babycoオンラインコンテンツディレクターであり、雑誌・書籍の編集者。カナダで短期大学、映画制作専門学校卒業後、新聞記者、ラジオDJ、TVドラマの編集など多様な分野の知識を得て帰国。帰国後は雑誌編集を中心に活動し、広告案件においても企画・コンセプト立てから担う。ライフスタイルを得意とし育児媒体には20年携わっている。
生後5〜6ヶ月ごろから離乳食がはじまったら、母乳はどうすればいいのでしょう?
離乳食は授乳後?それとも前? 授乳回数は減らすの? タイミングや授乳間隔について知っておきたいですよね。
今回は、離乳食と母乳の連携について助産師さんに教えていただきます。
「補完食」を理解すると、どうしたらいいのかが見えてきました!
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ助産師たちによって、母乳で育てたいママを「技」と「心」でサポート。 桶谷式乳房管理士(助産師)が全国に約330施設ある桶谷式母乳相談室などで母乳育児支援活動を行っている。
https://www.oketani.or.jp/
離乳食は、最近では「補完食」といういい方もします。
補完食とは、WHO(世界保健機関)が近年、あらたに提唱した「離乳食」に代わる言葉です。
と気になっているママも、補完食という考えを理解すると母乳をどうしていったらいいのかがわかります。
では、離乳食と補完食は、どう違うのでしょう。
離乳食と補完食の違いは、言葉をひもといていくとわかります。
離乳食は、英語では「Weaning Food」といいます。Weaningは、乳離れを意味し、文字通り、乳を離す食で、離乳食です。
対して補完食は、「Complementary Feeding」といい、補う・補完する食という意味です。つまり、赤ちゃんの成長とともに母乳だけでは足りなくなる栄養を補うという意味なんですね。
離乳食は乳離れをさせることが言葉の背景にありますが、補完食は母乳を補うもの、というわけです。
この補完食の考えが提唱されるようになってから、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」でも離乳食の定義に「補完するために」が加えられ、
離乳とは、成長に伴い、母乳又は育児用ミルク等の乳汁だけでは不足してくるエネルギーや栄養素を補完するために、乳汁から幼児食に移行する過程をいい、その時に与えられる食事を離乳食という。
引用元:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」2019年
と改訂されました。
いままで母乳やミルクだけだった赤ちゃんが「食」も摂ることになったら、その分授乳を減らしていくのかな?
と疑問に思うママは少なくないでしょう。
ママたちから寄せられたご質問にそってお答えしていきますね。
離乳食・補完食がはじまると、
とお考えのママもいるようですが、母乳は夜間もふくめて3時間前後を目安にあげつづければ出なくなることはありません。
赤ちゃんに吸ってもらうことが刺激となって母乳が分泌されます。
母乳を断乳するその日までは、離乳食・補完食がはじまっても母乳育児を続けられますよ。WHO(世界保健機関)では母乳は2歳までが望ましいと提唱しています。離乳食・補完食がはじまるのは生後5ヶ月ごろからですが、母乳には離乳食・補完食では得られない栄養がありますから、できる範囲で長く母乳育児を続けられるといいですね。
もちろん、ママによって環境は異なりますから、職場復帰などで3時間おきが難しい!というママはこちらもあわせて読んでみてください。
CLICK▶︎職場復帰で母乳は継続できる?
