グッズや映画も大人気!ママの心を動かす『くまのがっこう』生誕20周年記念インタビュー

くまのがっこうインタビュー
2022/11/30 2023/06/16 太田菜津美 太田菜津美

2002年に第1冊目が刊行され、多くの親子から愛され続ける絵本『くまのがっこう』。

おしゃれな絵柄とデザインで、一見すると大人向け? と思われがちですが、お話を読んでみると、くまのこたちが感情豊かに生き生きと描かれていて、子育て中のママ・パパの心にとても響く絵本なんです。

20周年を迎える『くまのがっこう』の魅力を、編集者の山縣彩さんにお聞きしました。

山縣 彩 絵本編集者 家庭文庫をひらく家で育ち、ポプラ社・ブロンズ新社を経てフリーランスに。絵本を中心とした書籍編集・ライティング、絵本作りワークショップなど。東京造形大学非常勤講師。手がけた絵本に「くまのがっこう」シリーズ、「ペンギンきょうだい」シリーズ、『あかちゃんがわらうから』(以上ブロンズ新社)、『ドーナツペンタくん』『あかちゃんといっしょ』(白泉社)、『きかせてあなたのきもち 子どもの権利ってしってる?』(ひだまり舎)などがある。

保育園の送り迎えをするうちに気がついた、“子どものいるあたたかい世界”を絵本に

ー『くまのがっこう』生誕20周年、おめでとうございます! 絵本編集者として、お話ご担当のあいはらさん、絵ご担当のあだちさんとともに『くまのがっこう』を作り続けてきた20周年。どんなお気持ちですか?

山縣さん:ありがとうございます。あぁ、20年経ったんだなあって……でも決してあっという間ではなくて、がんばって作り続けてきたこの年月は、ずっしり重いというか。作家さんも同じ気持ちなのではと思います。
その時々の絵本作りの風景が心にブックマークされているので、作家さんと編集チームでコツコツがんばったなぁと、振り返ってみると感慨深いです。

 

ーママのなかには、幼少期に絵本を読んでいた方や、グッズで存在を知った方もいます。『くまのがっこう』の絵本は、どんなきっかけで誕生したのでしょうか。

山縣さん:フリーの絵本編集者になる前、私は『くまのがっこう』シリーズの出版社であるブロンズ新社に在籍していました。
ブロンズ新社は多くの親子に愛される絵本をたくさん出している出版社ですが、20年前くらいはレシピや手芸などの実用書や、文芸の本などを中心に出版していて、当時は私も女性向けの実用書を作っていました。

そんななかで、児童書メインの出版にシフトチェンジしていく流れがあり、何か新しいことをやっていこう!という会社の動きがありました。そのときに出会ったのが、まだ作家になる前のあいはらさんでした。

当時、会社にお勤めされていたあいはらさんが、別のお仕事の打ち合わせでブロンズ新社へいらしたことがあって。そのとき、編集部との会話のなかで「ロングセラーになるような子どもの本を作りたいんだ」とおっしゃったんです。

自分で書いたストーリーや、同僚であるあだちさんが描いたキャラクター(のちの『くまのがっこう』)のラフがあるので見てほしい、と。
私にとってはじめての絵本だったので、“子どもの本として、ずっと、しっかり残っていくような絵本にしよう”という気持ちで、あいはらさん、あだちさん、編集長とともにスタートしました。

 

ーのちの『くまのがっこう』となるキャラクターの絵は、最初から今の姿に近かったのですか?

山縣さん:あだちさんはもともとデザイナーだったこともあって、当時のくまのこの絵は、今よりもデザイン的な雰囲気が強かったかな、と思います。ポスターやポストカードにしてもかっこいい、という感じというか。

1冊目『くまのがっこう』ができるまでは、とにかくトライアルアンドエラーの日々でした。長く読んでいただける作品になるよう、話し合いながら試行錯誤しましたね。

くまのがっこう

1冊目から最近までの絵も、じつはだいぶ変わってきているんですよ。
『くまのがっこう ジャッキーのしあわせ』からは手法も変えて、すべて水彩画のみで作画するようになったりと、あだちさんの絵も、どんどん進化しているんです。

くまのがっこう ジャッキーのしあわせ

1冊目のときは、あだちさんもまだ20代で、デザイナーなんだけれどはじめて絵本を描くという状況だったので、何者かになりたい!という想いを感じる情熱で、泣いたり笑ったりして、ぶつかりながらも一生懸命に描いていました。その姿が、今振り返れば、喜怒哀楽をいっぱいに表現するジャッキーの姿と重なります。

 

ー『くまのがっこう』のお話は、くまのこたちのくらしが描かれていて、日々いろんな体験をするジャッキーの感情に、子どもから大人まで共通したものを感じます。

山縣さん:『くまのがっこう』のお話は、“子育ての感動”が原動力になっています。
1冊目を作るとき、あいはらさんは子育て真っ只中。元仕事人間だったあいはらさんが共働きで子育てし、お迎えで行く保育園で、子どもたちがみんなで生活しながら、それぞれのペースで生きるピースフルな世界をはじめて見て、すごく感動したそうです。

