母乳が虫歯の原因になってしまうのかな?
赤ちゃんに歯が生えてくると心配になりますよね。
夜間に授乳をした後、そのまま寝てしまったら虫歯になってしまうのでは?
でも、母乳が虫歯の原因になることってないんですよ!
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ助産師たちによって、母乳で育てたいママを「技」と「心」でサポート。 桶谷式乳房管理士(助産師)が全国に約330施設ある桶谷式母乳相談室などで母乳育児支援活動を行っている。
https://www.oketani.or.jp/
歯が生え始めると、虫歯ケアが気になりますよね。
とはいっても、母乳をあげた後、その度に赤ちゃんの口内ケアをしてあげているママは少ないかもしれませんね。
母乳は虫歯に影響するのでしょうか?
特に夜間に母乳をあげていると虫歯になる! という話を聞いたことのあるママもいるのではないでしょうか?
毎晩何回も授乳をしていると、本当に大丈夫なのかな? と心配になってしまうママもいることでしょう。
昔は「夜間授乳を長くしていると虫歯になります」と言われていましたが、全国約400の桶谷式母乳育児相談室「桶谷式母乳育児相談室」に通っている赤ちゃんを調べたところ、1歳になってもほとんどのお子さん(152人を対象に調査した結果)に虫歯が見られなかったそうです。
「虫歯があったのは授乳中の赤ちゃんではなく、断乳後の赤ちゃんだけ」
だったんです!
その理由を紐解いてみましょう。
そもそも、どうして虫歯になるのでしょうか?
意外と細かくは知られていない虫歯について、ちょっと解説してみます。
虫歯の原因は甘い食べ物と考えがちですが、それだけで虫歯になることはないのです。
口腔内に菌がないと、虫歯にはならないのです!
その菌とはミュータンス菌という細菌で、もともと赤ちゃんの口の中には存在していない細菌です。
◆噛み砕いた食べものを与えたり
◆自分が使ったスプーンやお箸で食べさせたり
◆ママやパパがキスをしたり
そんなほんのちょっとしたことで、赤ちゃんの口の中にミュータンス菌がうつってしまうんですよ。
そのミュータンス菌が口腔内にある糖分を栄養にして酸を作り出して、その酸で歯が溶かされてしまうのが虫歯なのです。
ママやパパの口の中にミュータンス菌が少なければ、それだけ赤ちゃんにミュータンス菌が移る可能性も減りますので、ママやパパに虫歯がある場合はできるだけ早いうちに治療をしておくといいですね。
ミュータンス菌の栄養となる糖分は、砂糖に含まれている「ショ糖」です。
ミュータンス菌がショ糖を食べると酸を出し、さらにネバネバしたデキストランという物質も出すことで、歯の表面に酸をくっつけてはがれにくくしてしまい、虫歯になってしまうのです。
母乳に含まれる「乳糖」もミュータンス菌の栄養となって酸はできるのですが、デキストランを出さないので、歯に酸が長時間くっつくことがなく、虫歯にはなりにくいのです。
虫歯があったのは授乳中の赤ちゃんではなく、断乳後の赤ちゃんだけだったということを考えてみると、その理由はいろいろと考えられますが、
ひとつには「母乳を飲むときの赤ちゃんの口の動作」が関係しているようです。
母乳を吸う動作は、舌や頬の筋肉を大きく使って、「ゴックンゴックン」と力強く飲まなければなりません。
このゴックンと飲む動作が、舌の動きをよくしてくれているのですね。 それを繰り返すことで、赤ちゃんの口腔内は大きくなっていきます。
また、口を大きく開けて乳頭をとらえ、舌の力で乳頭を上顎に押し当て、母乳をしごくように飲んでいく。この動作で上顎や歯茎がアーチ型になり、口腔内のいい衛生環境つくりに一役かっていると思われます。
つまり、歯茎が広がって口の中の天井が下がり、唾液の分泌も盛んになるのですが、この唾液が虫歯になりにくい口腔内環境を作る働きをして虫歯の予防にもつながるのです。
ですから、夜間の授乳が虫歯の原因になるというわけではなく母乳をやめてからの食事やおやつなどに気をつけることがとても大切なんですね。