babyco編集長。書籍編集者。
新潟の山奥で肉用牛を飼育しながら、野菜やくだものを育てる祖父母のお手伝いをきっかけに、丹精込めて作られた食材のおいしさ、食べることや命の大切さを学ぶ。特集記事、離乳食やママごはんなど幅広く担当。ママ・パパの気持ちに寄り添った記事の制作を心がけている。
麦茶、牛乳、水、ジュースなど、母乳やミルク以外の水分は、いつからあげ始めてもいいのか悩みますよね。はじめてに適した飲みもの、あげる量の目安、のどの渇きのサインのチェック方法などをお話しします。
病院や高齢者施設で栄養指導、栄養ケア・マネジメントを経験。自身の出産後、子どもの食の大切さを再認識し、離乳食や幼児食の学びを深める。現在は料理教室を主宰し、親子クッキングや離乳食講座などを開催。
赤ちゃんの味覚への影響や消化のしやすさを考えると、はじめて飲む飲みものは、人肌程度(40℃くらい)に冷ました白湯や麦茶がよいでしょう。
冷たいお水だと、おなかが冷えて壊してしまうことも。白湯は体温に近い温かさで、胃腸への負担が少なく、吸収しやすいんです。
麦茶は、ノンカフェインな上にミネラル分が含まれているので、大人よりも汗をかきやすい赤ちゃんの水分補給にはぴったり。麦茶をあげるときも、人肌程度に温めるか、お湯で割ってから飲ませてあげるといいでしょう。
ジュースといった甘みの強い飲みものは、甘みに慣れると赤ちゃんが母乳やミルクを飲まなくなってしまう可能性があります。
生まれてしばらくは母乳やミルクからも栄養を得ることが大切な時期なのと、糖分の心配もあるので、はじめてには避けましょう。
母乳やミルク以外の、飲みものからの水分補給は、離乳食が始まり、母乳やミルクの回数が減る5~6ヵ月頃から少しずつ進めます。
離乳食が始まる前の水分補給は、母乳やミルクで十分とることができています。あえて水などの飲みものを与えなくていいでしょう。
また、離乳食からも水分はとれるので、母乳やミルクの回数が減ったからといって無理に与える必要はありません。飲みものを与え過ぎると、水分でおなかがふくれて、成長に大切な栄養を摂れなくなってしまうことがあるからです。
夏場に外出して汗をかいた日、お風呂に入ったあと、水分不足のサインが見られたときなどに、スプーン数さじから飲ませてあげるといいでしょう。外出時は、マグなどに白湯や麦茶を入れて持ち運ぶと便利ですね。
飲みものの種類によって、糖分や塩分、カフェインの有無が異なります。また、牛乳や豆乳はアレルギー症状が出るかどうかをチェックしましょう。
以下にお伝えする内容はあくまで目安であり、お子さんの成長によって量や形態は変わります。食べる量や時期については、その通りにきっちり合わせなければならないと思い込まず、気持ちをラクにして、お子さんの成長に合わせて参考にしてください。
水、白湯ともに、赤ちゃんの胃腸が発達し始める生後3ヵ月頃から飲ませることができます。ですが、生後3ヵ月頃の赤ちゃんは母乳やミルクから水分を摂っているので、無理に与える必要はありません。
麦茶は、離乳食が始まり、母乳やミルクの回数が減る5~6ヵ月頃から少しずつ進めます。
市販の赤ちゃん用麦茶には「生後1ヵ月頃から」と記載されているものもありますが、離乳食が始まる前の赤ちゃんは、母乳やミルクから水分や栄養を摂取できているので、積極的にあげる必要はありません。
夏の外出時やお風呂上がりなどに、スプーン数さじから始めましょう。
市販の麦茶は味が濃く、渋く感じることがあるので、白湯で薄めてから与えると赤ちゃんが飲みやすいです。
また、大人は冷蔵庫でキンキンに冷やしたほうがおいしく感じますが、赤ちゃんの胃腸はまだまだ未熟。人肌程度に温めるか、お湯で割ってぬるくしてから飲ませてあげると赤ちゃんのおなかにやさしいですね。
緑茶、烏龍茶、紅茶、ほうじ茶、ジャスミン茶といったお茶類には、カフェインが含まれています。
カフェインのある飲みものを摂取すると、シャキッと目が覚めたり、排便がスムーズにいったりしますよね。そうした脳や体への影響が大人でも出るということは、赤ちゃんはなおさら。
