<医学博士監修>ママの体を思う〜産後リハビリテーションとは?

産後リハビリテーション
2021/02/23 2023/07/27 徳嶋美希 徳嶋美希

「産後リハビリテーション」という言葉を聞いたことはありますか?
妊娠、出産でママの体にはたくさんの変化や負担がかかっていたでしょう。
そんなママの体をしっかりとケアしていきましょう、というのが「産後リハビリテーション」です。
産後もずっと元気であるために。自分の体と向き合ってみませんか?
腰痛、手首の腱鞘炎、仙腸関節の機能不全やそれに伴う腰痛、恥骨結合離開、肩こりなど。
ママの体調の悩みを解決できる方法をご紹介します。
妊娠中のママにとっても、産後のためにぜひ知っておいてもらいたい知識です。

監修
川上 洋平先生
川上 洋平

かわかみ整形外科クリニック 院長・医学博士 神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学に留学し、膝スポーツ疾患や再生医療を学び、神戸大学病院、新須磨病院勤務を経て、患者さんにやさしく分かりやすい医療を提供することを目的に、かわかみ整形外科クリニックを開業。日本整形外科学会専門医。

産後リハビリテーションについて

妊娠、出産はお母さんにとって非常に大きなイベントです。

病気ではありませんが、この期間に女性の体に大きな変化が起こります。

 

日本ではまだ一般的ではありませんが、諸外国では産前産後に理学療法士が身体的なケアへ関わることも多く、出産後何十年と続く人生を生き生きと生活していくために産前産後の身体のケアは必要と考えられています。

妊娠中〜産後の身体の変化

赤ちゃんを抱っこするママ

妊娠中にお母さんは、徐々に出産に備えた体に変化していきます。

妊娠後期から徐々に骨盤などの関節が緩み出産に備えた体に変化します。その過程で腰痛は出現しますが、腰痛の原因はこれだけではありません。

 

妊娠中の腰痛はどうして起こる?

妊娠中はお腹が大きくなることで重心の位置が変化します。反り腰が強くなる方もいれば、逆に腰の反りが少なくなる方もいらっしゃり、個人によって姿勢の取り方は様々です。しかしこの姿勢の変化により背中や腰に過剰な負荷がかかり腰痛が起こりやすくなります。

 

また、妊娠中には女性ホルモンやリラキシンホルモンといったホルモンの分泌量が変化することで、骨盤周囲の靭帯が緩みやすくなったり尿道や膀胱の筋肉にも影響し、腰痛や腹圧性の尿失禁が起こりやすくなると言われています。

 

産後のトラブルをどう防ぐ?

産後は自然に骨盤の緩みは改善されていきます。

しかし、産後も妊娠中の姿勢は継続されやすく、腹筋や骨盤底筋群などといったインナーマッスルを使いにくい状態になります。なかには、左右の腹直筋の間が開いてしまう腹直筋離開になる方も多い印象です。

 

急激に変化が起きるためお母さんの体にトラブルも当然起こります。

妊娠前、妊娠中からこういった身体の変化が起きることを知っておくことで、姿勢の取り方や身体の使い方に気をつけることができます。

また、妊娠出産を通して弱くなる筋肉を知っておくことで、妊娠中や産後に必要なトレーニングもわかります。

それが予防につながります。

実際の身体のトラブルについて

手首の腱鞘炎

実際に、妊娠中から産後にかけて多い身体のトラブルは、手首の腱鞘炎、仙腸関節の機能不全やそれに伴う腰痛、恥骨結合離開、肩こりなどがあります。

 

産前産後に多い手首の腱鞘炎は、ドケルバン病というものが多く、手の使いすぎで起こりやすいとされています。

基本的には、局所の安静が第一選択となりますが、リハビリテーションでは、手首そのもののへのアプローチよりも、手首に負担がかかってしまう原因となる動きや姿勢を評価し、手首に負担がかからないような動作指導や姿勢指導を行っていきます。

例えば、抱っこの際に手のひらではなく、肘から手首にかけての腕の部分で赤ちゃんを支える、赤ちゃんとママの距離を近づけるなど、日常生活では、親指が上になった状態で鍋の持ち手を掴むなどの動きを避ける、スマホを触りすぎないなどといった細かい配慮が大切になってきます。

フィンケルシュタインテスト
ドケルバン病では母指を内側に入れて握りこぶしを作り、手首を小指側に曲げると痛みが生じます。

産前産後の腰痛

赤ちゃんと体操

産前産後の腰痛は、妊娠中には約40%の妊婦さんが腰痛を訴えると報告されています。産後には慣れない育児や度重なる抱っこなどの影響で腰痛が出現するとの報告もあります。

産前産後の腰痛には、ホルモンの影響により骨盤が不安定になることで起こる仙腸関節性腰痛、骨盤輪不安定性による腰痛、姿勢や身体の使い方が影響し起こりやすい筋筋膜性腰痛などがあります。

いずれの腰痛においても、産後は腹横筋や骨盤底筋群などといった骨盤周囲のインナーマッスルのトレーニングをしていくことが大切です。また、抱っこの際は片側に偏った抱っこを避ける、授乳の際は背中を丸めず体をしっかり起こすなどといった日常生活での工夫が必要になります。

肩こり

産後、肩こりに悩まれる方も多いです。産後は赤ちゃんの抱っこや授乳など、肩が前に丸まる姿勢が多く、背中や肩周りの筋肉が引き伸ばされることで起こります。

肩首まわりのストレッチや、背筋を伸ばして胸を開く姿勢を意識することが必要です。

産前産後のリハビリテーションで、いつまでも元気なママに!

このように、妊娠出産を通して女性の身体にはさまざまな変化があります。

この身体の変化に加え、産後は休みなく育児が続き、自分の身体の不調は“仕方のないこと”と捉え、後回しにしてしまう女性がとても多い印象です。

日本ではまだ、産前産後リハビリテーションについての情報が少なく、この時期に抱えるマイナートラブルは何科の病院に相談すれば良いか分かりづらいという声もよく聞きます。実際に、マイナートラブルを抱える産前産後の女性に対応できる受け皿(病院)がまだ少ないことも事実です。

今後、今よりも日本中で産前産後リハビリテーションが広がることでマイナートラブルを相談できる受け皿が増え、産後の身体をケアできる仕組み作りが広がっていけばいいなと考えています。

産後リハビリテーションのできるクリニック

■ かわかみ整形外科クリニック

産後リハビリテーションにかかる費用例
(健康保険適応で 3割負担の場合)
初診:初診料+検査費用+リハビリ費用で 2000〜3000円程度
再診(2回目以降):再診料+リハビリ費用で 1000円程度
ほかに、
保険診療以外の相談や体操の指導について個別に行う場合と、多人数でママを囲んでの行う「ママのためのからだケア講座」(1時間1000円)などがあります。

 

かわかみ整形外科クリニック川上洋平

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