babyco編集長。書籍編集者。
新潟の山奥で肉用牛を飼育しながら、野菜やくだものを育てる祖父母のお手伝いをきっかけに、丹精込めて作られた食材のおいしさ、食べることや命の大切さを学ぶ。特集記事、離乳食やママごはんなど幅広く担当。ママ・パパの気持ちに寄り添った記事の制作を心がけている。
おしゃぶりしたり、鼻水をおててで拭ったりと、子どもたちは鼻やくちにふれる機会がたくさんあります。ウイルス対策に大切な「手洗い」も、手を洗う理由や方法を理解するまでに時間がかかるでしょう。でも、赤ちゃんのころから、ママやパパが寄り添っておててを洗い続けてあげることで、自然と習慣が身についていきますよ。
・赤ちゃんの手洗いはどのようにしてあげたらいいの?
・赤ちゃんがくちに入れるおもちゃも消毒したほうがいい?
・小さいころから手洗い習慣を身につけるには?
そんなギモンについてお答えします。
A.おうちのなかであれば、大人と同じく石けんを使った手洗いでよいと思います。ママまたはパパが赤ちゃんのおててを持ち、手のひらや指のしわをやさしく洗ってあげましょう。赤ちゃんがおててをぎゅっとにぎってしまうなら、赤ちゃんの指と手のひらの間にママやパパの親指をもぐりこませ、少し開いてあげると洗いやすいですね。おでかけ先は手を洗える場所が限られているので、アルコール消毒液を使用してあげるとよいでしょう。
A.1日のなかで赤ちゃんが自分の手を使う場面としては、「食事をする前(おもちゃで遊ぶ、おしゃぶりなど)」「食事中(手づかみ食べなど)」「お外から帰ってきたとき」が考えられます。そのため、日頃の手洗い習慣を身につけるという意味でも、このタイミングでおうちでも手洗いを実践してみましょう。
A.赤ちゃんのおはだはとてもうるおっているので、カサつき等のトラブルがなければ保湿クリームなどのケアは必要ないと思います。おはだのトラブルがあり、手や指など赤ちゃんのおくちに入る部分にぬる場合は、おくちに入っても大丈夫なものか、取扱説明書などで確認してから使用しましょう。
A.ベビーカーに乗せたままであれば、たしかに手が汚れたり何かの病原体が付着したりすることはほとんどないと思います。ですが、お店のドアノブや電車のつり革など、不特定多数の人がさわる場所にママがふれ、その手で赤ちゃんのおててをにぎっていたりしませんか? また、ほかの人が赤ちゃんにふれたり、お店のテーブルに置いたおもちゃを赤ちゃんに握らせたりしていませんか? このように、赤ちゃんが自分から何かにふれに行かなくても、こうしたことでなんらかの汚れが赤ちゃんに付着する可能性があると思います。お出かけ先から帰ってきたときは手を洗う、を基本と考えましょう。
A.赤ちゃんが遊ぶおもちゃ、おしゃぶりや哺乳瓶など、不特定多数の人がふれるものは何が付着しているかわからないので、赤ちゃんがさわる前にきれいにしたほうがよいでしょう。ただ、家族内であればすごく神経質にならなくても大丈夫だと思います。
赤ちゃんが使うものを何もかもきれいにするというのは、感染しない安心感を得られる一方、弊害も考えられます。私たちの体は細菌などが入らないと免疫反応が起こらないので、抵抗力がつきません。ですので、何事もほどほどに注意して行動する、くらいの考えで毎日を過ごすほうがストレスが少ないかもしれませんね。
A.ママやパパが“外”で使っているものを、赤ちゃんにそのままさわらせるのは注意しましょう。とくにスマホは外出先で使うことが多いので、外から連れて帰ってきた手の汚れがスマホにもついていると考えてください。ほかにも、外で使ったハンカチ、バッグの持ち手、筆記用具、飲みかけのペットボトルなども、手の汚れがついたままの状態ですと注意が必要だと思います。