脳や胃腸などの臓器の発育に影響があるといわれているので、3歳頃まではできるだけ避けたほうがいいでしょう。
とはいえ、外出時や災害時など、白湯や麦茶がすぐに手に入らない場面もあります。
できれば赤ちゃんには避けたいものですが、どうしてもカフェインが含まれているお茶しかないという場合は、量は控えめにするなどして、カフェインを摂り過ぎないように心がけましょう。
● 緑茶・紅茶・烏龍茶
緑茶、紅茶、烏龍茶は同じ茶葉から作られています。
緑茶:茶葉を加熱して発酵させずにお茶にしたもの。
紅茶:茶葉を加熱して発酵させたもの。
烏龍茶:茶葉を加熱して半発酵させたもの。
独特の渋みや苦みがあるので、お子さんが飲む場合はお湯で少し薄めて、少量にとどめましょう。
● ほうじ茶
ほうじ茶は、緑茶を強火で炒って作ります。炒ることで、緑茶に含まれる「タンニン」という苦み成分はなくなりますが、カフェインは0ではありません。緑茶などと同様に、お子さんが飲む場合はお湯で少し薄めて、少量にとどめます。
赤ちゃん用にカフェインを少なくしたほうじ茶も市販されているので、試してみるのもいいでしょう。
● ジャスミン茶
ジャスミン茶は、ジャスミンの花から作られているのではなく、緑茶などの茶葉にジャスミンの香りをつけたお茶です。沖縄で飲まれている「さんぴん茶」もジャスミン茶と同じです。
緑茶や烏龍茶を使用しているので、カフェインが含まれています。お子さんが飲む場合はお湯で少し薄めて、少量にとどめます。
牛乳は、離乳食の食材としてであれば中期頃(7~8ヵ月頃)から使えますが、大人と同じように牛乳だけをゴクゴクと飲むなら1歳以降がいいでしょう。
鉄の含有量が少なく、吸収率も低いので、1日に200ml程度を目安にします。赤ちゃんの胃腸に負担がかからないよう、人肌程度に温めたものを少量ずつ与えましょう。
赤ちゃんのペースがあるので、はじめから1日に200mlを与える必要はありません。また、アレルギーを引き起こす可能性があるので、最初はスプーン数さじからようすを見ましょう。
アレルギー反応が見られなければ、少しずつ量を増やしていき、1日に200mlくらいにとどめることを意識するといいですね。
健康な皮フや骨の形成に欠かせない「カルシウム」や「たんぱく質」といった栄養が多く含まれているので、積極的に飲んだほうがたくさん栄養がとれそうな気がしますよね。
ですが、たくさん飲み過ぎると、離乳食が食べられなくなって鉄欠乏性貧血を起こす(血液中の鉄が不足し、貧血症状が起こる)ことがあります。そのためにも、1日に200ml程度にとどめることが大切です。
豆乳は、離乳食の食材としてであれば初期頃(5~6ヵ月頃)から使えますが、豆乳だけをゴクゴクと飲むなら1歳以降がいいでしょう。
牛乳と同様にアレルギーを引き起こす可能性があるので、スプーン数さじからようすを見ます。
少しずつ量を増やしていき、1日に200ml程度にとどめることを意識しましょう。
砂糖や塩分などを加えた「調整豆乳」、大豆以外の材料を使用していない「無調整豆乳」がありますが、赤ちゃんに与える場合は材料がシンプルな無調整豆乳がおすすめです。
● 果汁100%の飲料
オレンジ、りんご、ぶどう、パイナップルなどの果汁100%のジュースは、フルーツの甘みや酸みを味わえておいしいですよね。
味が濃く、糖分も多く含まれているので、そのまま与えると赤ちゃんの消化器官に負担をかけてしまうことがあります。ひと手間ではありますが、白湯で薄めてから飲ませてあげるといいでしょう。
赤ちゃん用の果汁飲料の場合も、パッケージに記載されている対象月齢を参考にしながら、同様に薄めてから飲ませてあげると赤ちゃんの体にやさしいです。
果汁100%のジュースは果汁の甘みが強い分、赤ちゃんが好んで「もっと飲みたい!」となることがあります。与え過ぎると、赤ちゃんが成長するために摂取したい母乳やミルク、離乳食の妨げになることがあるので、スプーン数さじから始めて、量を決めながら飲ませます。
