出版社勤務を経てフリーランスに。3人の子を育てつつ、出版業界で仕事を続ける。障がい児福祉に興味があり、現在はヘルパー兼時々ライター。
育児と仕事を両立しながら家事もがんばっちゃう、「世界一忙しい」といわれる日本のママたちに、ゆとりをうむ暮らしを提案したい!
節約アドバイザーとして活躍する丸山晴美先生は、ご自身も男の子を育てるママとして育児と仕事を両立されてきました。
経験に基づく節約のコツをお伺いします。
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物取扱士(登録)、認定心理士、家庭の省エネエキスパート検定合格、調理師などの資格を持ち、食費や通信費など身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演等で行っている。2019年からゆとりうむプロジェクト理事を務める。著書・監修に「節約家計ノート2021」(東京新聞)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著・幻冬舎)など多数。 節約アドバイザー/ファイナンシャルプランナー/消費生活アドバイザー
私もかつては、とにかく時間がない!
という感じでした。子どもを保育園へ送って、仕事して、迎えに行って、買いものをして帰宅して、夕食の準備.....。
子どもが小さいうちは本当に修羅場でした。小学校に入って、自分の足で登下校してくれるようになり、送迎がなくなるだけでどれほどうれしかったか。
イクメンパパたちもすいぶん増えてきましたが、やはりママが家事も育児も担って当たり前、という風潮が日本にはまだあるように感じます。
とくに第一子のママたちは真面目に頑張りすぎて、余計に自分を追い詰めてしまう。どうすれば忙しいママたちにも、ゆとりをうみ出せるかを考えてきました。
私が実践してきた節約って、じつはお金のことだけじゃないんですよ。時間の節約もとっても大切。お金も時間も、じょうずに賢く節約して、ゆとりをうみ出していきませんか?
たとえば「よし、お金を貯めよう」と思っても、何のために貯めるのか、目的がはっきりしなければなかなか貯められません。目先のことではなく、将来のことを考えて、お金の使い道に優先順位をつけていく必要がありますが、遠い先のことをイメージするのは難しいですよね。私も、子どもが小さい頃は知育玩具や習い事など目の前の出費に気を取られていて、将来の教育費のことはあまり考えていなかったなぁと後になって思いました。
目的=ゴールを設定すれば、そこへ向かう道筋が見えてきます。
「子どもの教育費を貯める」というゴールであれば、
大学4年間の学費は平均して500万円くらい(編集部注:私立理系は約500万円、私立文系は約400万円、国公立なら約250万円。私立芸術系学部の場合はおよそ1000万円、私立医学部6年間では2000万円以上)かかりますから、
たとえば月に3万円×12カ月×18年=648万円、生まれてすぐに毎月3万円の貯金を始めれば大体カバーできるかな、などと計算できます。
では、その毎月の貯金をどう捻出すればいいか。
方法は
① 節約して支出を減らす
② 収入を増やす
③ お金を投資して運用する
の3つですが、ここでは妊娠・子育て中のbabycoママたちがすぐに取り組みやすい「① 節約」について考えてみましょう。
貯金をするためには、手取り収入から先に差し引いて、残ったお金で生活費をやりくりすればいい、とわかります。
手取り収入
- 固定費(家賃/水道光熱費/通信費など)
- 貯 畜
= 生活費(食費/日用品/娯楽費など)
ゴールを設定するのが早ければ早いほど、少しずつ積み立てていけますので毎月の負担は軽くなります。
また、夫婦でゴールを共有していれば、ママだけが「節約!節約!」って唱えなくても、パパも自分からお小遣いを節約したりできますよね。子育ても節約も、ひとりきりで頑張らないで、夫婦でするものです。子どもが生まれたらなるべく早く、夫婦で貯蓄について話し合ってほしいなと思います。
同じ貯蓄でも、教育費や住宅購入資金のように決まった目的以外には「使えない貯蓄」と、イレギュラーな出費に備える「使うための貯蓄」で口座を分けておきましょう。
「使うための貯蓄」口座には50万円くらいを目安に貯めておけば、冠婚葬祭費、家電の買い替え、車検など1年に数回あるかないかだけど月々の収入では支払えないような出費に備えることができます。何か予期せぬことが起こっても、「使えない貯蓄」に手を付けてしまうことがなくなり、安心です。
家電などの買い替えでは、少し値は張りますが高機能で省エネのものをぜひ検討してください。
たとえば、節水シャワーヘッドや食洗機、ドラム式洗濯乾燥機などは、家事の手間を省いて時間の節約になり、水道代や電気代の節約にもつながって、長い目で見ればトータルでお得です。
何よりも、「節約は苦労するもの」という思い込みで忙しいママをさらに追い詰めたりせず、「ラクして節約する」というゆとりをうみ出してくれます。
使えるものは使って、ゆとりに先行投資しましょう。
子どもが小さなうちは水道代がかかりやすい!
そんな水道代を節約するために
・節水シャワー
・食洗機
・ドラム式洗濯乾燥機
など取り入れてみるのもよし。 先行投資することで、結果的に節約に!
