子どもが習いごとを「やめたい」と言ったらどうする?『すくすく子育て』元キャスターの天野ひかりさんがお悩み&ギモンにお答え!

最初の習いごとは何がいいのかな?
ほかの家では何歳から習いごとを始めているんだろう。

子どもの習いごと選びって、やってみて好きか苦手かがわかったり、先生との相性が見えてきたりするから悩みますよね。

子育てをしていて一度は考えるであろう「子どもの習いごと選び」について、babycoママ・パパから寄せられたお悩みやギモンを交えながら大切なお話をしていきます。

子どもの習いごと、いつから始める?『すくすく子育て』元キャスターの天野ひかりさんがお悩み&ギモンにお答え!の記事では、

● いつから?習いごとを始めるタイミング
● 親子にとっていい先生との出会い方

についてのママ・パパのお悩みとギモンを、『すくすく子育て』元キャスターの天野ひかりさんに答えていただきました。

続いては

● 教室を選ぶときのポイント
● 「やめたい」と言われたら?子どもとの接し方

などについて、天野さんにお話を伺います♪

 

【教室選び】に関するお悩み&ギモン

複数の教室を検討するとき、どんなことをチェックして比較するといいですか?(3歳ママ)

Q.気になる英語教室があるので、今度体験レッスンに行ってきます。ほかにもいろいろな英語教室を見てみるつもりなんですが、複数の教室を比較する場合、どういう点をチェックするといいでしょうか。(3歳ママ)

\天野先生からアドバイス/

体験レッスン、ドキドキですね!

見るべきポイントですが、先生とわが子がどう楽しんでいるのかを見てみてください。

○○教室で、A先生とわが子がどう楽しんでいるのかを見る。△△教室にも行ってみて、B先生とわが子のようすを見る。

「A先生はこうだったけど、B先生はこうだったね」というのを帰り道に子どもと話して整理をして、子どもが「B先生がいい!すごく楽しかった」と言ったら、「じゃあB先生のところに行ってみようか!ちょっと遠いけどママとがんばろうね」と決めるのが、親も安心するし子どもも楽しめるんじゃないかと思いますね。

また、送り迎えもあるので利便性もチェックしたほうがいいです。ベビーカー、自転車、車、電車、どれで行けそうなのかも親子で体験してみましょう。

車だったら駐車場も必要になりますしね。利便性が悪いとイライラして送り迎えがおっくうになるし、お子さんが大きくなって、いずれは「ひとりで教室に行ってね」と言う可能性も含めて要チェックです。

年齢幅が広くて親子で通える場合、親も一緒に習いに行くのは大丈夫でしょうか?(6歳ママ)

Q.息子が書道教室に通っており、私自身も子どもの頃に書道を習っていたので、がんばる息子の姿を見てまた始めたいなぁなんて思っています。書道教室のように年齢幅が広い教室では、親も一緒に習いに行くのは大丈夫でしょうか?(6歳ママ)

\天野先生からアドバイス/

親子で同じ教室に通う、とてもいいですね!

子どもが一番伸びるときっていうのは、親が何かに夢中になっているときなんですね。書道でいえば、一番大好きなママやパパが真剣に字を書いている姿を見ているときに、自分もやりたくなって伸びるんです。

親としては、つい「持ち方はこうよ」「何十枚も練習してごらん」って言いたくなるんですが、親に指導されている間は子どもは伸びない

もし一緒に習いに行くのなら、子どもが自分のペースで書いているそばで、ママはママの、パパはパパのペースで自分も生徒として行くのが徹底できるのであれば、お子さんもグングン伸びていくと思いますよ!

じつは私も、子どもの頃に書道を習っていました。どんな字を書いても「いい字だねぇ」って、書くことの面白さを教えてくださった先生です。直されるんですけど(笑)

ママがもう一度習いたいと感じたのは、きっと“好き”が続いたからではないでしょうか。ママが書道に夢中になったように、お子さんの「もっと書きたい!」という気持ちもはぐくまれたらうれしいですね。

きょうだいや双子で同じ教室と違う教室、どちらがいいのでしょうか?(5歳・2歳ママ)

Q.5歳と2歳の姉妹です。おねえちゃんのまねっこが好きで、習いごとも同じところにしたらどんどん習得していけるかなぁと思っています。でも、下の子の気持ちも尊重したく、同じ教室か違う教室かで悩んでいます。どちらがいいのでしょうか。(5歳・2歳ママ)

\天野先生からアドバイス/

ごきょうだいや姉妹、もしくは双子ちゃんで同じところにするか違うところにするかは、お子さんが小さいうちはママとパパの負担感で決めていいと思いますよ。

だって、子どもたちを別々の教室に連れていって何が合っているかを見極めるのって大変じゃないですか。

一緒のところに連れて行って、それぞれの良さを発見しながら、子どもたちが自分の意思で「これは続けたい」「これはいやだ」というのが言える年齢になったら、Aちゃんはこっち、Bちゃんはこっちと違うところに通わせてあげてもいいかもしれません。

