babycoオンラインコンテンツディレクターであり、雑誌・書籍の編集者。カナダで短期大学、映画制作専門学校卒業後、新聞記者、ラジオDJ、TVドラマの編集など多様な分野の知識を得て帰国。帰国後は雑誌編集を中心に活動し、広告案件においても企画・コンセプト立てから担う。ライフスタイルを得意とし育児媒体には20年携わっている。
妊娠中に体調不良になってお薬の服用を考えること、ありますよね。
とくに妊娠初期は、妊娠に気づかずに薬を飲んでしまった! というママもいるかもしれません。
妊娠がわかったら「飲んではいけない薬」については知っておきたいところです。
妊娠初期はもちろん、妊娠中の薬の服用方法、薬を飲んでしまったときの対処方法などについて、現役薬剤師の黒田亜弥子さんに監修いただきながら解説していきます。
薬科大学卒業後、製薬会社学術部に勤務。その後病院薬剤部を経験し、現在は調剤薬局で「街の保健室」とよばれるような薬局薬剤師を目指し管理薬剤師として従事する。2児のママ。
薬が赤ちゃんや母体に影響を与えてしまうかもしれないので、妊娠中は「飲んでもいい薬なのか」「飲んではいけない薬なのか」を慎重に判断する必要があることは、ご存知の方も多いでしょう。
妊娠初期に、妊娠に気づかずに
という方もいるかもしれませんが、多くの薬は胎児への影響を与えないものが多いとも言われているので、あわてすぎず、この記事を読みながら対処を考えてみてくださいね。
もちろん、妊娠中の薬の服用には注意をしなければならないことは念頭におくべきですし、これから服用を検討している方も「飲んではいけない薬をうっかり飲んでしまった」ということがないように、主治医または、かかりつけの薬剤師によく相談することが大切です。
〜必要な薬や必要な量を適切に〜
医療の専門家に相談することを前提に、妊娠中のママに知っておいてもらいたい薬の基礎知識をご紹介していきます。
妊娠中の女性から多い相談は、「頭痛や腹痛などの頓服」を飲んでしまったというケースです。
市販薬で偶発的に服用していた場合なら基本的には心配する必要はないのですが、やはり薬の服用は慎重になった方が賢明です。
妊娠何ヶ月目なのか、痛みはどれぐらいなのか、状況にもよるので、妊娠がわかったあとは、自己判断で服用するのはやめておきましょう。
※記事後半の時期別、症状別の解説もあわせてチェックしてくださいね。
糖尿病・高血圧などの持病をもってる方は、自己判断で服用を中止してしまうことだけはやめましょう。
服用を中止してしまうと、持病が悪化するだけでなく、持病がおなかの赤ちゃんにも悪影響を与えてしまうこともあるので、持病薬に関してはかかりつけの医者・産婦人科医に「妊娠したことを報告し、服用について相談」しましょう。
かかりつけの薬剤師がいる場合は、薬剤師に相談するのもいいですね。
薬の服用については、ママの体とおなかの赤ちゃんの状態によって対応が異なります。
妊娠周期にあわせた対処をしていきましょう。
妊娠 3 週目まで に薬を飲んでしまった場合は、胎児への影響は all or none(※1)の法則が当てはまります。
月経開始から着床するまでの妊娠がわかる前の段階なので、胎児に影響する可能性はないといわれていて、受精卵が着床せず妊娠そのものが成立しなくなる、もしくは妊娠した場合は、お薬の影響が残ることはないと考えられています。
一方で、注意が必要な薬もあります。
□風疹生ワクチン
□角化症治療薬(エトレチナート)
□抗ウイルス薬(リバビリン)
など
これらの服用が必要なときは、
▶︎数ヶ月間の避妊
▶︎服用を避けるか治療を優先するかを考慮
といった判断が必要になってきます。
計画的な妊娠を考えているご夫婦には注意が必要な薬剤ともいえます。
妊娠初期になると、胎児の催奇形性という意味で敏感な時期に入ってきます。
妊娠4〜7週 は、胎児の重要臓器(中枢神経・心臓・消化器・四肢など)が発生・分化する時期
妊娠8〜15週 は、重要臓器の形成は終了し少しずつリスクは少なくなりますが口蓋や外性器の分化は続いている時期
ですから、妊娠初期では自己判断でお薬を購入・服用するのは避け、主治医に相談の上服用することを推奨します。
ただし、服用できるお薬は多いのでそんなに心配する必要はありません。
また、サプリメントの葉酸を摂取すると胎児奇形を防止すると言われているので、薬はすべて飲んではいけないというわけではなく、むしろ飲んだ方がいいサプリやお薬もあるんですよ。
妊娠16週から分娩までの時期になると、ママが飲んだ薬がおなかの赤ちゃんにも作用します。
薬によっては、ただ作用するだけでなく、発育の抑制など悪影響を及ぼすこともあり、これを専門的には胎児毒性と言います。この場合、胎盤からおなかの赤ちゃんへの影響が考えられるので、自己判断でお薬の服用は控え、医師・薬剤師へ相談しましょう
安定期に入ってから気を付けたい薬には
解熱鎮痛剤(ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリン、インドメタシン、ケトプロフェンなど)
があげられます。
解熱鎮痛剤は身近な薬のひとつですが、胎児の成長を妨げてしまったり、子宮の収縮を抑制してしまったり、ときには羊水が減少することもあり、出産や赤ちゃんへの影響が大きいので服用はさけた方がいいでしょう。
そうはいっても必要な時もあるかもしれません。