朝起きて、ごはんを食べて、遊んで、「今日も1日楽しかったね」と言って眠る。

くまのがっこう

そんなおだやかな日々のなかにある感動って、きっと子育て中のママやパパはとくに感じやすいと思うんですが、その感動をそのまま絵本にしたい!という想いが、あいはらさんにはあったと思います。
当たり前の毎日のなかに発見がある子どもの世界の豊かさと、喜怒哀楽いっぱいに生きる姿への感動が、この絵本のパワーになっているんです。

子育ての感動って“子どもと出会った感動”だから、時代が変わっても色あせずに伝わっていくと思うんです。『くまのがっこう』を読んだママやパパがお話に共感できるのは、きっとあいはらさんが感じた感動を受け取っているんだと思います。

 

「うちの子にそっくり!」がママの共感をうむ、愛らしい12ひきのくまのこたち

ー『くまのがっこう』のもうひとつの大きな魅力は、個性豊かな12ひきのくまのこたち。うちの子みたいと共感している読者ママもたくさんいます。

山縣さん:守ったり守れたりしながら、一緒に大きくなっていく……こんなふうに子どもたちが成長していけたらいいな、という関係性が、12ひきにすることで描かれていると思います。

くまのがっこう ジャッキーのうんどうかい

全員を描き切るのは、あだちさんにとって毎回「ほんとうに大変!!」で、点呼したら1ぴき足りないっていうときも(笑)。

1ぴき1ぴき、生きているような個性を感じるのは、あだちさんの絵の力。セリフがなくても、このシーンでは、この子はこんな表情、こんな動きをするな……とあだちさんのなかで動き出すくまのこたちを形にして、全力で12ひきそれぞれにいのちを吹き込んでくださっています。また、子どもたちに色の楽しさを伝えたいと、毎回ありきたりじゃない美しい色づかいにこだわって、くまのがっこうの世界は描かれています。

個性といえば、くまのこの顔。「キャラクターのくま」というとニコニコしていそうですが、くまのこたちの顔は笑顔じゃないんです。

くまのがっこう ジャッキーのいもうと

お話のなかでも、ジャッキーは言うことを聞かないし、怒ったり泣いたりする“いたずらっこのきかんぼう”。への字口で、“自分の意思をもった子ども”が表現されているのかなと思います。

 

ー『くまのがっこう』の絵本を読んだママやパパ、子どもたちに、どんなことを感じてもらえたらうれしいですか?

山縣さん:シリーズ全体を通して伝えたい、当たり前の毎日の豊かさの感動や、喜怒哀楽いっぱいに生きる子どもたちの心の動きを、絵本のなかでも楽しんでほしいですね。

「こういうとき、あるある!」「こういう気持ちになるの、わかるなぁ」と、読者のみなさんの生活とリンクする場面がたくさんあると思うので、親子で共感したり、振り返ったりしながら一緒に読んでもらえるとうれしいです。

 

babycoママが選ぶ!この1冊が忘れられない『くまのがっこう』おすすめ物語

グッズや映画は知っているけれど、絵本ははじめて読むというママへ。『くまのがっこう』が大好きなbabycoママたちに、感動した1冊を聞きました。

ジャッキーと出会う“はじめて”がいっぱい『くまのがっこう ファーストブック』

■1歳の女の子のママ
自分が子どもの頃に読んでいたジャッキーの絵本を、生まれた娘にも読んであげたいと思っていました。短いお話で絵がかわいいので、にこにこしながら読んでいます。「赤だね」「まんまる」と指さししながら楽しんでいます。

 

親子でたっぷり楽しめる『くまのがっこう』

■12歳、9歳、5歳の兄弟のママ
わが家はやっぱり1冊目が大好き。ジャッキーのやることや気持ちが息子にそっくりで、笑っちゃいました。子どもたちは、細かい絵柄を指さしては何かを見つけて楽しんでいますね。親子で楽しみ方が違うって面白い!

 

がんばるジャッキーの姿を見て息子も!『くまのがっこう ジャッキーのうんどうかい』

■いまや思春期男子のママ
息子が5歳のとき。保育園最後の運動会で、なわとびをしながらトラック1周をまわる演目があり、なわとびができない自分をみんなに見られたくなかった息子が、この絵本を読んだ翌日から猛特訓! 彼に力をくれたお話です。

 

ジャッキーが教えてくれたしあわせの意味『くまのがっこう ジャッキーのしあわせ』

■5歳の女の子のママ
赤ちゃん牛がはじめてひとりで歩く姿を見て、ジャッキーが大粒の涙を流す場面。娘がはじめて歩いたときや、初入園の姿を見送ったときの気持ちと重なり、涙がこぼれました。とてもしあわせな涙なんだと教えてくれました。

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