0〜2歳に大切な非認知能力って?③10年、20年後をしあわせに生きるために

非認知能力
2020/05/26 2023/07/27 太田菜津美 太田菜津美

いつも笑顔で、どんなともだちとも仲よくできる。
いろんな教科でまんべんなくいい点が取れる。

それって、その子の性格の明るさや頭のよさといった才能のようなものなのかなと思っていましたが、じつは「非認知能力」という力が隠れているようです。一見難しそうに見えますが、どんな子でもみがけば光る力なんですよ♪

監修
森口 佑介先生
森口 佑介先生

京都大学大学院 教育学研究科准教授。発達心理学を専門とし、子どものセルフコントロールや想像力に関する研究を行っている。NHK Eテレ「すくすく子育て」にも出演中!

0〜2歳に大切な非認知能力って?②では、非認知能力を伸ばす土台づくりで一番大切なのは親子の信頼関係であることをお伝えしましたね。反対に、一番悪い影響を与えるのは親子にとってストレスの多い環境であることもお話ししました。とくに、子どもにとっては、無視されることがもっともストレスの度合いが高いと考えられています。

親だけではどうにもできない場合は、幼稚園や保育園の先生の存在も非認知能力の支えになったり、親のストレス軽減という点では幼児教室の存在なども頼りにしたりするとよいというお話をしましたが、状況によってはそうもいかないご家庭もあると思います。
もうちょっと身近なところで伸ばす方法がないのか、森口先生に伺ってみましょう。

非認知能力の芽をはぐくむ生活習慣のつくり方

生活習慣のつくり方

お世話やスキンシップによる“親子の信頼関係”が、非認知能力にとって一番大事であるということからしても、この力を伸ばすきっかけづくりは、さほど難しいことではありません。私たちの生活のなかにも、伸ばすためのヒントがたくさん隠されているんです。0〜2歳にとくに取り入れるとよい、非認知能力の土台を支えるための生活習慣のつくり方をご紹介します。

● 赤ちゃんのサインに応えて、安心できる親子関係をきずく
泣いたらちゃんと反応してあげる、おなかを空かせてそうだったらおっぱいやミルクをあげるなど、“呼んだら応えてくれる”という親子の信頼関係をきずくことが何よりも大切です。不安と安心をくり返し経験することで、感情をコントロールする感覚がわかってくるのです。ママひとりの力ではどんなにがんばっても限界があるので、パパも一緒にがんばりましょう。

【習慣づくりのヒント】
赤ちゃんのサインに反応するというのは、当たり前のようで、結構難しいことですね。はじめは泣いている理由がわからないことも多いですから、3割でも反応できれば大丈夫ですよ。


● 毎日同じ時間に寝て、夜たっぷり寝かせてあげる
「寝る」という習慣は、日中に活動した脳を休ませたり、まなんだことを記憶に定着させたりするためにも大切です。非認知能力の高まりと夜の睡眠時間の質は深く関係しており、夜しっかり眠れていると、起きている時間にしっかりと活動ができるので、非認知能力がはぐくまれやすくなるんです。また、土日も平日も“毎日同じ時間に寝る”というのも大事なんですが、これはとても難しいことなので、とりあえず夜にしっかり寝ることを意識しましょう。

【習慣づくりのヒント】
ママやパパのご帰宅が遅くて難しいという場合は、「何時になったら電気を暗くする」など眠りを誘う雰囲気づくりから始めてもいいでしょう。

規則正しい生活

● 規則正しい生活を送って、見通しを立ててあげる
大人もそうですが、“次に何がくるかがわからない”という状況は、赤ちゃんにとってもかなり不安が多く、強いストレスを与えます。規則正しい生活は心と脳の発達にもよい効果がありますが、生活の見通しを立てて不安やストレスを減らすという点でも大切なんですね。

【習慣づくりのヒント】
食事→お風呂→歯みがき→絵本を読む→寝かしつけ…と、寝るまでにやることを逆算して計画を立てて、この時間は何をすべきかを夫婦で共有してみましょう。