そんな時は、主治医や薬剤師と相談しアセトアミノフェンを処方してもらいましょう。
また、痛み止めの湿布も同様で、使用は控えましょう。 シップの代わりに「蒸しタオル」や「カイロ」や「マッサージ」などで対処しましょう。
妊娠中は、妊娠糖尿病やマタニティブルーズの傾向がみられることもあると思いますが、いつもと違った体調の変化を感じたら、我慢せず医師・薬剤師に相談してください。
どうしても必要な時は気分安定剤や睡眠導入剤に助けてもらい妊娠生活を乗り越えられる場合もあります。
薬剤師として窓口では「症状が軽くて、薬飲まなくていいならなるべく服用はさけましょう」と妊婦さんにアドバイスをしていますが、
必要な時は、自己判断ではなく主治医の判断をいただくことを推奨しています。
ただし、服用できるお薬もあるので、ここに記載してある薬を参考に主治医や薬剤師に相談してみてくださいね。
解熱鎮痛剤の中では、アセトアミノフェンが妊娠初期から後期に渡って比較的使用されています。
しかし、妊娠末期動物実験で胎仔の動脈管が弱く収縮されていたという報告があったり、その一方で、人の疫学調査では催奇形の関連性はないといった報告があったりします。必要時だけの使用にとどめる、長期的に使用しないことが安心です。
アセトアミノフェンのほかに、アスピリンやイブプロフェンなどがありますが、出産予定日12週以内の妊婦の方には、アスピリンやイブプロフェンなどの大半の解熱鎮痛薬は使用不可です。
腹痛時は、鎮けい薬(ブチルスコポラミン臭化物など)が使用されます。
胃痛時では子宮収縮作用があるミソプロストールの薬はさけましょう。
便秘薬には塩類下剤(酸化マグネシウムなど)と刺激性下剤(ピコスルファートナトリウム水和物、ビサコジルなど)があります。
妊娠中には塩類下剤の方が使われるケースは多いですが、使い慣れている便秘薬で用量を守って服用することをおすすめします。
風邪薬には症状を軽くする効果しかありません。
それでも必要な場合は、感冒薬ではなく、鼻水、喉、咳など、どの症状に効かせたいのかで選びます。
うがい薬を使う時は、アズレンが主成分のものを選びましょう。ヨウ素を含むうがい薬は要注意を。
どうしてもつわりがひどい場合は、メトプロプラミドが処方されます。
下痢は原因がさまざまですですから、主治医の受診をおすすめします。
・乳酸菌製剤
・総合消化酵素剤
・天然ケイ酸アルミニウム
・タンニン酸アルブミン
などが妊娠中でも服用が可能です。
妊娠中の第一選択薬としては点鼻薬、点眼剤、軟膏などの局所剤を選びましょう。
症状が重い時は、フェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチンなどの内服薬も安全性がほぼ確立して使用されています。
飲み続けてはいけない薬をまとめてみました。
◆角化症治療薬(エトレチナート)
◆抗ウイルス薬(リバビリン)
◆抗生剤(アミノグリコシド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系)
◆抗凝固剤(ワルファリン)
◆抗てんかん薬
◆消化性潰瘍薬(ミソプロストール)
◆抗リウマチ薬(メソトレキセート)
◆片頭痛治療薬(エルゴタミン)
※これらの薬は、治療上必要性の高い場合もあるので、主治医・薬剤師と相談の上、容認されるケースもあります。
◆ビタミンA
骨の成長などに必要なビタミンですが、催奇形成の場合があるため取り過ぎに注意が必要です。
◆イソフラボンを含むサプリメント
女性ホルモンによく似た構造で、妊娠中に服用しすぎるとホルモンバランスが崩れおなかの赤ちゃんの生殖機能に影響を及ぼす可能性があるといわれています。
「妊娠と薬情報センター」という施設はご存知でしょうか?
「妊娠と薬情報センター」は、厚生労働省の事業として国立成育医療研究センター内に設置された施設で、妊娠中や妊娠を希望される女性で、妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安をもつ方の相談に対応しています。
また、女性の健康相談ができるかかりつけの薬剤師を探しておくと、ママと赤ちゃんの健康状態を把握している心強い存在となりますよ。
妊娠中のママの体のことだけでなく、産後ケアや赤ちゃんの服薬相談などもしていけるようになりますよ。
気軽に相談できるという点では、薬剤師に相談することで処方箋がなくとも病院の薬が買える「零売(れいばい)薬局」という新しいタイプの薬局もチェックしてみましょう。
など、些細なことから気軽に健康相談ができる「街の保健室」として、セルフメディケーション(セルフケア)ができる零売(れいばい)薬局を活用してもいいでしょう。
妊娠中は肉体的にも精神的にも何かと大変な思いをしがちです。
体調も人それぞれ、悩みも人それぞれ。
だからこそ、ひとりで悩まずいろいろな人と話してみてください。
薬の事で心配なら、薬の専門家に聞くのが一番!
最近は、病院で受診をしなくても気軽に薬の相談をできる窓口がありますから、気軽に賢くご活用ください。
きっと不安が解消され納得して薬を服用できると思います。
からだをいたわりながら毎日を自分らしく充実した妊娠生活をお過ごしくださいね。
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