babyco編集長。書籍編集者。
新潟の山奥で肉用牛を飼育しながら、野菜やくだものを育てる祖父母のお手伝いをきっかけに、丹精込めて作られた食材のおいしさ、食べることや命の大切さを学ぶ。特集記事、離乳食やママごはんなど幅広く担当。ママ・パパの気持ちに寄り添った記事の制作を心がけている。
「自己肯定感が高い子はこんな風に育つ!」「親の声がけが子どもの自己肯定感を左右する」子育てに関する本やネットの記事を読んでいると、“自己肯定感”というキーワードをよく見かけますよね。
話題にはなっているけれど、「自己肯定感って何?」「高いとどうなるの?」と、なぜ大事なのかイマイチよくわからないというママも多いのではないでしょうか。
そんなママのギモンへの答えと、親子で自己肯定感を感じられるようになる方法をお話しします。
ニューヨークライフバランス研究所代表。医学博士・ポジティブ心理学者。コロンビア大学大学院修士課程(臨床心理学)修了。医学博士・臨床心理士。『お母さんの自己肯定感を高める本』、『子どもの自己効力感を育む本』(ともにWAVE出版)など著書多数。
自己肯定感とは、言葉の通り“自分自身を肯定(認める)する気持ち”のこと。自分のいいところも悪いところも含めて「自分は自分だ」と思える気持ちのことを指します。
自己肯定感は“高い”または“低い”と言い表されることが多く、例えば「あなたはだめね」と自分を否定する言葉をかけられたとき、高い人は「この人はそう言ったけれど私は私」と思えるし、低い人は「この人の言う通り、私はだめなんだ」と受け取りやすい傾向にあります。
そのときの感情によっては、自己肯定感が高い人でも一時的に「私はだめなんだ…」と落ち込むことはありますが、低い人と違うのは「でも私は私!」と、ネガティブな感情を引きずらずに前を向けるところです。
この記事を読んでいるママのなかには、ありのままの自分を好きになれない方もいますよね。出産前は自己肯定感が高かったのに、子育てが始まったらなんだか自信をなくしちゃったというママもいるでしょう。どうしたら高められるのか、気になりますよね。
自己肯定感は、高めようとするものではなく感じるもの。私たちが気づいていないだけで、生まれたときからみんな価値があるんです。
自己肯定感が高い人と低い人には、考え方や言葉の受け取り方の違いだけでなく、日々お子さんやパパ、友人や職場の人たちなど周囲にかける言葉にも違いがあるようです。
次の2択のうち、AとBどちらが多い傾向にあるかをチェックしてみましょう。
【言葉をかけるならどっち?①】
子どもがコップに入ったお水を自分で運ぼうとしたが、床にこぼした。
A.なんでこぼすの?
B.がんばって運ぼうとしたんだね
【言葉をかけるならどっち?②】
パパとけんかをしてしまった。1日の最後にパパに声をかけるなら?
A.パパが○○をしたから悪いんだ
B.私も悪かった、仲直りしたいな
【言葉をかけるならどっち?③】
離乳食を赤ちゃんが食べてくれない。自分自身に言葉をかけるなら?
A.私がもっとおいしく作ればよかった
B.よく食べた日は、何を食べたかな?
【言葉をかけるならどっち?④】
以前壊したおもちゃを、子どもがまた壊してしまった。
A.この前も壊したでしょ!
B.壊れちゃったね、どうしようか?
AとB、どちらの言葉を使いがちだな〜と思いましたか?
