“ゆるまじめ”な子育て応援メディアbabyco編集部です。妊娠・出産・育児というライフステージで大変なママもパパが、ゆる~く、でもまじめに学びながら、 子どもと共に楽しく成長するためのヒントをご提供するのがモットーです。
生まれたばかりの赤ちゃんは、言葉を使ったり、喜怒哀楽を上手に伝えたりすることがまだできません。
だからこそ「赤ちゃんって何を考えているのかわからない…」「何をしたら赤ちゃんは喜ぶの?」「だっこしようとしても泣いちゃって、嫌われてるのかな…」と、ふれあい方に悩むママやパパはいると思います。
でも、わからないからこそ「この子は今何を伝えたいんだろう? 何を考えているんだろう?」とママやパパが赤ちゃんの気持ちを想像するのって、とっても大事なことなんです。
成長のペース、性格、好きなものや嫌いなもの…ひとりひとり違うから、理解の仕方にこれが正しいというルールはありません。「失敗して当然!」と力を抜いて、ゆっくりきずなを深めていきましょう。
京都大学大学院 教育学研究科准教授。発達心理学を専門とし、子どものセルフコントロールや想像力に関する研究を行っている。NHK Eテレ「すくすく子育て」にも出演中!
大人に話しかけるときと同じ話し方をしても赤ちゃんには伝わりません。
1)赤ちゃん向け発話(◯◯でちゅね〜、◯◯かな〜?など)
2)オノマトペ(ポカポカ、ぐるぐるなど)
などを使いながら、ゆっくりと声に抑揚をつけて話しかけてあげることが大切です。
では、赤ちゃん向け発話とオノマトペって、どういうものでしょう?
みなさんは、「目の前の赤ちゃんに話しかけてください」と言われたらどんな風に話しかけますか?
「はじめまして、私の名前は◯◯です」
「こんにちは、お元気ですか?」
大人同士の会話なら成り立つかもしれませんが、こんな話しかけ方では赤ちゃんには伝わりませんよね。 フシギなもので、誰かにそうしなさいと言われたわけでもないのに、多くの人は赤ちゃんを見ると
「◯◯ちゃん、ママでちゅよ〜」
「◯◯くん、ごきげんかな〜?」
という言葉づかいになっちゃうそうです。
この話しかけ方を、『赤ちゃん向け発話』と呼びます。
赤ちゃん向け発話には、こんなうれしい効果が!
●ゆっくり、わざと声のトーンを高くして抑揚をつけてしゃべるから、赤ちゃんが音を拾いやすく言葉を覚えるのが早くなる
●音を拾いやすいので赤ちゃんの興味をママとパパへ向かせる効果があり、話している人のほうをしっかり見つめるようになる 家族の前で赤ちゃん向け発話を使うのははずかしいな...と思うパパもいるかもしれません。でも、赤ちゃんといっぱいおしゃべりして、「これがパパの声なんだぁ♪」と覚えてもらうことで、赤ちゃんとのきずながもっと深まりますよ!
ぽかぽか、ザラザラ、すべすべ、ぐるぐる、もぐもぐ、ゴシゴシ...
私たちの生活には『オノマトペ』がいっぱいあふれています。
オノマトペは、物の見た目や雰囲気と音を結びつけやすいので、大人の言葉の表現(なめらか、暖かいなど)よりも赤ちゃんが親しみを感じやすいです。
赤ちゃんは、言葉の意味を理解する力も運動機能もまだまだなので、オノマトペを通じて動作を覚えるのは3〜4歳くらいになってからです。
オノマトペがあるほうが言葉を学びやすいので、0歳の頃から赤ちゃんとのコミュニケーションには、「歯みがきはシャカシャカ」「うがいはブクブク」と、身のまわりのオノマトペを探してみましょう♪
大人が泣くときは「悲しい、寂しい、うれし泣き、感動」など感情を表す場合が多いですが、赤ちゃんの『泣く』には「空腹、暑い、寒い、ねむい、気持ちが悪い、だっこしてほしい、痛い、理由はないけど泣きたい」などさまざまな理由があります。
ママやパパに気づいてほしくて、サインを出しているのです。
「ぐずるような泣き方をしているな、おなかがすいたのかな?」
「口元がピクッと動いたな、ごきげんなのかな?」
毎日赤ちゃんの様子を見ていると、ちょっとした表情でも笑っているとか不快だってことがだんだんわかるようになってきますよね。
赤ちゃんは、まだ言葉で気持ちを伝えることができない代わりに、表情の変化や動きでママやパパに想いを伝えようとしています。
例えば、赤ちゃんが泣いたり笑ったりしているときって、言葉にするとこんな感じ。
(おなかがすいたよー! ごはんが食べたいよー!)
