食品会社での会社員経験をしたのち、スキー雑誌の編集部に勤務。その後、フリーライターとなり、スキーやスノーボード、ボディボード、ゴルフ、自転車、旅行、ファッションなどさまざまなジャンルを執筆。桶谷式母乳育児で子育てをした一児の母でもあり、現在はbabycoにて自分の育児経験を生かした記事の執筆を行っている。
【助産師監修】母乳育児には、退院後いかに上手にママと赤ちゃんとの生活リズムを組み立てられるかがとっても大事。
赤ちゃんが泣けばどうしたのかな? おっぱいあげたのになぜ泣くの? と心配事はたくさん。
とはいえ、この時期のママは体の変化が大きい時でもあります。パパや周囲に協力してもらいましょう!
母乳が分泌されるにはたくさんの要素が関わっていますが、主に「プロラクチン」と「オキシトシン」がという2種類のホルモンが関係しています。
「プロラクチン」は、赤ちゃんが乳頭に刺激を与えることで、母乳を作り出すホルモンです。
「プロラクチン」=「母性を引き出すホルモン」とも言われ、女性を母親という立場にさせ、赤ちゃんの世話をしよう、赤ちゃんを守ろうという気持ちにさせてくれます。
また、授乳中のママをリラックスさせて、眠気を誘う作用もあります。夜間の方がよく分泌されるので、授乳で夜間に何度も目が覚めても、授乳が終わるとすぐに眠りにつけるのもこのホルモンのおかげなんです。
2つめのホルモン「オキシトシン」には、作られた母乳を分泌させるときに働き、別名「愛情ホルモン」とも呼ばれています。
その理由は、この「オキシトシン」はママが赤ちゃんのことを思ったときや、赤ちゃんの泣き声を聞いたときにも分泌されるホルモンだからなのです。
赤ちゃんのことがたまらなくかわいいいと思え、自然に深い愛情がわいてくるのを感じさせてくれるのがこのオキシトシンです。
また、産後の子宮の収縮を促し、子宮の回復を早める役割もあります。
赤ちゃんはよく泣くものです! 赤ちゃんの泣き声が聞こえると、ついママもパパも周囲の大人たちはオロオロとしてしまいますが、赤ちゃんは泣くのが仕事!と考えてもいいのではないでしょうか。
新生児の意識の状態として、目を覚ましている時には4段階あるといわれています。
まずは目を開けているけれど、ボーッとした状態の眠たそうな状態。話しかけたりしてもあまり反応はありません。
次は、赤ちゃんが輝きのある目をしてしっかり起きている段階。赤ちゃんは30〜40cmくらいのところが一番見えているので、おっぱいを飲んでいるときにママの顔がよく見えているのです。耳もよく聞こえます。触覚もしっかりしているので触ってもらうことでとても安心します。赤ちゃんは抱っこされていると、この覚醒している時間が増えます。
覚醒しているときにかまってもらえないと、次の段階に入り、グズグズし始め、手足をバタバタと落ち着きなく動かしてあたかも「何とかして―」と言うように不機嫌になり始めます。
そしてついに最終段階! 全身をかたく緊張させて大きな口を開け、「オギャー」と驚くほどの泣き声を上げます。この段階になってしまったら、ママもドキドキですね。まずは抱っこして声をかけてあげて、さすってあげてください。そしてふたりして落ち着いたら、おっぱいとオムツ。
「抱っこ」「おっぱい」「オムツ」の3つで、赤ちゃんのほとんどの要求は満たしてあげることができますよ。
赤ちゃんの睡眠の段階は、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)の2段階をだいたい30分ごとに繰り返しています。
浅い眠り=レム睡眠のときは、眠っているのに、おっぱいを飲んでいるかのように唇をチュパチュパすったり、にやっと笑ったり、手足を動かしたりしているのが浅い睡眠の段階で、夢を見ている状態です。
深くぐっすりと眠っているとき=ノンレム睡眠のときには、ほっぺをつついても、大きな音を立てても起きず、手足もだらりとしています。
大人は浅いレム睡眠が全体の睡眠の約15%なのですが、新生児は約50%といわれています。1日のほとんどを眠っていても、このレム睡眠とノンレム睡眠をだいたい30分交代で繰り返しています。大人はすぐに深い眠りに入ることができますが、赤ちゃんはまず浅い眠りから入って、深くぐっすり眠るノンレム睡眠へと移行します。
