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赤ちゃんが生まれてくる前に知っておきたい、おっぱいと母乳のしくみ
妊娠中のママは赤ちゃんに会いたいという思いと、出産の事で頭がいっぱいですよね。赤ちゃんが生まれると、すぐに始まる授乳のことをちょっと知っていると安心。ホントに母乳はでてくるのかな?どんなふうにはじまるの?謎だらけ「おっぱいのはじまり方」を教えます!
なんと、赤ちゃんがおっぱいをくちにふくみ、乳首を吸う刺激で母乳はつくられます。赤ちゃんが乳頭を吸うことによって、ママの脳から二つのホルモンが分泌されます。「プロラクチン」と「オキシトシン」です。
プロラクチンの働きで母乳がつくられ、オキシトシンの働きで乳腺から母乳を乳頭に押し出します。母乳のでる仕組みは、二つのホルモンの働きの繰り返しなので、赤ちゃんにできるだけ乳頭に吸い付いて刺激してもらうことが、母乳をだすのに一番大切です。
授乳回数が多いほど、母乳の量は増えて行きます。たくさん母乳を赤ちゃんに飲んでもらうためには、赤ちゃんが欲しがるたびに飲ませるようにし、乳頭を刺激しましょう。赤ちゃんが乳首をくわえる回数が多いほど、どんどん母乳の分泌量があがるような体に変化していきます。
乳房に母乳がたまらないと母乳の量が出ないと思いがちですが、乳房は母乳をつくる場所です。母乳がたまっていると新しい母乳がつくられにくくなります。できるだけ乳房を空にするように、頻回に母乳をあげることがコツです。
出産後、赤ちゃんもお母さんも体調がよければできるだけ早い段階から赤ちゃんに乳頭をふくんでおっぱいを飲む練習をしてもらいましょう。ママによっては、すぐに授乳ができない場合もありますが、その時は授乳ができるようになるまで搾乳をして、乳頭を刺激しておきましょう。
生まれたばかりの赤ちゃんは、おなかの外の環境に慣れていないためよく泣きます。お母さんが抱っこすると「待ってました」とばかりにおっぱいを探します。そして一生懸命に吸いつき、安心します。特に1〜2ヵ月はそういう時期です。お母さんは授乳と抱っこの繰り返しの生活になります。ご家族に協力をお願いしましょう。
赤ちゃんは必ず成長します。だいたい生後2〜3ヵ月ごろになるとお母さんの催乳感覚と赤ちゃんの授乳のリズムがうまく一致して、ある程度定期的な授乳になってきます。特に赤ちゃんの体重が4.8㎏を超えるとさらに安定しやすくなります。泣くたびにおっぱいをあげるのは大変ですが、安定するまでご家族と一緒に頑張りましょう。
出産当日〜2日後ごろまでは、母乳の量はごくわずかです。母乳の色も透明か黄色い初乳がじわぁ〜っとでてくる程度です。でも安心してください。はじめのうちは赤ちゃんのおなかも少量でも大丈夫な大きさです。ママと赤ちゃんで何度も授乳練習を重ね、少しずつ成長に合わせて母乳量を増やして行けるようにしましょう。
離乳食を開始しても、母乳はいままでどおりあげましょう。授乳回数が減ったり、夜間授乳をやめたりしてしまうと、乳腺炎や乳房のトラブルの原因になることもあります。
赤ちゃんの最初の半年は母乳が主食です。離乳食を食べたあとは、必ず母乳を飲ませましょう。母乳には、赤ちゃんの消化を助ける消化酵素が含まれているので、母乳を飲ませることによって消化吸収がスムーズになります。
手がかりはオムツのぬれぐあいと赤ちゃんの飲み方です。
まず、赤ちゃんが飲む量ですが、これは1回1回違うものです。ある研究調査によれば、体重換算で1回に200g以上飲むこともあれば、5gしか飲まないこともあり、特に生まれたばかりのころは、赤ちゃんもお母さんも授乳に慣れていませんから、このムラは目立つものです。ただし、1回1回に飲む量が違っても、1日に飲む総量はほぼ一定だということを覚えておいてください。
目安としてわかりやすいのは、おしっこの量です。「おしっこの量=飲んだ母乳の量」ではありませんが、かなり近いものがあります。1日に布オムツなら6枚、紙オムツなら5枚以上オムツがしっかり濡れていて、色が薄く臭いも強くなければ、赤ちゃんは母乳を十分に飲んでいると言えます。
赤ちゃんの様子も大事なチェックポイントです。機嫌や皮膚の色はどうか、手足をよく動かすか、泣き声は元気か、母乳を1日に8回以上は飲んでいるか、母乳を飲むときにときどきのどを鳴らしているかなどをチェックしてみましょう。赤ちゃんが元気でおっぱいをゴクゴク飲んでいる音が聞こえていれば、十分な量の母乳が飲めていることが多いのです。心配であればお近くの母乳育児相談室へ行くのもいいですね。
最初からうまくできなくても大丈夫。はじめはどんなママもうまくいきません。繰り返し授乳をすることでママの抱っこのスタイルと赤ちゃんの飲み方がうまく合うようになって、必ず上手になっていくものです。あせらずゆっくりと慣れていきましょう。
大きい乳頭の場合、産後すぐは赤ちゃんの口が小さいため、くわえていてもうまく飲めないことが多いですが、赤ちゃんが飲めない乳頭の形はないと言われています。直接母乳を飲ませる前に、乳頭を手による搾乳でやわらかくしましょう。
上唇に乳頭を触れて大きなお口を開ける練習をしながら、授乳の練習を根気強く行いましょう。飲めるようになるまでは、搾乳をしっかり行いお乳の分泌を減らさないようにしましょう。
また、直接母乳を飲ませる前に、乳頭を手搾乳でやわらかくして授乳を練習してください。出産直後の乳輪や乳頭がやわらかいうちから、赤ちゃんに乳頭を含む練習をすることや、ラクな哺乳びんの乳首でミルクを飲むことに慣れないうちに授乳の練習をすることも大事です。
乳頭が短い場合でも、赤ちゃんが大きな口を開けて深く吸啜することができれば、母乳をしっかり飲むことができるので、お産直後から赤ちゃんに乳頭をくわえてもらうことは、大事です。
乳房をしっかり持ち、赤ちゃんの口元に持っていったら、乳頭を口にちょんちょんと触れてさせてみましょう。赤ちゃんが口を開けたすきにぐっと赤ちゃんを抱き寄せ、乳輪まで深くふくませるようにします。乳頭が短くても乳輪がやわらかい乳房の場合は、乳輪部を深くふくませるようにすると、うまく飲むことができます。
安易に乳頭保護器や哺乳びんで飲ませると、ラクな飲み方や小さな口で飲む癖がついて、母乳を直接飲まなくなり、母乳の出も悪くなることがあります。できるだけ直接飲む練習を根気強く続けましょう。どうしても飲めない場合は、スプーンやコップでミルクを補充すると、空腹を満たしながら母乳を飲む練習にもなります。
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ助産師たちによって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。
「おっぱいが出ない」「おっぱいが痛い」「赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれない」「ちゃんとおっぱいが出ているか不安」という悩みを抱えたママたちに、乳房をやわらかくしておっぱいをスムーズに出す、独自のマッサージを行う全国約400の桶谷式母乳育児相談室。授乳や搾乳の指導も行っているので、以下「OPPA!」 から気軽に相談できますよ。
イラスト:いいあい