もしも同じ教室に通わせるなら、“比べない”というのを大切にしてあげましょう♪

まだ言えない年齢で、ひとりは続けられそうだけれど、もうひとりはちょっと難しいかなという場合は、「これはどう?」「こんな教室もあるよ」と親が提案しながら情報を整理してあげて、子どもが決められるようにいっぱいお話をするといいですね。

 

あと、上のお子さんと下のお子さんで習いごとの日時を調整できそうならば、違う教室だとしても、同じ曜日にレッスンを入れて送り迎えの時間や順番を工夫できるかもしれません。

【子どもとの接し方】に関するお悩み&ギモン

グループレッスンに通っているのですが、ほかの子と比べてしまいそうになります。(9ヵ月ママ)

Q.グループレッスンの親子教室に通っています。ひとりひとり違うとわかっていても、あの子はハイハイできてるのにうちの子はまだおすわり…と比べちゃいます。どうしたら気にせずにいられるでしょうか。(9ヵ月ママ)

\天野先生からアドバイス/

うんうん。月齢や年齢が近いお子さんだと余計に気になっちゃいますよね。ママの心のなかでは、比べちゃいけないってわかってるのに比べちゃう気持ちがあるから、きっと苦しいんですよね。

あのね、まわりと比べてしまうことって人間の性(サガ)だと思うんです。

「あの子はもうたっちができるのに」「あの子はもうおむつが取れているのに」って比べそうになったら、うちの子と同じ月齢や年齢でもうできてる子がいるのねと“事実”として受け止めてみる

それを子どもに「なんであなたはハイハイなの?」「なんでおむつが取れないの?」と子どもを否定する材料にしなければいい

同じくらいの子ができているならうちの子もそろそろかな?って思えたら、気持ちがプラスに働きますよね。

ママが感じているプレッシャーって、お子さんにも伝わってしまいますから。明日やれるようにしなければ!と思わずに、お子さんが次に向かっていくための目標のひとつと思えたら、気持ちがラクになるかも。

子どもが「やめたい」と言ったとき、親はどうしてあげるのがいいのでしょうか。(8ヵ月ママ)

Q.子どもに習いごとをさせてみて「やめたい」と言われたとき、親はどんな対応をしてあげたらいいのでしょうか。簡単にやめさせてしまったら、何をするにも長続きしない子になりそうな気がして…。(8ヵ月ママ)

\天野先生からアドバイス/

こちらのお悩み、ママたちからすごくたくさんいただく質問です。お子さんの習いごとを考える親御さんの多くが悩むテーマなので、しっかりとお答えしますね。

 

お子さんが習いごとを「やめたい」と言ったら、みなさんならどう返してあげますか?

やめたいなら、やめてもいいんだよ
せっかくがんばってきたのにやめちゃうの? 応援してるから、もう少し続けてみようよ

といった言葉を思い浮かべた方が多いのではないでしょうか。

どちらも子どもを認めているように聞こえますが、

やめたいならやめてもいい許可
もう少し続けてみようよ指示

なんですね。やわらかい言い方をしながら、どちらも親が決めているんです。

 

最終的に決めるのは、やっぱりお子さん本人であってほしいなと思います。そのために、「やめたい」と思った子どもの真意をちゃんと親が対話をしながら見極めていく必要があります。

お子さんの年齢や背景にもよるので難しいですが、お子さんが「やめたい」と言ったら

「そっかぁ、やめたいかぁ」

と子どもが言った言葉をそのまま認めてあげてみてください。おうむ返しのように聞こえますが、「やめたいかぁ」でいいんです。

そうすると、子どもはハッとママをうれしそうなお顔で見るんです。「自分の言葉を、気持ちを理解してくれた!」って。そしたら次の言葉が出てくる。

子どもたちが「やめたい」って言う本当の理由ってね、「こんなにがんばっていることをママもパパも認めてよ!」っていう気持ちが隠れている場合が、今まで私がたくさんの方のご相談を聞いてきて一番多い答えです。当てはまらない場合もあるので、そこは聞き出してみてあげてくださいね。

「もうすっごく大変!」と子どもが言ってきたら、「そっかぁ、大変だよね」と返してあげる。

「すごく疲れるんだよ」って言ってきたら、「疲れるよね」と返してあげる。

そうすると、不思議なことに「でも私がんばるよ!」って言う子が多いんです。

「そんなに大変なのに○○ちゃんはがんばるんだね、すごいね!」と言ってあげると、さっきまでの「やめたい」がうそのように消えて、次の日からまたものすごくがんばれる。

親が判断せずに、子どもが発する言葉をそのまま返して、会話を通じて真意を探ってあげてみてくださいね。

 

ただ、なかには本当にやめたいと思って、勇気を振り絞って言ってくれている場合もあります。先生やおともだちにいたずらやいじめをされている可能性も無きにしも非ずです。

こういう場合に「やめてもいいよ」と言ってしまうと、隠れている重大なことを子どもが言葉にしないまま終わる可能性がある。

あるいは、「もう少し続けてみようよ」と言ってしまうと、そんな恐ろしい場所に子どもを行かせ続けることになる。

子どもへの返事の仕方ひとつで子どもが本心を言えなくなってしまったら、親としてもとても苦しいですよね。

 

