<助産師監修>母乳は虫歯の原因になる?夜間母乳はどうする?

歯ブラシを持つママと赤ちゃん
2020/11/04 2023/07/31 うるの加奈 うるの加奈

母乳が虫歯の原因になってしまうのかな?
赤ちゃんに歯が生えてくると心配になりますよね。
夜間に授乳をした後、そのまま寝てしまったら虫歯になってしまうのでは?
でも、母乳が虫歯の原因になることってないんですよ!

監修
公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会
公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会

桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。

現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ助産師たちによって、母乳で育てたいママを「技」と「心」でサポート。 桶谷式乳房管理士(助産師)が全国に約330施設ある桶谷式母乳相談室などで母乳育児支援活動を行っている。
https://www.oketani.or.jp/

 

歯が生え始めたら母乳はどうする?

歯が生え始めると、虫歯ケアが気になりますよね。
とはいっても、母乳をあげた後、その度に赤ちゃんの口内ケアをしてあげているママは少ないかもしれませんね。
母乳は虫歯に影響するのでしょうか?
特に夜間に母乳をあげていると虫歯になる! という話を聞いたことのあるママもいるのではないでしょうか?
毎晩何回も授乳をしていると、本当に大丈夫なのかな? と心配になってしまうママもいることでしょう。

母乳を飲む赤ちゃん

昔は「夜間授乳を長くしていると虫歯になります」と言われていましたが、全国約400の桶谷式母乳育児相談室「桶谷式母乳育児相談室」に通っている赤ちゃんを調べたところ、1歳になってもほとんどのお子さん(152人を対象に調査した結果)に虫歯が見られなかったそうです。

「虫歯があったのは授乳中の赤ちゃんではなく、断乳後の赤ちゃんだけ」

だったんです!
その理由を紐解いてみましょう。

 

虫歯になる原因は?

赤ちゃんにキスをするママ

そもそも、どうして虫歯になるのでしょうか?
意外と細かくは知られていない虫歯について、ちょっと解説してみます。

虫歯の原因は甘い食べ物と考えがちですが、それだけで虫歯になることはないのです。
口腔内に菌がないと、虫歯にはならないのです!
その菌とはミュータンス菌という細菌で、もともと赤ちゃんの口の中には存在していない細菌です。

噛み砕いた食べものを与えたり
自分が使ったスプーンやお箸で食べさせたり
ママやパパがキスをしたり

そんなほんのちょっとしたことで、赤ちゃんの口の中にミュータンス菌がうつってしまうんですよ。
そのミュータンス菌が口腔内にある糖分を栄養にして酸を作り出して、その酸で歯が溶かされてしまうのが虫歯なのです。

ママやパパの口の中にミュータンス菌が少なければ、それだけ赤ちゃんにミュータンス菌が移る可能性も減りますので、ママやパパに虫歯がある場合はできるだけ早いうちに治療をしておくといいですね。

 

母乳が原因で虫歯にはならないよ!

おやつを食べる赤ちゃん

ミュータンス菌の栄養となる糖分は、砂糖に含まれている「ショ糖」です。
ミュータンス菌がショ糖を食べると酸を出し、さらにネバネバしたデキストランという物質も出すことで、歯の表面に酸をくっつけてはがれにくくしてしまい、虫歯になってしまうのです。
母乳に含まれる「乳糖」もミュータンス菌の栄養となって酸はできるのですが、デキストランを出さないので、歯に酸が長時間くっつくことがなく、虫歯にはなりにくいのです。

虫歯があったのは授乳中の赤ちゃんではなく、断乳後の赤ちゃんだけだったということを考えてみると、その理由はいろいろと考えられますが、
ひとつには「母乳を飲むときの赤ちゃんの口の動作」が関係しているようです。
母乳を吸う動作は、舌や頬の筋肉を大きく使って、「ゴックンゴックン」と力強く飲まなければなりません。
このゴックンと飲む動作が、舌の動きをよくしてくれているのですね。 それを繰り返すことで、赤ちゃんの口腔内は大きくなっていきます。
また、口を大きく開けて乳頭をとらえ、舌の力で乳頭を上顎に押し当て、母乳をしごくように飲んでいく。この動作で上顎や歯茎がアーチ型になり、口腔内のいい衛生環境つくりに一役かっていると思われます。

つまり、歯茎が広がって口の中の天井が下がり、唾液の分泌も盛んになるのですが、この唾液が虫歯になりにくい口腔内環境を作る働きをして虫歯の予防にもつながるのです。

ですから、夜間の授乳が虫歯の原因になるというわけではなく母乳をやめてからの食事やおやつなどに気をつけることがとても大切なんですね。

虫歯の予防方法は?