そのため、おっぱいを飲見ながらウトウトしているなと布団にそっと下ろした途端、目がぱちっと開いて泣かれてしまうことがあるのです。その時はまだ眠りの浅いレム睡眠状態なのです。深い眠りに入るまでの20〜30分は抱っこして、揺らしてあげることが必要というわけです。
赤ちゃんの睡眠リズムを整えるには、朝、きまった時間にカーテンを開けて太陽の光を部屋に取り入れるのも効果的といわれていますよ。
最初の1ヵ月は、ママと赤ちゃんはお互いのリズムを知って、リズムを合わせようと一生懸命の時期です。
出産後、子宮が元の大きさに戻るには4〜8週間かかります。特に産後3週間は無理は禁物。いつでも横になれるように、パジャマやリラックスできる服で、赤ちゃんが眠っているときは自分も横になって、少しでも身体を休めるようにしましょう。
赤ちゃんが寝ている間にちょっと家事をしてしまおうと頑張ってしまうママも少なくありませんが、この時期は「赤ちゃんは泣くのが仕事」であるように、「ママは体を休めるのが仕事」と思って体をしっかり休めることです。
ママの生活リズムに赤ちゃんがあわないのは当然な時期ですから、赤ちゃんのリズムにあわせてママも体を休めるようにしましょう。そして、赤ちゃんがおっぱいを欲しがったときにあげて、また一緒に休む。そうやって徐々に生活リズムを掴んでいきます。
ひと月、ふた月経つ頃に、徐々に赤ちゃんが睡眠時間のリズムを作れるようになるので、ママも生活リズムを取り戻せるようになりますよ。
また、最初の1ヵ月はホルモンバランスの影響で、精神的にも敏感になるものです。マタニティブルーになりやすい時期でもあります。誰でも最初から完璧な母親ではありません。赤ちゃんと共にママも育っていき、徐々に育児が楽しいと思えるようになってくるのです。
ママが授乳に専念できるように、パパや家族など周囲の人に協力をお願いして、家事をお手伝してくれる人がいるといいですね。
育児はママだけの仕事ではありません。パパの役割もとても大切なんです。
おっぱいをあげることはママしかできませんが、オムツ交換、だっこ、沐浴などの赤ちゃんのお世話なら、パパでもできますよ。
始めはうまくいかないし、何を手伝っていいのか分からないことも多いと思いますが、ママや周囲の人に聞きながら、赤ちゃんのお世話を一緒にしてあげれば、ひとりでもできるようになります。
赤ちゃんのお世話はもちろんこと、産後の不安定な時期にあるママの心のケアにも気を配ってあげましょう。特に初めての母乳育児をするママにとって、母乳が足りているかどうかはとても気がかりなこと。産後はママのホルモンバランスも不安定になりがちです。
パパにとっての何気ない一言で、ママの不安が増してしまうこともあります。ハードルは高いかもしれませんがママと赤ちゃんにとっての最高のサポーターになってください。ママの不安な気持ちをしっかりと受け止めて、サポートしてあげれば、ママの気持ちも安定して赤ちゃんと向き合えるようになってきます。
ママが、不安を抱えて初めての育児に取り組んでいるように、パパも初めての赤ちゃんで本当に何がなんだかわからなくて大変だと思います。ぜひ、その過程を皆で楽しんでください。そして、3人で共に成長していけるといいですね。
最後にパパへのお願い! ママからのお願いよりも前に、パパからママへ
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ助産師たちによって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。
監修:公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会
「おっぱいが出ない」「おっぱいが痛い」「赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれない」「ちゃんとおっぱいが出ているか不安」という悩みを抱えたママたちに、乳房をやわらかくしておっぱいをスムーズに出す、独自のマッサージを行う全国約400の桶谷式母乳育児相談室。授乳や搾乳の指導も行っているので、以下「OPPA!」 から気軽に相談できますよ。
※写真はイメージです。