babyco編集長。書籍編集者。
新潟の山奥で肉用牛を飼育しながら、野菜やくだものを育てる祖父母のお手伝いをきっかけに、丹精込めて作られた食材のおいしさ、食べることや命の大切さを学ぶ。特集記事、離乳食やママごはんなど幅広く担当。ママ・パパの気持ちに寄り添った記事の制作を心がけている。
いつも笑顔で、どんなともだちとも仲よくできる。
いろんな教科でまんべんなくいい点が取れる。
それって、その子の性格の明るさや頭のよさといった才能のようなものなのかなと思っていましたが、じつは「非認知能力」という力が隠れているようです。一見難しそうに見えますが、どんな子でもみがけば光る力なんですよ♪
京都大学大学院 教育学研究科准教授。発達心理学を専門とし、子どものセルフコントロールや想像力に関する研究を行っている。NHK Eテレ「すくすく子育て」にも出演中!
0〜2歳に大切な非認知能力って?①では、非認知能力とはどういう力なのか、それが子どもたちの人生にどんないい影響があるのかをお話しました。
非認知能力が高まることで、わが子が10年、20年後の未来をしあわせに生きられるならば、伸びるだけ伸ばしてあげたいですよね。非認知能力を伸ばすために一番大切なことは何なのか、反対に、一番悪いとされていることは何なのかを考えていきましょう。
非認知能力の土台づくりで一番大切なのは、赤ちゃんのお世話やスキンシップによって生まれる“親子の信頼関係”です。じつは、子育てをする上で多くの方が当たり前のようにしていることなんですね。
非認知能力で大切な「子どもの自主性(目標に向かって努力する)」をはぐくむには、安心できる居場所が必要です。見守りつつも送り出してくれて、うまくいかなくても帰ってこられるあたたかい居場所。それが“親”なのです。あたたかさにあふれたママとパパから愛情をたっぷり感じると、「人を思いやる心」がお子さんにも伝わり、ほかの人にも自然と親切な気持ちをもてる子になります。
幼児期の子どもたちは“ともだち”という社会のなかで、人との付き合い方などをまなびます。0〜2歳に非認知能力を高めるための土台がきずかれていないと、ともだちとの関わり方がわからず、よりたくさんのことをまなぶ機会が失われてしまうのです。
非認知能力をはぐくむ上で親子の信頼関係が大切ならば、反対に、親子関係がきちんときずけていないと力の伸びに影響が出るといわれています。とくに悪いのは、赤ちゃんのサインを無視する、手をあげるなど子どもにとってストレスの多い環境です。頭をゴツンとする、おしりペンペンなどでも、0〜2歳以外の場合も基本的には許されません。極端な場合ですと、虐待はもってのほかです。思い通りにいかない子育てにおいて、やっていいことと悪いことの区別がつかない子どもに対してきつく叱ったり、疲れて相手をするのが億劫に感じたりすることがあるかもしれません。虐待のボーダーラインはどう考えたらいいのでしょうか。
ここでいう「虐待」というのは、
● 暴力
● 心理虐待
● ネグレクト(無視)
などを指します。
いずれも、子どもに大きなストレスを与えるため間違った行動ではあるのですが、このなかに1つ、非認知能力にとって一番悪影響を及ぼすと考えられているものがあります。
それは、「ネグレクト(無視)」です。
子どもが何をしても親が反応しない、肌と肌とのふれあいもないという、親子関係がゼロの状態がもっとも悪いとされています。しかし、一方で忘れてはならないのが、こうした環境の根っこに親のストレスが隠れているかもしれないということです。
私たちが生きている世界には、裕福な家庭もあれば、そうではない家庭もあります。赤ちゃんがどのような親のもとに生まれて、どんな環境で育って、どういう生活を送っていくのか。こればかりは、運命的な部分が大きいかもしれません。
研究では、裕福な家庭に比べて、そうではない家庭では子どもがストレスを感じる経験が多く、非認知能力の発達に悪影響を及ぼす可能性があることがわかっています。また、経済的に余裕がないと、親も余裕がもてなかったり、ストレス度が高かったりする場合が多く見受けられます。
非認知能力は、親以外の大人との関係でも支えることができます。例えば、幼稚園や保育園の信頼できる先生の存在なども、子どもの非認知能力を支える上でとてもよい効果があるんですよ。親のストレスを軽くするという点では、子育ての悩みを話し合えたり相談できたりする先生やママ友がいる、幼児教室なども頼れる場ですね。
非認知能力のお話PART3はこちら♪
イラスト:タオカミカ