お話を聞くときは、ちょっと肩に触れたり手をつないだりして体に触れながら、安心して話せる雰囲気をつくってあげるといいですね。ピンポンって宅配便が来ても、急ぎの電話やメールが来ても、そのときだけは心のなかでごめんなさいをして、いまはあなたのお話を集中して聞くよっていう雰囲気を、フラットな表情でね。

ママもパパもお忙しいのはわかっているけれど、「あとで聞くね」はNOです。あとでなんて言ったら子どもはもう話してくれないし、その間にも被害が生まれてしまう可能性がありますから。お子さんの一生に関わることなので、タイミングだけは逃さないように

 

また、小学校に入る前くらいの年齢であれば4W1Hで聞くといいと思います。

【4W1H】
When?(いつ)
Where?(どこで)
Who?(誰が)
What?(何を)
How?(どのように)

一番知りたい“Why?”を最初に聞いてしまう親御さんは多いのですが、いたずらやいじめが理由だとしたら、勇気を振り絞って言っているのに「いたずらされたから」「いじめられているから」なんて言いにくいですよね。それに、いきなり「なんで?」と言われると非難されたように感じる子もいます。

子どもたちはWhy?がうまく言えないから、「やめたい」という4文字を言う勇気がいるんですね。「いつ?」「どこで?」「誰が?」「何を?」とうまく聞き出せたら、「どのように?」と聞いてあげられるといいなと思います。

4W1Hで細かく聞いてあげると子どもも言いやすいですし、親も状況がわかりやすくなっていきます。

子どもにも「こうやって話せばママやパパが理解してくれるんだ」と伝え方を学ぶきっかけになるので、こうした場面がきたときのために覚えておくと、役に立つと思います。

先生やママ友にほめられると、子どもの前でつい謙遜しちゃいます。(7歳ママ)

Q.3歳からキッズのダンススクールに通わせています。早い時期から始めたのでまわりの子よりも踊れるようで、先生やママ友に「かっこよく踊れてますね」とほめてもらえます。うれしいけれど、自慢に思われたくなくて「いやいや、全然!」と遠慮してしまいます…。こういうとき、どう返したらいいんでしょうか。(7歳ママ)

\天野先生からアドバイス/

ママやパパにお願いしたいのは、お子さんをほめてもらえたら素直に「ありがとうございます」と返してください♪

「うちの子ダメなんです」なんて念押しする必要なしなし! 遠慮も謙遜も、する必要はないんですよ。

先生やママ友とお話ししているママの言葉って、子どもからすると“間接的な言葉”なんですね。子どもにとっては直接言われる言葉よりも間接的に言われる言葉のほうが、響く影響力が大きいんです。

ママがどんなに「今日もかっこいいね!」「たくさん練習してすごいね!」とお子さんに言っていても、先生やママ友に「うちの子全然で〜」と話しているのを聞いてしまうとショックを受けてしまう。「いつもぼく・私のことをほめてくれるのに、本心ではそう思っていたんだ…」って。

そうすると、子どもの自己肯定感を伸ばそうと思って先生が一生懸命声がけをしても、親が子どもを否定してしまうから自己肯定感がはぐくまれないんですね。

あまりにほめられて周囲に傲慢な親だと思われてしまいそうなら、例えば「ありがとうございます、うちの子がんばってるんですね。私はちっちゃいときに運動が苦手だったからうれしいです」と自分を下げて謙遜する

自分のことを謙遜しつつ、子どものことは否定しないというのは、ぜひ心がけてほしいなと思いますね。

親が監督のチームに子どもを入れたいです。関わり方で気をつけることはありますか?(5歳パパ)

Q.地元のジュニアサッカーチームのコーチをしています。息子をチームに参加させたいなと考えているのですが、私と妻で、それぞれ子どもをどう応援してあげたらいいでしょうか。(5歳パパ)

\天野先生からアドバイス/

パパは監督として指導をしながら子どもを受け止めて、ママはサポーターとしてお子さんに寄り添ってあげるという形でがんばるのがいいと思いますね。

おふたりとも厳しい目でお子さんを見てしまうとがんばりを認めてくれる存在がいなくなってしまうので、指導する人寄り添う人と、役割が分かれているほうがいいでしょう。

 

>>もっとアドバイスを読みたい方はこちら!

子どもの習いごと、いつから始める?『すくすく子育て』元キャスターの天野ひかりさんがお悩み&ギモンにお答え!

 

お話を伺った先生:天野ひかりさん

上智大卒。元テレビ局アナウンサー。NHK『すくすく子育て』キャスターとしての経験を生かし、子どもの自己肯定感を育てるコミュニケーションアドバイザーとして全国で講演やシンポジウムなどを務め、受講生は5万人以上。子どものやる気やわくわくを引き出す“習いごとの先生のための講座”も開講。著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』ほか。
オフィシャルWEBサイト:https://amanohikari.com/

 

イラスト:山村 真代