● テレビやスマホは時間を決めてだらだら観ない
テレビのように大きな音を出すものがつきっぱなしの環境では、せっかく赤ちゃんがおもちゃに夢中になって遊んでいても、テレビの音に気を取られてしまうので“集中する習慣”ができにくいです。寝る時間になってもテレビがついていては、規則正しい生活も送れません。お子さんが観たい番組も、ママやパパが観たい番組も、1〜2時間と時間を決めてだらだら視聴をやめましょう。
また、テレビと近い存在としてスマホがありますが、こちらの長時間の使用は親子のふれあいが減ることにもつながります。赤ちゃんは親との会話や遊びのなかで、言葉や感情、人との関わりなど多くのことをまなんでいくので、スマホよりも親子のコミュニケーションの時間を大切にしてあげてください。ママやパパがスマホをずっといじっていたり、お子さんに長時間与え続けたりせず、時間を決めて使いましょう。

【習慣づくりのヒント】
赤ちゃんが遊んでいるなと思ったら、テレビを消したり、スマホのゲームや動画視聴をいったん止めたりと集中できる環境づくりを。

テレビは消す

● 子どもが自分でやろうとしていることを見守る
子どもが自分で何かをやろうとしているときは、うまくいかないこともたくさんあります。つい口出ししたくなっちゃうときもあるかもしれません。ですが、何でもやってあげないとという気持ちは、子どもが自分でやろうとしていることを奪ってしまっている可能性があります。お子さんの自主性をはぐくむ絶好のチャンスですから、まずは見守って応援してあげてください。見守る余裕がないときもありますので、心がまえだけでも十分です。

【習慣づくりのヒント】
お子さんが苦戦しているようでしたら、やり方のヒント(例えば、がんばってくつ下をはこうとしているけれど難しそうならば、片方だけはかせて、もう片方はやらせてみる)をあげるとgood♪


● ママやパパがモラルや思いやりのある行動をとる
思いやりをはぐくむ上で、一番の見本は親です。道をゆずる、落としものを拾って届けるなど、人に親切にするようすを見せてあげましょう。赤ちゃんのころは、ママやパパが他人に親切にしても、それが「親切」だということはなかなかわかりませんが、1歳以降になると人の行動を観察してまなびます。ママとパパが親切だと子どもも同じように育ちます。

【習慣づくりのヒント】
ママがパパへ、パパがママへやさしくするようすを見せるのもいい効果に。夫婦の仲がいいということも、赤ちゃんに安心感を与えます。

仲のよい夫婦

非認知能力ではNG? 子どもの自主性の伸びを妨げる「ほめすぎ」と「ごほうび」

これまで、非認知能力の芽をはぐくむための生活習慣のつくり方をご紹介しました。小学生、中学生になっても子どもたちのこの力は伸び続けますから、「2歳を過ぎたらもう遅い?」なんて思わず、上の子がいるご家庭でもぜひ取り入れてみてくださいね。
もうひとつ、私たちの生活と身近なところで、覚えておいてほしいことがあります。

みなさんは、毎日のお仕事や家事のなかで、周囲の人にほめられるとちょっとうれしい気持ちになりませんか? 会社で「いい仕事ぶりだね!」と言われるともっといろんなことにチャレンジしてみようと思えたり、ご家庭で「この料理、すごくおいしいね」と言われると次は別の料理も作ってみようとやってみたくなったりと、“ほめる”という行動には、人のやる気を引き出すパワーがありますね。

ママやパパに「よくできたね」と言われてうれしいと感じるのは、子どもも同じです。やってみたい!という気持ちが生まれますし、自分のことをちゃんと見てくれているという安心感も得られます。

しかし、非認知能力を伸ばす上で気をつけてほしいのは、「何でもかんでもほめるのはやめよう」ということです。お子さんが目標を達成したとき、昨日できなかったことができたときなどにほめてあげることは、とてもいいことです。ですが、お子さんが1しかやっていないのに10ほめたり、無理にほめたりすると、何をほめられているかがわからなくなって子どもも混乱してしまいます。「ママとパパは本当に自分のことを見てくれているのかな?」と不安に感じる原因にもなります。もし、無理やり「この子をほめなくちゃ」と思っている方がいらっしゃったら、そう思わなくても大丈夫ですから、本当に「がんばったね」と思えるときにたくさんほめてあげてください。

また、もうひとつ気をつけたいのは「ごほうび(もの)を与えすぎることはやめよう」ということです。非認知能力においては自主性がとても大事なので、ごほうびを与えすぎると“ごほうびを得ること”が目的になってしまいます。ちょっとできたからごほうびをあげるというのはあまりおすすめできないので、その分、お誕生日やクリスマスにお子さんが本当にほしいと思うプレゼントをあげましょう。


イラスト:タオカミカ

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