babyco編集長。書籍編集者。
新潟の山奥で肉用牛を飼育しながら、野菜やくだものを育てる祖父母のお手伝いをきっかけに、丹精込めて作られた食材のおいしさ、食べることや命の大切さを学ぶ。特集記事、離乳食やママごはんなど幅広く担当。ママ・パパの気持ちに寄り添った記事の制作を心がけている。
離乳食の「パン」は初期から食べられるって聞くけれど、おかゆや野菜の味に慣れようとしている時期に始めてもいいの?って気になりますよね。
パンの選び方、月齢ごとに食べられるパンの種類の目安など、赤ちゃんとママ・パパが安心して進められるパン食のポイントをお話しします。
母子栄養指導士として自治体での乳幼児健診や離乳食教室、幼児食教室に従事。また、糖尿病療養指導士として糖尿病性腎症重症化予防、特定保健指導にも携わるなど、乳幼児から高齢者まで多くの方へ食と健康の大切さを伝えている。
● 離乳食にはじめてパンを使うときは
ごはんや麺類と同じく、私たちの主食のひとつである「パン」。具材を挟んだりのせたり、ジャムをぬったりピザ風にトーストしたりと、形状も味もアレンジがききやすく、重宝しますよね。
パンは、シンプルな材料で作られている食パンやフランスパン(耳は取り除く)であれば、初期から食べ始めることができます。
ですが、小麦粉、塩や砂糖などさまざまな原材料が使われているので、できればおかゆや野菜などを食べることに慣れてから、パン食をスタートするといいでしょう。
● 離乳食や幼児食に使うパンの選び方
離乳食や幼児食に使うパンを選ぶときは、赤ちゃんの成長に合わせて内臓の働きに負担の少ないものを選ぶようにしましょう。
塩分、脂肪分、砂糖などが多いパンは初期や中期には避け、後期以降を目安に。食べさせるとしても、少量にします。
また、パンのなかには卵、乳製品といったアレルギー反応を起こす材料が使われているものもあります。
お子さんがこうした材料に対してアレルギーをお持ちの場合は、市販のパンのパッケージに記載されている原材料欄をチェックしておくと、お子さんも安心してパンを楽しむことができますね。
パンのなかにははちみつを使用しているものもありますので、その場合は1歳以降にしましょう。
赤ちゃんの成長に合わせて内臓の働きに負担の少ないものを選ぼう!といっても、具体的にどんなパンを選んだらいいのか悩みますよね。
赤ちゃんの頃は食パンしか食べられないんじゃ?とお思いのママ・パパもいるでしょう。
原材料や塩分・脂肪分、食べさせる量やお子さんのペースを意識しながらであれば、いろいろなパンを楽しむことができるんです♪
以下のステップを目安に、お子さんの月齢に合わせて食べ進めてみましょう。
以下にお伝えする内容はあくまで目安であり、お子さんの成長によって量や形態は変わります。食べる量や時期については、その通りにきっちり合わせなければならないと思い込まず、気持ちをラクにして、お子さんの成長に合わせて参考にしてください。
初期を目安に食べられるパン
・食パン
・フランスパン
初期は、材料がシンプルな「食パン」や「フランスパン」からスタートします。
離乳食の進み方は個人差があるので、急いで試さなくても大丈夫。もしも初期から食べ始める場合は、歯が生えておらず食べものを噛むことができないので、ミルクやお湯を使って「パンがゆ」にします。
基本のパンがゆの作り方
食パン(またはフランスパン)の耳を取り除いて耳以外の部分を細かくちぎり、ミルクやお湯に浸して加熱する。やわらかくなったら、固形の部分がないなめらかなポタージュ状になるまですりつぶす。
パンがゆを作る際、固いパンの耳、焼き目の残っているような部分はふやけにくいので、取り除いたほうが調理がしやすいです。
初期であれば1食あたり5g、中期であれば1食あたり10g程度を目安に食べさせてあげましょう。
! はじめてパンを食べるときの注意点
はじめて食べるときはアレルギーも気になるので、最初は小さじ1程度の量でようすを見ます。大丈夫であれば、次回より1さじずつ適量まで増やしていきます。また、もしもアレルギー症状が出たときに受診しやすいように、はじめて試すときは平日の午前中の時間帯がいいでしょう。
後期以降を目安に食べられるパン
・ロールパン
・生食パン
後期以降になると、食パンやフランスパンに比べて脂肪分のあるパンも、量に気をつけながらであれば食べられるようになります。
「ロールパン」はバターや油脂を使用しているので、後期以降を目安に。また、食パンには生クリームを使っているものは少ないですが、「生食パン」は生クリームの使用量が多く脂肪分が高いので、同じく後期以降を目安にするといいでしょう。はちみつを使用している場合は1歳以降に始めます。
後期はミルクや水でさっと煮るか、離乳食の進み具合によっては1cm角に切るなどしながら、1食あたり20g程度を目安に食べさせてあげましょう。
CLICK▶︎【後期】ズッキーニのパングラタン
完了期以降を目安に食べられるパン
・パンの耳
・菓子パン
完了期が過ぎて歯が生え始めてきたら、食べやすい大きさに切ったり、かみ切りやすいようにトーストにしたりした「パンの耳」もあげてもよいでしょう。
