babyco編集長。書籍編集者。
新潟の山奥で肉用牛を飼育しながら、野菜やくだものを育てる祖父母のお手伝いをきっかけに、丹精込めて作られた食材のおいしさ、食べることや命の大切さを学ぶ。特集記事、離乳食やママごはんなど幅広く担当。ママ・パパの気持ちに寄り添った記事の制作を心がけている。
「家族みんなの心がけがウイルスから身を守る!③手洗いについて」では、洗いもれをふせぐ正しい手洗いの方法、手洗いをむだにしない清潔な手の拭き方をレクチャーしました。それでは、次に「消毒」についての正しい知識を身につけましょう。
手洗いの記事でお話ししたように、石けんのこまかな泡は、手指の汚れを落とすには効果的ですが病原体をやっつける力はありません。そこで、石けんでの手洗い後に使用すると効果的なのが「 アルコール消毒液」です。
手指の消毒用に使用するアルコール消毒液の濃度は、
70%が基本です(80%を超えると、手荒れがひどくなるので使用しないでください)。アルコール消毒は、
アルコールが蒸発する際の気化熱を利用して消毒しています。手指にすりすりとすりこみ、アルコール消毒液をしっかりと乾燥させることで、はじめて殺菌効果を発揮します。
● アルコール消毒液の使用量は、何プッシュが正解?
アルコール消毒液を使うときにもうひとつ大切なのは、「手に取る量」です。みなさんは、1回の手洗いにつき何プッシュくらい押していますか?
メーカーによって、スプレータイプやジェルタイプなど液の出方が異なるので
「何プッシュ使用してください」という正解はありません。ですが、両手の指先から手首にすりこむ前に乾いてしまっては、行き届かない部分が残るので意味がありませんし、びちょびちょになるくらい濡らしすぎてはコストばかりがかかってしまいますね。目安としては“
15秒間、両手の指先から手首までを乾かずにぬり広げられる量”が必要な量だと考えてください。
● 手洗いと同じ順番で、アルコール消毒液をすりこもう
手指を消毒するときは、「
家族みんなの心がけがウイルスから身を守る!③手洗いについて」でご紹介した下記の手洗いの順番に沿ってやさしくすりこむと、もれがないのでおすすめです。手洗いと同様に、爪の間や指のしわを意識的に広げて行うと、アルコールがすみずみまで入りやすいでしょう。
● 体液や目に見える汚れがない場合は、消毒のみでもOK
これまで「石けんを使った手洗い+消毒」が正しい予防法だとお話ししてきましたが、お出かけ先や状況によっては、近くに手を洗える場所がない可能性もありますね。こういった場面での対処法を佐々木先生に伺ったところ、
・明らかに体液などで汚れていない
・目に見える汚れがついていない
という場合は、消毒のみの対処でも応急処置としては大丈夫だそうです。ですので、アルコール消毒液を持ち歩くというのは効果的です。ただし、これは
“素手でさわるよりは病原体の量が減っている”というだけなので、消毒したからといって鼻やくちをさわらないようにしてください。
● 過信しすぎないで! ウイルスによっては効かないことも
今回、記事のなかで取り上げている新型コロナウイルスに関しては、石けんでの手洗いができない場合でも、状況によっては消毒のみでもOKとお話ししましたが、ノロウイルスやロタウイルスなど、
ウイルスの種類によってはアルコール消毒液が効きにくいものがときどき存在します。「消毒していれば大丈夫」と過信しすぎずに、日頃から正しい手洗いを心がけましょう。
● 赤ちゃんのアルコール消毒液の使用について
赤ちゃんにも使用できるアルコールがありますが、手に入りにくい場合は緊急的に大人用のアルコール消毒液を使用してもよいでしょう。ただし、お子さんによっては使用によって肌がかぶれたり、真っ赤になったりすることがあるので、使用したらティッシュで拭き取ってあげたり、洗い流したりするとよいでしょう。
さて、これまで、今日からでも実践できるウイルス対策の方法をお話ししてきました。ですが、今までご紹介したのは、おもに“大人”目線でのお話でしたね。では、赤ちゃんの場合はどのような対処法があるのでしょうか。
ママやパパが気になる感染症のギモンについて、佐々木先生にお答えをいただきました。
赤ちゃんがいるおうちでの感染症に関するQ&Aのお話はこちら
監修
佐々木圭子先生
厚生中央病院 感染管理認定看護師、フィットテストインストラクター。急性期病院の感染管理者としてマスクなどの個人防護具や手指衛生など感染対策の指導・教育などを行う。感染対策を通じて医療機関と地域の安全を守り、病院の縁の下の力持ちを目指している。
佐伯潤先生
国士舘大学 防災・救急救助総合研究所 嘱託研究員。『訓練に勝る防災はナシ』をコンセプトに、数々の企業の防災計画の立案と、計画実施のための訓練設計と教育を務めている。また、大手スポーツ製品メーカーや消防製品メーカーなどのアドバイザーとして、防災製品の開発にも参加。