一般的に食費は手取り収入の20%程度というのが基本ですが、必要以上に買ってしまったり、外食をしたりするとすぐにオーバーしてしまいがち。そうならないようなコツを3つお伝えします。
① 買いものしない日を作る
▶︎ あるもので作れるようになる!
② 予定のないものは買わない
▶︎ ネットスーパー活用!
③ 外出前に下ごしらえする
▶︎ 外食を減らす!
買いものに行かない日(お金を使わない日)を週に一日でも決めておくと、確実に節約になります。冷蔵庫の中の残りものなどを活用して料理を作れるようになり、意外とあるものだけで食卓を回していけることに気づけますよ。
割引になっているお買い得品は予定外につい買ってしまいますが、使い切れないとムダになりますし、そもそも本当は必要ないものが多いのではないでしょうか。ネットスーパーを活用すると、よく買うものをリストに登録するなどしてムダ遣いを防ぐことができ、配達もしてもらえたり、とbabycoママには何かと便利です。
食品でなくてもネットショッピングは便利ですが、あれこれ目移りして買い過ぎてしまう危険もありますよね。私は目の前に現金を出しておいて、ポチッとする前に「この1万円を使っても本当にいいの?」と価値を見える化しておくと、冷静になれます。さらに、夜間は判断能力が鈍り、「自分へのご褒美感」からムダな買いものをしてしまうことが多いため、気になった商品をカートに入れたら寝かせておいて、買うかどうか決めるのは翌朝以降に行うのがお勧めです!
週末にお出かけすると、どうしても夕方は疲れてしまって外食したくなります。外出前に夕食の下ごしらえをしたり、炊飯器をセットしておくだけでも、「帰って食べようかな」という気持ちになり、外食を減らせるようになります。
下ごしらえには「下味冷凍」という技をぜひ活用してください。いちばんのおすすめは鶏の胸肉。わが家では毎週2㎏の鶏胸肉を分けて数種類の下味に漬け込んで、まとめて冷凍しておきます。朝出かける前に冷蔵室に移して解凍しておけば、夜帰ってきたら焼くだけで手早く一品完成! 簡単なうえに、お肉がやわらかくなり下味がしみ込んで美味しくなります。それが冷凍庫にあるだけで、献立を考えなくていいし、気がラクになるんですよ。
作り置きまで頑張らなくてもいい♪
CLICK▶︎下味冷凍の楽ごはんレシピはこちら
何をどう節約すればいいのか。ムダに気づくことから、すべてが始まります。まず、レシートを1週間分集めたら、全部テーブルの上に出してください。レシートを見ながら、○△×をつけていきます。
○ 買ってよかった、お得だったと思うもの
△ 工夫次第で買わなくても済んだかも、もっと安く済んだかもと思うもの
× 使い切れていない、ムダだったと思うもの
○△×を直接レシートに書き込んで分析していくと、自分の買い物のクセがわかってきます。
どんな店でどういう曜日・時間帯に買いものをしているか、どこでムダ遣いをしているか。そうすれば、「用事がないなら100円ショップには行かない」というように習慣を変えることができます。
ひとつひとつは些細なことですが、生活費の節約は小さな積み重ねからしかうまれません。自分の「買いもの」という行動を知り、少し立ち止まって考えるだけで、効果的な節約につながります。そういう節約習慣をぜひ身につけていきましょう。
忙しいbabycoママたち、どうぞ家事も育児も仕事も、完璧なんて求めないで。手間を省けるところは省いて、割り切ってお金を使って、ラクをしたっていいんです。今の忙しさはずっと続くわけじゃなく、子どもはどんどん成長していくし、それに伴っていろいろな優先順位が変わっていきます。
将来のことを視野に入れると、今の見え方も変わります。節約も「生活を切り詰めなきゃ!」とやみくもにやるのではなく、長い目で見て賢くじょうずに続けていけば、くじけません。「節約、頑張ってるな」と自分をほめてあげると心に余裕がうまれ、暮らしにゆとりがうまれます。
ところで、
ゆとりの時間ができたら、あなたはどうしますか?
私にとっては、ひとりでゆっくりお風呂に入ることがいちばんの贅沢でした。パワフルな方は自分の将来のために勉強するとか、疲れていたらとにかく眠るとか、何もしないという贅沢もアリです。ゆとりの時間ですから、やることを詰め込んだりしないで、ゆったり贅沢に使ってください。そうして癒されたら、ママが笑っているだけで家族はハッピーになりますよ!
丸山晴美先生は、「毎日の暮らしにもっとゆとりとハッピーをうみだそう!」をコンセプトにしている「ゆとりうむプロジェクト」で理事も務めていらっしゃいます。
ただ切り詰めるだけの苦しい節約ではなく、
「節約のなかに“ママのゆとりをうむアイディア”をとりいれてもらいたい!」とおっしゃるのは、丸山先生のゆとりとハッピーをうみだそう!というお気持ちからなんですね。
「時短=手抜き」ではなく、時短で作り出した時間で暮らしにゆとりある生活をうみ出す「時産」という新しいコンセプトを提唱するプロジェクト。ワーク・ライフ・バランスなど家族と労働について研究する立命館大学教授の筒井淳也氏はじめ、各分野の専門家が集い、ゆとりをうむノウハウや情報を発信している。