食品会社での会社員経験をしたのち、スキー雑誌の編集部に勤務。その後、フリーライターとなり、スキーやスノーボード、ボディボード、ゴルフ、自転車、旅行、ファッションなどさまざまなジャンルを執筆。桶谷式母乳育児で子育てをした一児の母でもあり、現在はbabycoにて自分の育児経験を生かした記事の執筆を行っている。
妊娠すると出産後の母乳分泌に向けて、体がどんどん変化していきます。その変化は赤ちゃんとママのためのもの。赤ちゃんはどのくらい母乳を飲むのかな? 母乳のメリットは? 母乳ってどんな味?母乳についてのマメ知識満載!母乳が出るか心配なママもこれを読むと少し安心できますよ。
妊娠中には、いままでと違う体の変化が起こります。
それは出産後、ママと赤ちゃんのペースを合わせるためでもあるのです。
なぜかというと、赤ちゃんは夜型なんです!
昼よりも夜の方が活発になるので、ママがそれに慣れるように妊娠中から準備を始めています。
なぜ赤ちゃんは夜が活発なのか? それはママのお腹の中にいる時と同じ環境だからなのです。
おなかの中は真っ暗で音も静か。その環境が夜と似ているから、赤ちゃんは夜の方が安心して活動できるというわけです。
<妊娠中のママの体の変化>
●脂肪の蓄積→母乳の主成分である脂肪分が夕方からアップします。
●赤ちゃんの体内時計に合わせた変化→夕方から夜中にかけて胎動が増加したり、夜中にトイレに起きることが増えてきます。これは日没後から夜にかけて、頻回授乳をするようにとプログラムされているからなのです。
●ホルモンの変化→抜け毛や気分の 浮き沈みなど
●乳房の変化→妊娠後期には初乳が貯留してきて乳房が1カップくらい大きくなります。個人差があり、あまり大きくならないことも。貯留する初乳の量は10〜100mlくらいと言われています。
そして、
夜間はプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)がもっともよく吸啜に反応する時間帯でもあります!
母乳は多くの免疫物質をふくみ、積極的に赤ちゃんを感染から守ってくれます。
ウイルスは粘膜から入ってくるのですが、その粘膜でウイルスから守るために活躍するIgA抗体が、母乳にはとてもたくさん含まれているのです。
そのおかげで、下痢や肺炎、その他の感染症にかかる率が低くなるのです。
また白血病になりにくく、SIDS(乳幼児突然死症候群)を起こす危険性を減少させるとも言われています。
仕事に復帰して保育園などを利用すると、密になることにより感染症にかかる割合が増えてしまいます。
だからこそ、母乳育児を続けていくことをおすすめします。
<アメリカ小児科学会のデータより>
母乳によって感染から赤ちゃんを守る割合
●アレルギーや湿疹が2〜7倍アップ
●中耳炎が3倍アップ
●胃腸炎が3倍アップ
●髄膜炎が3.8倍アップ
●尿路感染症が2.6〜5.5倍アップ
● I型糖尿病が2.4倍アップ
●乳幼児突然症候群(SIDS)が2倍アップ
●肺炎や下気道感染が1.7〜5倍アップ
●炎症性腸疾患が1.5〜1.9倍アップ
●ホジキン病が1〜6.7倍アップ
<参照>
米国小児科学会「母乳と母乳育児に関する方針宣言(2012年改訂版)」
アメリカ小児科学会「「母乳と母乳育児に関する方針宣言」2005年改訂版」
初乳が作られる量は人によって差があって、1日10〜100ml、平均すると1日30mlくらいです。
出産直後の新生児の胃の容量は体重1kgあたり2mlと言われているので、3kgで生まれた赤ちゃんでもたったの6ml!