歯磨きトレイニングをする子ども

赤ちゃんが虫歯にならないための予防方法を、わかりやすくPOINTでまとめてみましょう。

<虫歯予防のPOINT>
1)定時刻授乳に努め、だらだら飲みをさせない。
2)赤ちゃんの歯が生えてきたら歯みがきの習慣をつける。
3)間食は断乳までさせないか、歯に糖分が付着しにくい食べものにする。
4)赤ちゃんをケアする人(ママやパパ)の虫歯治療と予防が先決。
5)赤ちゃんの口腔内にミュータンス菌を移さない。


1)口腔内にミュータンス菌の栄養となる糖分が長時間あると、それだけ酸で溶かされる可能性が高くなります。
ですから、だらだらと長い時間かけての授乳はしないようにしましょう。

2)赤ちゃんの歯の生え方には個人差がありますが、だいたい生後6〜7ヵ月くらいで生え始めてきます。
なかには1歳くらいになって生えてくる赤ちゃんもいます。
歯みがきを始めるタイミングは、歯が生えたときからと思ってください。

<赤ちゃんの歯磨きケア>
最初は歯ブラシを使わずに、ガーゼなどで歯茎や歯に触れるようにして、口の中を触れられることに慣れるといいですね。
少しずつ歯ブラシを使うようにしていき、上下2本ずつ生えたら、本格的な歯磨きがスタート。
母乳は虫歯の原因にはなりませんが、離乳食がスタートしたら前歯の裏側もしっかりとみがくようにします。前歯の裏は食べもののかすが付着しやすく、お口の中にミュータンス菌があった場合、ここから虫歯になってしまうことがあります。

歯みがきが習慣になるといいですね。

3)間食をすると口の中に糖分が入っている時間が長くなってしまいます。
とくにたまごボーロやビスケットなどのショ糖をたくさん含む食べものはあまり与えないようにするといいですね。
飲みものも、ジュースや乳酸菌飲料、スポーツ飲料ではなく水・お茶をあげましょう。

4)赤ちゃんへのミュータンス菌の感染を防ぐためには、一番身近にいるママやパパが、事前に虫歯の治療をしておくことがとても大切です。
持っている菌をゼロにすることはできませんが、きちんとケアをすることで菌の数を減らすことはできます。

5)赤ちゃんへキスするだけでもミュータンス菌は移ってしまうと言われています。
大人が使ったお箸やスプーンで離乳食をあげたり、噛み砕いてからあげたりすることもミュータンス菌が移る原因となります。 


5つのポイントの予防を日頃から心がけておけば
母乳を飲むから虫歯になることはないので、安心して母乳をあげてくださいね。

ただ、虫歯になる要因は身近にたくさんあるので、ママやパパが赤ちゃんのお口のケアを気にしてあげると、赤ちゃんの口腔内にミュータンス菌が入り込むことがありません。赤ちゃんの身近にいる大人たち、みんなが注意することで赤ちゃんの虫歯を防ぐことができますよ。

 

母乳と虫歯の関係について教えてくれた「桶谷式」って?

桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。

第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。

また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。

現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ助産師たちによって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。

桶谷式母乳育児相談室 

「おっぱいが出ない」「おっぱいが痛い」「赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれない」「ちゃんとおっぱいが出ているか不安」という悩みを抱えたママたちに、乳房をやわらかくしておっぱいをスムーズに出す、独自のマッサージを行う全国約400の桶谷式母乳育児相談室。授乳や搾乳の指導も行っているので、以下「OPPA!」 から気軽に相談できますよ。

 

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