(ママにいっぱいだっこしてもらえてうれしいな♪)
それに対して、
「おなかがすいたのね、ごはんを用意してあげるから待っててね!」
「ママもあなたのそばにいられてうれしいわ♪」
とすぐに反応してくれる人がいたら、とっても安心しますよね。
こうやって赤ちゃんのサインにたくさん反応してあげると、赤ちゃんにとって「何かあったらこの人のところに行けば大丈夫!」と安心できる場所ができるのです。
毎日違う表情を見せてくれる赤ちゃん。見せるサインもひとつの意味とは限りません。「ぐずるような泣き方をしているのに今日はおなかがすいてるわけじゃないのか...」なんて日ももちろんあります。
赤ちゃんのサインに全部反応してあげられるか不安、間違っていたらと思うとこわい…と感じるママもいると思います。でも、赤ちゃんのサインに100%反応していたらママの身がもたないし、疲れて心がふさがってしまいます。大切なのは、赤ちゃんの心を想像して、ひとつでも多くの意味を探してみること。
もし違ったとしても「理解できるかも!」とラクに考えて、とにかく多くの時間を一緒に過ごしてください。
ママが豊かに心を考えられるような子育てをすると、子どもも「心」というものに対して思いやりが育みやすくなります。ママやパパが一生懸命赤ちゃんと関わろうとしている気持ちは、赤ちゃんにちゃんと伝わっていますよ!
まだはっきりと言葉を発せない赤ちゃんでも、表情や仕草で何かを伝えようとしています。赤ちゃんとコミュニケーションをとるために、赤ちゃんが何を考えているのかを想像してみましょう。
みなさんは、街中でお散歩中のかわいいワンちゃんと目があったとき、つい話しかけたくなっちゃうことってありませんか? おなかをごろん♪と見せてくれたりすると、「なでてほしいのかな?」「甘えたいのかな?」と気持ちを想像しますよね。
言葉が通じないのに話しかけたくなるのは、ワンちゃんが「心を持った存在」だと思っているからです。 生まれてすぐの赤ちゃんはふにゃふにゃしていて、本当に未知の生き物です。
でも、未知の生き物と思ってしまうと関係性は築けません。まだ言葉は理解できないし、何を考えているかわからないけれど、赤ちゃんのちょっとした表情や行動に「心」を見つけることが、コミュニケーションの第一歩につながります。
赤ちゃんと一緒に多くの時間を過ごすことが大事だとわかっていても、仕事や家事、上の子のお世話で忙しくて反応できないママも多いですよね。そんなママの様子を見て、協力したいけど何をしたらいいかわからない...と悩むパパもいると思います。
育児は、どうしてもママに負担が集中しがちです。
「パパも手伝ってくれたらいいのにな…」
「なんだか疲れちゃったな…」
とママの気持ちがネガティブなほうに向いてしまいそうになったら、ママひとりで対処しようとせず、サインに気づけるようにパパをトレーニングしちゃいましょう!
