 授乳を続ける
② 搾乳して与える
③ 回復するまで粉ミルクを与える
新型コロナウイルスに感染したママの母乳から、ウイルスの検出はされていないので、WHOや米国疾患予防管理センター(CDC)は感染した時でも母乳を与えることを勧めています。
お母さんが感染者である場合には、お母さんが作った新型コロナウイルスに対する抗体を、母乳を介して赤ちゃんに届けることができます。(国立成育医療研究センターHPより)
ママが軽症で、授乳や搾乳などができる場合はそのまま母乳育児を続けることを考えてほしいですね。ただし、授乳の際に感染を広げないようにするためには十分注意をしてください。
パパや同居家族が手伝ってくれる場合は②が、より接触や飛沫感染のリスクが少なくなるのでおすすめです。また、ママの回復後に直接母乳に戻りやすいという利点もあります。
▼注意点
① 授乳を続ける
●鼻と口をしっかり覆って、マスクを着用
●授乳する前に石鹸で20秒以上の手洗い、またはアルコールによる手指消毒
●乳輪の周りなど(ママが触る可能性のある部分)を洗浄綿などで消毒する
② 搾乳して与える
●鼻と口をしっかり覆って、マスクを着用
●搾乳する前に石鹸で20秒以上の手洗い、またはアルコールによる手指消毒
●乳輪の周りなど(ママが触る可能性のある部分)を洗浄綿などで消毒する
●搾乳器はその都度洗浄と消毒を行う
●冷蔵庫や冷凍庫に入れる前に、パウチの外側をアルコール消毒してから入れる
●冷凍庫保存の場合は、食品保存容器などを使って二重に保存する(破損などにより漏れる可能性があるため)
③ 回復するまで粉ミルクを与える
●鼻と口をしっかり覆って、マスクを着用
●調乳する前に石鹸で20秒以上の手洗い、またはアルコールによる手指消毒
ママがコロナに感染したとしても、感染予防対策をしっかりとしながら、赤ちゃんに母乳をあげることはできるので安心してくださいね。ママの体調次第ですが、周囲にサポートを頼みながら、無理のないように母乳育児を続けてください。
ママの母乳育児に関する悩みには
■おっぱいが出ていないみたいで不安
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■赤ちゃんがうまくおっぱいを飲めていないみたい
など、たくさんありますよね。
そんなママの悩みを解決してくれるのが、桶谷式の助産師の方々。授乳や搾乳の方法など母乳育児に関することなら、なんでも答えてくれるエキスパートなんですよ。
例えばおっぱいが出にくいという悩みには、オリジナルの乳房マッサージで柔らかくしておっぱいを出やすくしてくれたりもします。
今回はそんな桶谷式の助産師さんたちに、ママたちのお悩みについて質問してみました。
直接悩みを相談したい!というママは、全国約330箇所にある「桶谷式母乳育児相談室」に、気軽に相談することもできますよ。
授乳や搾乳の指導も行っているので、以下「OPPA!」 から気軽にご相談ください。
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ後進達によって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。
■ 監修:公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会