家族のための防災 赤ちゃんとママが72時間を生き延びるための準備と知識

家族のための防災
2019/08/31 2023/04/01 babyco編集部 babyco編集部

赤ちゃんとママが、命をつなげるための実践的な訓練・準備・知識を具体的に身につける、それがbaycoの「おやこ防災」

大地震や津波、洪水土砂崩れなどの災害babycoでは、会員のみなさまといっしょに「防災」について、学ぶ「おやこ防災72」シリーズをスタートします。

「おやこ防災72」は、さまざまな災害に直面したときに、

どうしたら赤ちゃんや小さなこどもと母親が生き延びることができるか?

を考えて実行できることを目指しています。

72時間を生き延びて、その命を次につなげていくための実践的な訓練や準備、知識を具体的に身に着けていくことです。

防災スーパーバイザー佐伯潤先生が「ほんとうの防災を教えます !」

佐伯潤先生

今回、babycoと一緒に、家族のための防災準備マニュアルを考えてくださるのは、佐伯潤(サエキ ジュン)先生です。

佐伯先生は、国士舘大学 防災・救急救助総合研究所 嘱託研究員。『訓練に勝る防災はナシ』をコンセプトに、数々の企業の防災計画の立案と、計画実施のための訓練設計と教官を務めていらっしゃいます。また、大手スポーツ製品メーカーや消防製品メーカーなどのアドバイザーとして、防災製品の開発にも参加されています。

「防災キットや避難袋を買っておけば安心、揃えておけば命がつながる、ということではありません。それをどんなシーンで使うのか、どうやって使うのかが大事なんです。災害が起きたときにほんとうに役立つ防災準備をお教えします!」

佐伯先生は、企業や塾などで防災の体験講習会を行っていらっしゃるのですが、これがすごく面白いんです!

編集スタッフも何回か参加させていただき、お話を伺ったり有意義な体験をしたら、スタッフ全員が、

「えっ!そうなの!?」

「今までの防災の認識がガラリと変わりました」

と、まさに、目からウロコが何枚もはがれ落ちました!

佐伯さんは、365日24時間、ずっと防災のために研究をつづけている防災スーパーバイザー。今回はbabycoと一緒に、赤ちゃんとママのために役立つお話をしてくださいます。

防災72時間ってなあに?

まずは、「72」という数字について。これは、babycoVol.48でもお伝えしましたよね。

主なところでいうと、

72時間は生存率が急激に下がる時間

土砂くずれやガレキなどの下敷きになったり、ケガをして動けなくなってしまったときに、生存率が急激に低下する境の時間を意味しています。

水がないと3日間、食べ物がないと3週間、これは命を保っていられる時間の目安としていわれているものです。

72時間で街の混乱が落ち着くころ

災害が起きてから72時間ほど経つと、災害の大きさや被災の様子も少しずつわかってきて、街の混乱も落ち着いてきます。

災害直後はママ自身もパニックしているので、冷静にまわりが見えていないでしょう。家の外がどうなっているのか、避難所の状況はどういうものなのか。家族の安否もまだわかっていない状況です。

これが、72時間を過ぎたあたりから、臨時の電気が普及しはじめてきて、少しずつまわりの状況を見て確認できるようになります。

72時間経てば避難所が機能し始めるころ

飲み水や食べ物、電気や情報なども届き、避難所が機能し始めるころです。ただ、とても混乱しているので、自宅が無事ならできるだけ家で過ごしていただいたほうが安全でしょう。

直下型の大地震の時、都市部では72時間は帰宅できません!

そして、会社で仕事をしているパパやママが帰宅を許され、家族と連絡が取れるようになることも、72時間というキーワードが当てはまります。

「家族とは災害が起きたら、避難所で待ち合わせをしているんだけど、すぐに会えないの?」というご家庭、多いのではないでしょうか。

でも、ご存知でしたか!

東京や大阪などの都市部では、パパやママが会社にいる時間帯に直下型の地震が起きた時に、72時間は帰宅できない条例やガイドラインがあることを。

災害後の道路は大混乱! 歩くのもやっという状況で二次災害の心配も!

会社や出張先で仕事をしているパパやママが、災害が起きたらやっぱり、すぐに家族のことが心配になりますよね。安否が気になって、連絡をするものの、なかなか連絡が取れなかったら? すぐに帰宅をしようとするでしょう。

ところが、それをしてはいけないというのです。

その理由を佐伯さんに聞くと

「直下型の地震が起きた後、街はどういう状態になっていると思いますか?

交通はスムーズでしょうか。大きな余震もありますよね。

じつは、災害時にけがや事故に遭う人の多くが、急いで帰宅をする人たちなんです」

大地震などが起きた時の歩道の様子を、佐伯さんの防災講習会で体験をしました。

白いビニールテープで床に囲んだ1平方メートルの中に、大人とこども7〜8人で入ったんです。そこで佐伯さんが言いました。

「はい、これが災害直後の歩道の混雑の状態です」

朝のものすごいラッシュ時の電車やバス、とまではいきませんが、自分のペースで歩くことはできません。ちょこちょこ歩きで前に進む感じです。

「この状態で、道がゆがんだり、道に穴が空いていたり、中には冠水しているところだってあると思います。そんな道をこの混雑さで歩いたら、けがをしたり事故に巻き込まれるなどの二次災害が起きても仕方ないと思いませんか?」

はい、思います! それに、家や家の近くの避難所に着くのに何時間かかるんだろうと。

「覚えていますか? 兵庫県、明石市の花火大会での、あの歩道橋事故を。2001年明石市の花火大会のときに、歩道橋の上で群衆雪崩が起きて大惨事になりました。この時、1平方メートル内には12〜15人が居るという異常な混雑だったと言います」

帰宅者続出で道路が大混乱すると消防車や救急車が現場に着けなくなる恐れも

さらに、ほかにも72時間は待機していなければならないことがあるんです。

それは、緊急対応を遅らせてしまわないこと。

「急いで家に帰ろうと、車やオートバイ、自転車を使う人もいるでしょう。歩道に人が溢れたら、道路を歩く人だっています。だから道路も大混雑が予想されるんです。でもね、災害時に火事が起きたら? 病気や大けがをしたら? 

そういう人たちを救おうと消防車や救急車が出動しますが、道路が使えなくなってしまうと助けに行かれません」

健康な人たちが、一斉に帰宅をしたら、本当に助けが必要な人たちを救えないと、当たり前のことを教えてくれました。・・・ホントに、ちょっと考えればわかりますよね。

これらのことから、72時間は家族に会えなくても、家にいるママと赤ちゃんで生き延びるすべを身につける必要があると、babycoは考えます。

元気に家族が再会するためにも、この72時間のためにどんな準備が必要なのか、それを使ってどうするのか、災害が起きた時にどう心構えをするのかを

これから、お届けしたいと思います。

佐伯 潤先生

イラスト:小泉直子

 

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