ママと赤ちゃんの食事と栄養②「朝ごはん」こそ、エネルギー不足改善の決め手!
2019/12/10
2023/07/27
太田菜津美
管理栄養士。東京生まれ。明治大学第二文学部卒業。3人の子育てをしながら栄養学を学ぶ。矢島助産院で日々、妊婦さんや産後ママのための食事を担当する傍ら、企業や雑誌などで離乳食の監修やママのための食に関する講演・講習会などを各地で行う。著書に『妊娠・授乳中の気になる症状改善レシピ200』(日東書院)ほか
365日、私たちの生活に欠かせない「ごはん」。ちゃんと食べないと元気が出ないし、とくに妊娠中は2人分のパワーが必要ですから、ママにはしっかりごはんを食べてほしいんです。
ママと赤ちゃんの力をつける食事と栄養①妊娠中のママに多い「エネルギー不足」問題って?では、
●20〜30代のママの食事には「炭水化物」がとくに不足している
●仕事が忙しく、1日2食になりがちなことが理由
●ごはんを食べないと、おなかの赤ちゃんが低栄養・低体重に陥る危険性がある
●出産のための体力が温存されず、出産に時間がかかり命の危険につながる
ということをお伝えしました。
また、
●炭水化物が不足している原因のひとつに「低糖質ダイエット」が考えられる
●低糖質ダイエットといって、砂糖とお米を一緒にくくってしまうのはよくない
●「ごはんの代わりにお菓子」は、1日のエネルギー量をクリアできても栄養面ではNG
など、妊娠中のママに多い食事スタイルとその問題点を紹介しました。
とはいっても、食事のスタイルは簡単には変えられるものではないですよね。朝は食欲がわかない人、少食の人、お仕事の都合でどうしても中食や外食が増えてしまう人など、いろんなスタイルの方がいると思います。
最近は妊娠中もがんばって働くママが多いですから、当たり前のように言われてきた「1日3回食べる」というのは、実行しようとするだけでもかなりの意識改革が必要です。
では、妊娠中のママの理想的な食事スタイルとは、どのようなものなのでしょうか?
「朝ごはんを食べよう」、その意思だけでもえらい!
1日のエネルギー量が足りていないママは、1日2回の食事で済ませていることが多いです。では、1日3食のうち、どのタイミングを抜いているかというと「朝ごはん」。
体を活発に動かす昼、家族で時間を合わせて食事をとれる夜に比べて、朝は胃腸の動きがにぶく食欲がわきにくい方も多いのではないでしょうか。出勤前で慌ただしいことから、ゆっくり食事をとる“気持ちの余裕”がもちにくいのかもしれません。
妊娠前から朝食をとる習慣がない人にとって、いきなり「絶対に朝ごはんを食べてください」と言われても、何をどのくらい食べたらいいのかわかりませんよね。でも、「朝ごはんは大事なんだ」と知って、「明日から何か食べてみようかな」と思えたら、まずはその意思をもつことだけでもとってもいいことです。
朝ごはんは「単品メニュー」から始めよう
朝ごはんは、“食べよう”という意思がなによりも大切なので、無理して作ることはありません。牛乳とバナナ、フルーツグラノーラ、お米と納豆などまずは「単品メニュー」から始めてみましょう。
妊娠中はカルシウムを1日に650mgとりたいところですが、牛乳だったら大きめのコップ3杯くらいで摂取できるので、1日1食ごとに飲めばクリアできそうですね。「牛乳は飲みものではなく食べもの」と言っても過言ではないくらい、エネルギーもとれる食品です。グラノーラはたんぱく質や脂質などがとれて結構おすすめなんです。
こんな風に、単品だけれどいろんな栄養を含んでいる食べものもあるので、食品の栄養の知識が身につくと賢く朝ごはんを選べるようになります。
マタニティごはんのOK&改善点をみんなで考えよう!
妊娠中のママたちの実際のごはんをのぞいてみると、単品メニューで済ます方が多いようです。ママたちの普段の食事例をもとに、岡本先生にアドバイスをいただきました。みなさんも、ご自身の食事を振り返って改善点を考えてみましょう。
メニュー例①のOKポイントと改善点
白米を食べているのでエネルギーは足りています。卵と納豆もあるのでたんぱく質もとれていますね!
野菜がまったくないので入れましょう。例えば、刻んだ小松菜をごはんに混ぜるだけで、カルシウム入りの栄養満点混ぜごはんになりますよ!
メニュー例②のOKポイントと改善点
グラノーラは、オートミールを主原料としてドライフルーツやナッツ入りのものなら、たんぱく質や脂質などいろんな栄養がとれます。結構おすすめです。無添加で質のよいものを選ぶと◎。
ヨーグルトやお好きなフルーツをプラスしてみましょう。カルシウムやビタミン類がとれるので、栄養バランス的にぐっとよくなります。
メニュー例③のOKポイントと改善点
うどんは消化にいいので胃にやさしいメニューですね。あったかいおつゆは体を温めてくれるのでgood!
圧倒的に野菜が足りていないので、冷凍野菜でもいいですから、具を足すと満足度が上がります。ヨーグルトを組み合わせてもいいですね。
メニュー例④のOKポイントと改善点
そばは、低カロリーで血糖値をゆっくり上げるのでヘルシー。野菜も少しは食べようという意思を感じます。
冷たいおそば&体を冷やす野菜なので、ママの体は冷えてしまうと思います。具入りの温かいそばつゆで食べるなど、何かひとつ温かいものをプラスしましょう。
メニュー例⑤のOKポイントと改善点
甘いものはとにかくエネルギーになるので、朝から力を出したいときにはいいと思います。
力にはなりますが、甘いものからはほぼエネルギーしかとれません。牛乳や市販のスープなど、パンに合う飲みものや汁ものを合わせると◎。
メニュー例⑥のOKポイントと改善点
鶏肉はたんぱく質が豊富ですし、噛みごたえがあるので満腹感があります。サラダもいいですね。
肉と野菜だけなので、バランスが悪いです。揚げものはカロリーが高いので、肉を減らして代わりにごはんを組み合わせるのはどうでしょう。
この記事を書いた人
babyco編集長。書籍編集者。
新潟の山奥で肉用牛を飼育しながら、野菜やくだものを育てる祖父母のお手伝いをきっかけに、丹精込めて作られた食材のおいしさ、食べることや命の大切さを学ぶ。特集記事、離乳食やママごはんなど幅広く担当。ママ・パパの気持ちに寄り添った記事の制作を心がけている。