●ママに教えてもらいながら、パパも赤ちゃんの様子を観察してみよう 「この泣き方はおなかが空いてるときだから、ごはんを食べさせてあげて」「ほら、ほっぺがピクッとしたのは笑ったのよ、パパも笑い返してあげて」と、ママと一緒に赤ちゃんの様子を見てみましょう。ママにサインを教えてもらってパパがお世話をする、というのも赤ちゃんとのきずなを深めますよ♪
●いきなり遊ぼうとせず、まずはだっこでスキンシップを 好きな人に触られないとだめなのは赤ちゃんも同じです。赤ちゃんにとってパパが「好きな人」になれるように、まずは抱っこでパパの体温や匂いを感じさせて、赤ちゃんに安心感を覚えさせましょう。たくさんふれあって安心できる存在になると、赤ちゃんがパパを頼るようになります。
ママにはどうしてもかなわない…とパパが諦めがちな赤ちゃんとのお遊びタイム。
ママは読み聞かせやおうたなど「赤ちゃんがリラックスする遊び」
パパはおひざの上に乗せてリズムをとる遊びや体操など「からだをいっぱい使う遊び」
遊び方に違いを出すと、赤ちゃんは刺激を感じて、とてもよろこびますよ。
ママの遊びのポイントは、赤ちゃんが安心してリラックスできること
生まれる前から聞いていたママの声は、赤ちゃんが一番安心できる「音」。安心できる声で楽しい絵本を読んでもらうと、赤ちゃんはとてもリラックスできます。
また、赤ちゃんは何回も絵本を読んでもらうことで「こんなところにアリさんがいる!」「あんなところにカエルさんがいる!」と、毎回新しいことに気づき、学習するのです。セリフの読み方を変えたり、赤ちゃんが見たがっているな、聞きたがっているなと思ったら反応してあげてみてください。
ゆっくりとやさしいリズムのわらべうたは、赤ちゃんの気持ちを落ち着かせてくれます。赤ちゃんの笑顔を引き出す遊びとして、昔から愛されているわらべうたは、馴染みのあるママやパパも多いはず。パパも参加しやすい遊びなので、赤ちゃんとお顔を近づけたり、手足を動かしたりしてスキンシップをとりながら、家族みんなでうたってみましょう♪
パパの遊びのポイントは、体を使った遊びでママとの違いを出すこと。
休日しか赤ちゃんとふれあう時間をたっぷり確保できない、どんな遊びをしたらいいのかわらないというパパは、体を使った遊びにチャレンジしてみて! ママと違った遊びをしてくれると、「この人はママと違う遊びをしてくれるんだ♪ ママとは違う存在なんだ」と赤ちゃんが大よろこびします。
生まれてすぐの赤ちゃんは体がふにゃふにゃで、抱っこでさえビクビク…というパパも多いはず。いきなり体を使って遊ぶのに抵抗がある方は、まずはにぎにぎ遊びをしてみましょう。赤ちゃんの手のひらにパパの指を置いてみてください、ぎゅっとつかんでくれるはず。感触の違いを確かめられるので、触覚の発達にも効果的!
笑顔いっぱいの顔をしたり変な顔をしたりと、メリハリをつけて赤ちゃんのためにオリジナルの「いないいないばぁ」を。「ばぁ!」のタイミングでいろんなお顔が登場するので、赤ちゃんはとっても楽しいのです♪
パパは「いないいない~」のときに低い声を出したり、「ばぁ!」のときに腕を大きく広げたりして、ダイナミックな動きをしてみましょう。
赤ちゃんが月齢にあわせて楽しめるように研究・開発された「ベビートイ」は、おうたや絵本、にぎにぎ遊びなどとはまた違った刺激を赤ちゃんに与えてくれます。でも、せっかく選んだのにおもちゃで遊んでくれない、全然興味がなさそう、なんていうガッカリも。おもちゃの見せ方や選び方をひと工夫するだけで、赤ちゃんが興味しんしんになるかも!?
A 赤ちゃんがちゃんと目で認識したかを確認しながら遊びましょう。
赤ちゃんは、話し方も動作も、ゆっくりじゃないと耳や目で追いかけることができません。大人に対して何かを説明するときは淡々とした動作でも伝わりますが、赤ちゃんには「ママとパパは何をしているの?」と、頭のなかはハテナだらけ。
例えば積み木だったら、ひとつひとつのブロックを赤ちゃんの目の高さにもってきて「いいですか、これを見てください」と、かなりゆっくり見せてあげてください。赤ちゃんの視線がしっかりとブロックをキャッチしたら次の動作に移ってあげて、わかりやすい見せ方をしてあげましょう。
A たまには赤ちゃん自身におもちゃを選ばせてみて!
誰かに与えられたものよりも、自分で選んだもののほうが「愛着」や「価値」を感じるのは赤ちゃんも同じです。対象月齢の近いおもちゃを2つほど並べて、2択から赤ちゃんが手を伸ばしたほうを選んでみましょう。
また、これはもう少し大きく成長してからの話ですが、「自分で選択できる」という状況=「好き勝手に選んでいい」ということでもあります。いつでも好き勝手させるのがいいわけではないですが、大きくなったときに何かをやるために我慢することを覚えたりと、選択できる状況を作るのはしつけとしても大事なことなのです。
イラスト:大塚みちこ