市販の「菓子パン」は食べさせてもよいですが、使われている砂糖の量や脂肪分が多いので少量をあげる程度に。甘いパンを食べ過ぎて満足すると、ごはんやおかずなどの食事量が減ってしまい、栄養不足につながる可能性があるからです。
完了期は手づかみ食べしやすい大きさ(かみ切りやすくスティック状にしたり、トーストしたりしてもよい)にするなどして、1食あたり35g程度を目安に食べさせてあげましょう。
CLICK▶︎【後期】【完了期】3色の蒸しパン
2歳以降を目安に食べられるパン
・惣菜パン
市販の「惣菜パン」は塩分や脂肪分が高く消化に負担がかかるので、デビューするのは2歳以降を目安にしましょう。
厚生労働省による日本人の食事摂取基準では、6〜11ヵ月の赤ちゃんの場合は1日の塩分量の目標は1.5gまでとなっています。
母乳やミルクにもナトリウムが含まれているので、1日の食事量を考えると、惣菜パンで多くの塩分を摂ることは避けたいですね。
ママやパパが惣菜パンを手作りするのであれば、赤ちゃんの離乳食の進み具合に合わせてあげましょう。
惣菜パンを選ぶときは、内臓機能の働きに負担を与える塩分や脂肪分、砂糖などが少ないものを選ぶとよいでしょう。具材が大きいと窒息する危険があるので、見守りながら食べさせてあげると安心です。
やわらかくて食べやすいとはいえ、口内の水分をうばわれやすいことから赤ちゃんにとってはパンも窒息事故につながる食品のひとつと意識しておくことが大切です。
そうした事故を起こさないためにも、せっかくのパン食の時間におびえないためにも、パンを食べるときは以下のことに気をつけていけるといいでしょう。
<必ず気をつけてほしいこと>
・パンをくちに詰め込み過ぎないように、一度にくちに入れる量に気をつけてあげる
・遊び食べをしない
・子どもがパンを食べているときに目を離さない
<水分が失われないための工夫>
・パンを食べる前に、飲みものや汁もので十分にのどを湿らせておく
・スープなどにパンを浸して、ふやかしながら食べる
・飲み込みをよくするために、パンを食べている間もこまめに水分を摂る
「レーズン入りのパンは食べさせても大丈夫?」「パンを食べたがらないのはどうして?」など、babycoママから寄せられたパンに関するギモンや質問にお答えします。
▶︎管理栄養士さんからのアドバイス
事故防止の観点から、レーズンを粒のまま食べさせることは注意が必要と考えたほうが安全です。できるだけ粒の小さいものや刻んだものが練り込んであるパンを選び、離乳食後期以降から食べ始めるといいでしょう。
また、レーズンは甘みが強く、食べ過ぎると食事量が少なくなることも考えられるので注意しましょう。
雑穀入りのパンについては、健康的なイメージがあるので赤ちゃんごはんにも取り入れたいと思う方がいらっしゃると思いますが、消化機能が未熟なため完了期を過ぎてから食べさせてあげましょう。
▶︎管理栄養士さんからのアドバイス
お子さんが「お米は嫌でパンなら食べられる」というようなときには、パンを主食にしつつ、おかずはいろいろな食材を取り入れて食べられるといいでしょう。
おかずを考えるときは
主食
(お米、パン、麺など)
+
主菜
(肉、魚、卵、大豆製品)
+
副菜・汁もの
(野菜、海藻類、きのこ類など)
これらを組み合わせることでバランスがよくなるので、少し意識してみてくださいね♪
子どもの食にはブームがあります。今はパンばかりだとしても、お米や麺類などのおいしさも伝えながら見守ってあげると、やがてお米や麺類も食べられるようになります。
お子さんが「お米も麺類も食べられるけれど、今はパンブームなんだ!」ということであれば、朝・昼・夜のなかで毎食さまざまな主食に切り替えられるととてもいいですね。
▶︎管理栄養士さんからのアドバイス
市販のパンの添加物について気になるママ・パパは多いと思います。
日本では添加物の規制がしっかりしているので、そこまで神経質にならなくても大丈夫と思っていいでしょう。心配な場合は、原材料が“できるだけシンプルでわかりやすいもの”で作られている商品を選ぶとよいでしょう。
また、原材料をチェックするときは、添加物だけでなくアレルギーについても確認したほうが安心です。
▶︎管理栄養士さんからのアドバイス
お子さんのなかには、やわらかいものが苦手だったり、舌や上あごに食べものがくっつくのが嫌だったりする子もいます。
簡単にできる工夫として、トーストして少しカリッと焼き目をつけてみたり、パン粉のようにポロポロと細かい状態にしてみたりと、やわらかさとは逆の食感をもたせてみるのもひとつの手ですよ♪
母子栄養協会とは?
「日本の食卓をもっと元気に もっと笑顔に」をモットーに、食と健康から子育てを支えるママたちの強いミカタ。食に関するイベントや養成講座など、生活に役立つ情報が満載!
\資格取得を目指すママも注目/
「食」に関する養成講座を開講中!
● 妊産婦食アドバイザー®︎養成講座
● 離乳食アドバイザー®︎養成講座
● 幼児食アドバイザー®︎養成講座
● 学童食アドバイザー®︎養成講座
● 母子栄養指導士®︎養成講座