親になるってなあに?① “子どもに関わり、子供を知る”ことが親になるための第一歩!

2019/06/26 2021/01/07
目次
- 1 京都大学大学院 教育学研究科准教授 森口佑介先生
- 2 妻の「だっこ」とぼくの「だっこ」は違っている?
- 3 赤ちゃんのお世話も家事分担も話し合いで決めました
- 4 「こわくてだっこできない」「親の実感がわかない」のはパパのホンネ
- 5 子育てをするから、子どもを愛するようになる
京都大学大学院 教育学研究科准教授 森口佑介先生
「親になる」という気持ちについて、多くのパパはどのように思っているのでしょう。
子どもを産み、出産によるホルモンや身体の変化によって“母親になる”という自覚を持ちやすいママに比べて、父親になることはわかりにくいものだと思います。そういう私も、自分がパパになったという実感がなかなかわきませんでした。
私には3歳の娘がいますが、発達心理学者という仕事柄、赤ちゃんや子どもを研究対象として観察するくせが抜けず、生まれた当初は娘をただ見ているばかり…。さまざまな成長を目の前にして、見ては驚き関心していたと思います。
いま思い出すと、研究者の視点から娘を見ていただけで、父親としての意識が低かったですね。
妻の「だっこ」とぼくの「だっこ」は違っている?
あるとき、妻から「もっとこの子を抱っこしてあげて」と言われました。私なりに努力していたつもりでしたが、妻の目には私が娘のお世話をしているようには見えなかったのです。だっこもしていたはずですが、すぐに手渡してしまったり寝かせてしまったり、と、妻の「だっこ」とは違う印象をだったのでしょう。
赤ちゃんのお世話も家事分担も話し合いで決めました
たしかに、実際の子育てはただ見ているだけの父親の存在を許してくれません。ミルク作り、赤ちゃんの抱っこ、お風呂、おむつ替えなどやるべきことはたくさんあります。
そこで、おむつ替えは気づいたほうが積極的にやり、外出時の抱っこやお風呂、朝食の準備や洗濯などの一部の家事は私がやることなどを話し合って決めました。でも、このような子育てが親には大切なのです。
「こわくてだっこできない」「親の実感がわかない」のはパパのホンネ
ママは十月十日、赤ちゃんとずっと一緒に過ごしてきて、その間に母性を育んできていると思います。でもパパはそうじゃない。
ある日突然、「新しい家族で〜す」とはじめて対面することになるので、すぐにはわが子と認められにくいと思うんです。
ある日突然、「新しい家族で〜す」とはじめて対面することになるので、すぐにはわが子と認められにくいと思うんです。
だから「こわくてだっこできない」とか「扱い方がわからない」「親の実感がわかない」と第三者的な視点で見てしまうことが多いのではないでしょうか。
これもパパのリアルなホンネでしょう。
子育てをするから、子どもを愛するようになる
でも、たぶん、きっと、目の前の赤ちゃんはまぎれもなくあなたにとって何よりも大切な小さな命です。ですから子育てに参加してみてください。
「子どもを愛するから子育てができるのではなく、子育てをするからこそ子どもを愛するようになる」
そうカリフォルニア大学バークレー校のゴプニック教授は言います。
観察したり子育てから逃れたりしていては子どもを愛せません。このことを、私は日々実感しています。
もちろん、発達心理学者としての知識は子育てに役立っています。知人に言われて気づきましたが、赤ちゃんが赤色や丸いものを好むという知識は、娘を“自分とは異なる好みを持つ存在”として尊重することに役立っているようです。子どもに関わり、子どもを知ることが親になるための第一歩です。
当たり前のことですが、これは簡単ではありませんね。
それでもママと一緒に子どもに携われば、こわくもないし、親にだってなっていくものだと思います。
監修:森口祐介先生
京都大学大学院 教育学研究科准教授
発達心理学を専門とし、子どものセルフコントロールや想像力に関する研究を行なっている。Eテレ『すくすく子育て』に出演、ご自身も一児のパパ。主な著書は『おさなごころを科学する』(新曜社)
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