AとBの言葉には、それぞれ特徴があります。
Aは“問題”や“過去”に注目して「何が問題だったんだろう?」「誰が悪かったんだろう?」と考えるタイプ。
Bは“解決”や“未来”、結果よりも“プロセス”に注目して「どうなりたくて、何ができるだろう?」「成功しても失敗してもチャレンジした気持ちがいいね!」と考えるタイプです。
Aが多いママは自己肯定感が低い傾向に、Bが多いママは自己肯定感が高い傾向にあるかもしれません。
有名な学校や会社に入って周りから「すごい!」と拍手されたり、いい成績や結果を出してほめられたり、努力しておしゃれをして「ママなのにきれいで素敵ね」と言ってもらえたり。
がんばったことを評価してもらえるのは気分がいいし、自信がつきますよね。
でも、“みんなから「できる」と言われるから自分は素晴らしい”という「I am very good.」の気持ちは、じつは“うそ”の自己肯定感。
「できる」と言われることに価値を見出すと、できないときの自分が許せなくなる。いいところも悪いところも含めて「I am OK.」とありのままの自分を受け入れる“本物”の自己肯定感とは異なるものなんですね。
じつは、子育て期間というのは、どんなに自己肯定感が高いママでも低くなりやすい時期なんです。
それは、寝てくれない、食べてくれない、言うことを聞かないという“自分ではコントロールできない存在”にはじめて出会うから。それに、育児=親がやる普通のことだと思われたり、仕事みたいにほめられたりすることもないから。
自分の価値を他人に見出してきたママほど、思い通りにいかない日々が続くと、楽しい瞬間はあれど心がすり減って、孤立感や焦りを感じて自分で自分の価値がわからなくなってしまいやすいです。
また、「こんなにがんばっているのになんで評価してくれないんだ」という気持ちになると、パパや両親、義父母など周囲に対して攻撃的な気持ちが生まれます。自分が幸せじゃないから人の幸せも願えなくて、評価されている人を見ると祝福よりもうらめしい気持ちになります。
本物の自己肯定感を感じられるようになることがなぜ大切なのか、それは自分の価値を自分で感じられるようになり、自分の幸せに責任が持てるようになるからなんです。
ママと同じように、お子さんも本物の自己肯定感を感じられるようになって、幸せな人生を送ってくれたらうれしいですよね。わが子には一番に幸せでいてほしい、きっと多くのママがそう願っていると思います。
お子さんの自己肯定感を大事にはぐくんでいきたいならば、まずはママが誰よりも自分自身を思いやり、どんな自分も受け入れてあげましょう。
そして、自分を犠牲にし過ぎず、家族のなかで一番ハッピーな存在でいてほしいのです。
いつもはお子さんにゆずっているショートケーキのいちごを、ママがおいしく食べる日があってももちろんいいのです。幸せそうに食べているママと「おいしいね」って笑顔で言い合えたら、お子さんはとっても幸せな気持ちになると思います♪
子どもにとって、ママは“いつでも帰ってこれる安全な居場所”。ママの気持ちが安定していて、どんな自分も認めてくれる言葉をたくさんかけてもらえると、子どもたちは安心感を感じて、自分を信じて成長していけます。
そして、ママが“自分で自分を”ちゃんと幸せにできると、子どもにも幸せになってほしいと思うから好きなことをやらせてあげたり、子どもとの関係もよくなったりします。
反対に、ママが人に幸せにしてもらおうと考えていると、子どもを通して自分を幸せにしようとしてしまう。例えば学校や習いごとでいい結果を出させて、「この子のママである自分って素晴らしい」というところに自分の価値を見出そうとしてしまうんですね。
とはいえ、自己肯定感というのは“気持ち”だから、いいところも悪いところも含めてOK!って今日から急に思えって言われても思えないですよね。
そこで、まずは自分自身を思いやれるようになるレッスンとして「自分にかけてもらいたい言葉」を書き出してみましょう♪
このワークは、ママが自分を思いやれるようになるワークです。わが子に優しくするときのように、育児のどんな場面でつらく、そのときどういう言葉をかけてもらえたら励まされるのかを考えて自分自身に語りかけてみましょう。
家族や両親、友人や職場の人などを思い浮かべながら、「こんな言葉をかけてもらえたらうれしいな」と感じる言葉をそれぞれ書き出してみましょう。
STEP1で書き出した言葉のうち、今、自分がかけてもらえたら一番うれしいと感じる言葉を選びます。朝や夜に鏡に向かって、その言葉を一週間かけてみましょう。
一週間続けたら、気持ちにどんな変化があったかを書き留めてみましょう。
自分にかけてあげたい言葉は何だろう?
一週間後にはどんな自分になれるかな?
そう思い、変化を求めて“行動”することが幸せへの第一歩! 自己肯定感は、自分を信じて行動を起こせるようになると自然とアップしていきます。
幸せって、誰かが持ってきてくれるものでもなく、どこかから落ちてくるものでもなく、自分でつくり出すもの。
自分が今日どういう行動をするかで、幸せってつくれるんですよね♪