なんとペットボトルのふたくらいの量しか飲めないんですよ。
生まれてから3日間は、1回の授乳ではだいたい2〜20mlしか飲めないと言われています。
ママは赤ちゃんがもっと母乳を必要としていると思っているから、自分の母乳が出ているか心配になるんですよね。
でもたったの2ml! そう思うと大丈夫な気がしませんか?
赤ちゃんが泣くと母乳が足りていないのかな?と心配になりますが、1日中何度も吸わせていれば、少しずつ赤ちゃんが必要としている量が飲めていることになるのです。
赤ちゃんの胃の大きさは徐々に大きくなりますが、多くのママが想像しているほどの量ではないことが分かります。
ですから、産後の入院中に病産院の先生や助産師さんたちに手伝ってもらいながら
母乳のリズムをつかめるようにママもコンディションを整えられるようになるといいですね。
こちらの記事もご参考に!
CLICK▶︎産後1ヵ月が決め手?母乳育児&赤ちゃんとの生活リズム
母乳の味ってどんな味なのか、はるか昔に飲んだ味の記憶はないから気になりますよね。
赤ちゃんに与えるなら、その味を知っておきたいと思っているママもいるでしょう。
なんと、料亭で使われる昆布とかつお節からとった一番だしに含まれるうま味成分のグルタミン酸、これが母乳にはとても多く含まれているのです。
母乳には様々な種類のアミノ酸が含まれていて、中でもグルタミン酸が母乳の半分以上を占めています。
また、うま味成分のイノシン酸も入っており、赤ちゃんは生まれて初めて飲む母乳で、一番だしと同じくらいのうま味と出会っているんですよ。
実は母乳だけでなく、羊水の中にもうま味成分のグルタミン酸が含まれています。
母乳に比べると少ないですが、実は赤ちゃんは生まれる前からうま味を味わっているんですね。
うま味たっぷりの母乳の成分についてもっと詳しく知りたいなら!
CLICK▶︎<助産師監修> いい母乳ってどんなもの?おいしいおっぱいってあるの?
妊娠中に胎盤からたくさん分泌されていたエストロゲンとプロゲステロンは、出産後に急激に減少してしまいます。
そのため、更年期のような症状が起こります。
イライラ、怒りっぽい、抑うつ、涙もろい、不安感といった気持ちの不調を始め、発汗や肩こり、頭痛、外陰部違和感、性交障害といった体に出てくる不調などがたくさんあります。特にうつ症状に悩まされるママは多いです。
いつもなら気にもならない言葉でも、その言葉を聞いてポロポロと涙が出てしまったりすることもあったりします。
たいしたことでもないのイライラなんてことも。
これらの症状には波があるので、とても強く感じてしまう時もあれば、まったく気にならないということもあります。
でもこれらはほとんど一時的なことだから、心配しないで。
ホルモンのせいでいろんな不調が出るということを、ママ自身も知っておいてくださいね。
そして、パパにもあらかじめ、ホルモンのせいでいろんなことが起こってしまうと伝えておくといいですね。
母乳をあげるようになるとオキシトシンが分泌されて、愛情ホルモンで落ち着いてきますよ。
ママの母乳育児関する悩みには
■おっぱいが出ていないみたいで不安
■おっぱいが痛い
■赤ちゃんがうまくおっぱいを飲めていないみたい
など、たくさんありますよね。
そんなママの悩みを解決してくれるのが、桶谷式の助産師の方々。授乳や搾乳の方法など母乳育児に関することなら、なんでも答えてくれるエキスパートなんですよ。
例えばおっぱいが出にくいという悩みには、オリジナルの乳房マッサージで柔らかくしておっぱいを出やすくしてくれたりもします。
今回はそんな桶谷式の助産師さんたちに、ママたちのお悩みについて質問してみました。
直接悩みを相談したい!というママは、全国約330箇所にある「桶谷式母乳育児相談室」に、気軽に相談することもできますよ。
授乳や搾乳の指導も行っているので、以下「OPPA!」 から気軽にご相談ください。
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ後進達によって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。