A.基本的なこととしては、仕事先や外出先から帰ってきたら、まず手を洗うこと。子どもの感染は、大人が持ち帰った病原体がうつって起こることも少なくありません。家族間の感染をふせぐためにも、心がけてほしいポイントです。
また、病原体はくちからも侵入してきますから、食事シーンでは「ごはんを作る前」と「ごはんを食べさせるなどお世話をする前」に必ず手を洗いましょう。その際、お子さんも一緒に手を洗えるととてもいいですね。こうして習慣づけることで、外出先でも「飲食の前は手をきれいに洗おう」という心がけが身につくと思います。
そして、お仕事や家事・育児で疲れて、めんどうだなぁ…と億劫になっちゃう日もあるかと思いますが、お外でついた汚れを落とすために、外出した日の夜は必ずお風呂に入りましょう。
A.こぼしたものを食べてもいい、食べちゃだめかは、アルコール消毒以前にご家庭の判断次第かと思います。ただ、アルコール消毒液は使い方次第ではまったく効果がない状態にもなりますので、「マスクをつけていれば安心」という心理と同じように、「消毒しておけば大丈夫」と考えている方は危険です。
たとえば、お店で食事をするときに、テーブルにアルコール消毒液を噴霧して、濡れ布巾で拭いているところを見かけたことはありませんか。本来、アルコール消毒液は乾燥することで消毒効果を発揮するので、まだ濡れているうちに拭き取っては意味がありません。また、濡れ布巾にアルコール消毒液を吹きかけて拭くのも、アルコール濃度が下がり、消毒効果として期待できない可能性があります。そのため、もし食前であれば、食事時間の少し前からテーブル全体にアルコール消毒液を噴霧しておき、乾燥するのを待つとよいでしょう。
A.感染の心配がなければ、問題ありません。ただ、どちらかに症状がある場合は注意が必要です。症状のない赤ちゃんが手をつけた食べかけをママやパパが食べることは問題ないのですが、症状のあるママやパパの食べかけを赤ちゃんに分けるのは避けましょう。親→子へごはんを分けるときは、ママやパパが手をつける前に赤ちゃんへ分けてあげると安心です。
A.基本的に、赤ちゃんの持っている菌はママも持っています。そのため、感染予防の点からすると問題ないと思われますが、なんらかの症状がある赤ちゃんの場合は、お世話するなかでよだれや鼻水にふれたら、手をきれいにするのがよいでしょう。
A.赤ちゃんや小さなお子さんは、自分ひとりでは手を洗うことが難しいですし、正しい手洗いの手順もわかりません。「横で一緒にやってみよう」と言っても、手洗いがなぜ大事なのかもまだ理解できないと思います。
まずは手と手をこするまねごとから始めるのでもいいと思うので、ママやパパが後ろに回りこんであげて、一緒に洗ってみましょう。お子さんの手をやさしく持ちながら、ママの片手とお子さんの片手を合わせてあげると、少しずつやり方を覚えられます。こするタイミングに合わせて「1 2 3 4 5♪」とリズムをつくったり、「おててがぴかぴかだね!」「あわあわばいば〜い」と声をかけたりすると、楽しく手洗いができてよいでしょう。
A.ママやパパがどんなに「外から帰ってきたら手を洗いなさい!」「手を洗ってからごはんにしなさい!」と言っても、その姿を見せられていないと、子どもたちは絶対にやってくれません。家庭で定着していないものは、どんなに強く言っても難しいものです。家庭での手洗い、外出先での手洗いが習慣づくように、ママやパパが積極的に手洗いするようすを見せてあげましょう!
監修
佐々木圭子先生
厚生中央病院 感染管理認定看護師、フィットテストインストラクター。急性期病院の感染管理者としてマスクなどの個人防護具や手指衛生など感染対策の指導・教育などを行う。感染対策を通じて医療機関と地域の安全を守り、病院の縁の下の力持ちを目指している。