また、虫歯の原因にもなるので、マグなどに入れていつでも飲めるようにするのは避けて、ダラダラ飲みをさせないように心がけましょう。
果汁100%のジュースのなかには、濃縮還元を用いて、砂糖が添加されているものもあります。ママやパパに余力があれば、買ってきたフルーツをしぼって果汁を飲ませてあげたほうが安心です。
● 果汁100%以外の飲料
最近は「果汁10%」と記載されているジュースでも、ちゃんとフルーツの風味を感じられて、甘くておいしいものが増えてきていますよね。
砂糖による糖分や添加物が含まれていることがあるので、「赤ちゃん用」と記載のあるもの以外はできれば避けましょう。糖分を摂り過ぎると、母乳やミルク、離乳食の摂取量が減り、赤ちゃんの成長に必要な栄養が摂れなくなってしまうからです。
果汁100%以外のジュースは「嗜好品」と考えて、お誕生日や特別なイベントのときなどに少量を与える程度がいいでしょう。
炭酸好きのママやパパならご存知の通り、炭酸飲料はシュワシュワとした喉ごしで、たくさん飲みたくなってしまうものです。
甘い炭酸飲料には、砂糖の糖分や添加物などがたくさん含まれています。そのため、炭酸飲料も「嗜好品」と考えて、小学生以降を目安に、お誕生日や特別なイベントのときなどに、少量をコップに入れて与える程度がいいでしょう。
冷たくて喉ごしがいいと、たくさん飲んでしまうきっかけになるので、ペットボトルから直接飲むのではなく、コップに移して飲み過ぎを防止するのがポイントです。
夏の暑い日や、たくさん動いて汗をかいたあとに飲みたくなるスポーツドリンク。汗をかいたあとの水分補給には適していますが、清涼飲料水に含まれるので、砂糖や添加物が多く含まれています。
また、発汗によって失われるナトリウムなどのイオンが体内にスムーズに吸収されるように作られた「イオン飲料」は、糖分や塩分が多く含まれており、赤ちゃんの胃腸には負担になってしまいます。
スポーツドリンクに関しては、お茶やジュースと違って、白湯で薄めれば大丈夫という考えも危険です。
乳幼児用に薄めて調整した、赤ちゃん用のイオン飲料もありますが、糖分がたくさん含まれていることを覚えておきましょう。
しかし、スポーツドリンクは発熱や下痢・嘔吐のときに、効率よく水分補給ができる飲みものとして心強い存在でもあります。スポーツドリンクは赤ちゃんには避けたほうがいいとなると、こうした緊急時に焦りますよね。
発熱、下痢・嘔吐、食事が食べられない、母乳やミルクが飲めないといった症状が見られる場合は、乳幼児用の経口補水液がおすすめです。一度にたくさんは飲めないので、スプーンで少しずつ、こまめに飲ませてあげましょう。
ココアには、砂糖やミルクの入っていない「純ココア」と、砂糖やミルクが入っていてお湯で溶かして飲む「調整ココア」があります。
ココアの主原料であるカカオには、カフェインが含まれているので、大人と同じように、飲みものとしてゴクゴクと飲むなら1歳以降に少量ずつからがいいでしょう。
調整ココアのパッケージに記載されている「スプーン大さじ○杯」の通りに作ると、1歳以降の赤ちゃんには摂取量が多過ぎるので、温めた牛乳に純ココアを風味づけ程度に使うくらいがいいですね。
「赤ちゃんののどが渇いてるかどうか、どうしたらわかる?」「飲みものを飲みたがらないときはどうしたらいい?」など、babycoママの飲みものに関するギモンや質問にお答えします。
▶︎管理栄養士さんからのアドバイス
赤ちゃんが1日に必要とする水分量は、「体重1kgあたり100ml」といわれています。例えば体重が10kgの子なら、100ml×10で1ℓ摂れるとよいということになります。
この場合の1ℓは、母乳やミルク、離乳食も含めたすべての水分量です。1日に必要な水分量すべてを飲みものから摂りましょう、というわけではないので気をつけましょう。
水分量の計算方法はあくまでも目安なので、水分が汗として出やすい真夏の暑い時期などは、少し足してもいいですね。