赤ちゃんの消化能力は大人とは違います。まだまだ未発達なんですね。ですから、とくに食物繊維の多い食品はなかなか消化できません。
母乳は、そんな赤ちゃんの消化を助けてお腹の中に善玉菌を増やしてくれます。
というママも少なくありません。
水分量が減っても便秘の原因にもなりますし、母乳は消化を助けてくれていると考えてその子なりのスケジュールであげるようにしましょう。
相談室にいらっしゃるママのなかには、1歳ぐらいになると母乳の中の栄養や免疫がなくなると思っているママもいて、
というご相談もあります。
確かに赤ちゃんが成長してくると、母乳中の鉄分だけでは赤ちゃんの必要量に達していないので離乳食で補う必要があるのですが、吸収率でいえば、母乳中の鉄分が50%くらいのシェアを誇っています。
また、乳腺〜腸管リンクシステムといった免疫的なメリットもありますし、
例えば、6か月を超える母乳育児は、急性リンパ性白血病やホジキンリンパ腫など特定の小児がんから赤ちゃんを守り9、1型および2型糖尿病10だけでなく、視力11や歯の問題12、肥満になるリスクを下げること13が示されています。
引用元:medela「6か月目以降の授乳: どのようなメリットがありますか?」
といった免疫的メリットもありますよ。
離乳食が進んでも基本、母乳の一日8回の授乳は変わりません。離乳食の前後に母乳をあげるようにします。
東京都福祉保健局の「東京都こども医療ガイド」では、離乳食の進め方とともに授乳のタイミングを月齢ごとに紹介していますが(以下の図参照)、母乳については「赤ちゃんが飲みたいだけ」と記されていますが、乳腺炎を予防することや母乳の分泌を考えると、授乳間隔は少なくとも3時間を目安にすることがおすすめです。
授乳間隔が空いてしまうと分泌量が減ったり、溜まって乳腺炎の原因になったりすることがあります。授乳間隔を空け過ぎないことは大切ですよ。
東京都福祉保健局
「東京都こども医療ガイド」より
授乳は、食事としての栄養だけではなく心の栄養にもなりますから、個人差や事情もありますが、続けられるようでしたら続けましょう。
断乳のタイミングについてはこちらの記事でご紹介しています!
CLICK▶︎断乳のタイミングやスケジュール
母乳は、離乳食・補完食をあげる前と後、どちらにあげればいいのでしょう。
これは、ママのコンディションによっても異なります。
基本的には、「食事▶︎母乳」の順で考えましょう。
食べ物の消化を助ける働きもありますし、慣れていない食事の後に母乳を飲ませてあげることで、赤ちゃんが安心するはずです。
ただ、母乳分泌過多のママは、先に授乳をしてから離乳食にしないと、乳房トラブルが多発することがあります。食事でおなかいっぱいになって母乳を飲まなくならないように、先に母乳をあげてから食事にしましょう。
なかには、母乳を先に飲んでからでないと離乳食をほしがらないという赤ちゃんもいます。そんなときは「食事▶︎母乳」の順番にとらわれる必要もありません。赤ちゃんが気持ちよく食事ができればそれで十分です。
離乳食の時期に大切なのは栄養面だけではありませんよ。「食べるって楽しい」を知ることも食育のうちです。
はじめにご紹介したように、最近では離乳食ではなく補完食という考えが提唱されていますから、離乳食をあまり食べないからといって、母乳で元気に過ごしているならあまり心配しすぎる必要はありません。
母乳が好きで離乳食をあまり食べない赤ちゃんの場合は、離乳食がなかなか進まずにママも不安になってしまうこともあるかもしれませんね。でも、焦らずようすを見ているとしっかり歩けるようになる頃に自然と食べてくれるようになると思います。
離乳食を始めるころには、お子さんの胃は筒状から胃袋ができています。ゲップは出さなくても、吐き戻しはほとんどなくなります。
ママの母乳育児に関する悩みには
■おっぱいが足りているか不安
■おっぱいが痛い、これって乳腺炎?
■赤ちゃんがうまくおっぱいを飲めていないみたい
■断乳をどうやって進めたらいいの?
など、たくさんありますよね。
こうした母乳育児全般の悩みを解決してくれる桶谷式の相談室。一人ひとりに合わせた母乳育児のアドバイスをしてくれます。
今回ご紹介した「授乳の間隔や量を具体的に知りたい」といったお悩みも、赤ちゃんとママによって状況は少しずつ異なります。助産師さんに直接みてもらえる個別相談なら、自分たち親子にあった解決がみつけやすいですね。そうした一人ひとりに合わせた母乳育児に答えてくれるエキスパートです。
おっぱいが出にくいという悩みには、オリジナルの乳房マッサージで柔らかくしておっぱいを出やすくしてくれたりもします。
直接悩みを相談したい!というママは、全国約330箇所にある「桶谷式母乳育児相談室」に、気軽に相談することもできますよ。
ひとりで抱え込まずに、以下「OPPA!」 から気軽にご相談ください。
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ後進達によって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。