▶︎管理栄養士さんからのアドバイス
赤ちゃんは、大人のようにのどの渇きをうったえることができません。脱水症状は大切な命の危険にもつながるので、以下のようなサインが見受けられたら水分補給を気にしましょう。
● おしっこの回数が少ない
● おしっこの色が濃い気がする
● 唇、くちのなかが乾燥している
● 泣いているのに涙が出ていない
▶︎管理栄養士さんからのアドバイス
日本の水道水は、安全基準を満たした水としてそのままでも飲むことができます。ですが、塩素が加えられていたり、トリハロメタンが含まれていたりするので、赤ちゃんに飲ませるには不安に感じる方もいますよね。
水道水をそのまま飲ませるのが気になる場合は、10分以上煮沸させたり、浄水器を使うことで塩素などを取り除くことができます。
ですが、塩素が除去されることで雑菌が繁殖しやすくなるので、早めに使い切りましょう。
水道水ではなくペットボトルのお水を使う場合は、そのまま飲ませる場合も、ミルクや離乳食に使う場合も軟水がいいですね。
栓をひねれば水もお湯も出てくるウォーターサーバーなら、沸かす手間がなく、温度調整もしやすいので、育児中はとても重宝しますよ。
▶︎管理栄養士さんからのアドバイス
体が火照りやすい夏の時期は冷たい飲みもの、体が冷えやすい冬の時期はあたたかい飲みもの、と季節に合わせて温度調整をしたほうがいいのかなと思いますよね。
夏は、暑いからといって冷たいものを与えると、赤ちゃんがおなかを壊してしまうことがあります。そのため、常温または人肌程度に温めた白湯や麦茶がいいですね。
冬も、夏と同じく常温または人肌程度に温めた白湯や麦茶がいいでしょう。寒いからといって水や麦茶の温度を熱くし過ぎると、火傷してしまうので注意です。
夏と冬の水分補給ですが、母乳やミルクを飲ませられているのであれば白湯や麦茶を無理に与える必要はありません。
▶︎管理栄養士さんからのアドバイス
私たち大人にも甘いもの好きな方がいるように、赤ちゃんにとっても「甘み」はとても魅力的なんですね。
甘い飲みものはおいしいので、いつでも飲める状況にしてしまうと、母乳やミルクを飲まなくなったり、離乳食を食べなくなったりしてしまうことがあります。
また、ジュースに含まれる砂糖や塩分などが胃腸に負担をかけたり、虫歯の原因になったりすることも。
そう考えると、ジュースを与える年齢は遅いほうがいいかもしれませんね。対象月齢が記載されている赤ちゃん用のジュースはあくまでも目安なので、対象月齢になったからといって、頻繁に与えてもいいというわけではありません。
ですが、あまりにも禁止してしまうのは、赤ちゃんにはつらいもの。親にとっても、ジュースでごきげんになってくれたら助かる場面もあります。
「ジュースは特別な飲みもの」と位置づけながら、ときどき与えるという考え方がいいかもしれません。
▶︎管理栄養士さんからのアドバイス
白湯や麦茶を飲んでくれなくても、母乳やミルクを飲んでくれるのであれば、水分と栄養は摂れているので大丈夫です。水分は足りていると考えてよいでしょう。
赤ちゃんの胃はとても小さいので、大人のように一度に食べたり飲んだりすることができません。
もしかしたらおなかいっぱいなのかもしれませんし、飲んでくれなくなる前に、飲みものを一度に多く飲み過ぎたのかもしれません。
「少量を複数回」を意識しながら、こまめに水分が飲めるように練習してみましょう。
ジュースなどの味が濃くて甘い飲みものをあげ過ぎていないかどうかも要チェックです。濃い味や甘い味に慣れてしまうと、白湯や麦茶では物足らず、飲んでくれないということがあります。
飲みたくないのに無理やり飲ませられるのも赤ちゃんにはつらいので、起床時、たくさん遊んだあと、入浴後など、大人ものどが渇くなと感じるタイミングに水分補給を進めてみるのもいいですね。
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