赤ちゃんの汗対策!あせもは夏だけじゃない!
赤ちゃんの肌トラブルのひとつ「あせも」。
汗をかく季節にはとくに気をつけなくちゃ! と思いますよね。
夏の風物詩のように言われている「あせも」ですが、赤ちゃんが汗をたくさんかけば、秋でも冬でも春でもなることがあります。
一般的な「あせも」はとてもかゆいので、赤ちゃんも寝ている間に無意識にかいてしまいますし、あまりにかゆいとぐずって寝られない子もいます。
そんな「あせも」についての基礎ちしきをご紹介します。
帝京平成大学 ヒューマンケア学部看護科准教授
看護師として2年間手術室で働いたのち助産師の免許取得。大学病院、個人病院、助産院で、2000を超える出産に立ち会う。地域の保健センターで乳幼児健診・新生児訪問を通し、子育てママをサポートする。現在は大学教員として、
助産師・看護師の育成に力を注ぐ。共著に『実習に役立つ!国家試験に使える!母性看護学』『産後ケア講座』(ヒューマンアカデミー)がある。2男1女の母。
汗には塩分や雑菌、老廃物が含まれている
汗をかいたらお風呂に入れたりシャワーで流したりして、肌を清潔に保ちましょう、とよく言われますよね。それは、汗には肌を刺激するものが含まれているからです。
汗にはホコリや汚れ、塩分、雑菌、アンモニアなどの尿素、さまざまな老廃物が含まれていて、それらが肌にトラブルを起こす場合があります。正常に体内循環できる大人なら、汗をかくことで余計な熱を放出させて老廃物や雑菌を外に出してくれます。
ところが、赤ちゃんはまだからだの機能が本格的に始動できていません。ですから、汗をかいたらそれをスッキリ流してあげることが大切です。
※大人でも汗腺がつまりやすい人はけっこういるようです。また、免疫力が下がっていたり体調が悪かったりすると「あせも」ができる傾向があります。皮下脂肪の多い人は熱がこもりやすいので、あせもができやすいとも言われています。
あせもは、汗の道がつまってしまうのが原因
あせもは、たくさんかいた汗がうまく排出されずに皮フの内側にたまってしまい、それが皮フの組織を刺激することで現れる炎症です。
汗は、皮フの中にある「汗腺」という通り道から外へ出されるのですが、汗をたくさんかくと、汗に含まれる塩分や老廃物などが汗腺でつまってしまうことがあります。赤ちゃんは、汗腺のはたらきがまだ弱いのに加え、汗っかきなので、とくに汗腺がつまりやすくなります。つまって汗がそこにたまると、汗に含まれる成分が肌を刺激することで炎症が起きてしまう、これが「あせも」です。
あせもには「紅」「白」の種類がある!?
あせもは、皮フに赤い湿疹のようなものができてかゆいもの。というイメージがある思いますが、じつは種類があります。赤ちゃんの時期におもに見られるあせもの種類はこの2つ。
「紅いあせも」と「白いあせも」です。
⑴ 「紅いあせも」は紅色汗疹(こうしょくかんしん)。多くのママパパがイメージしているあせもがこれです。ぽつぽつと赤い湿疹ができて熱を持ち、ヒリヒリしたりチクチクしたりすることがあります。かゆみが強く、長く掻きむしってしまうと細菌感染症の「とびひ」や「多発性汗腺膿瘍(たはつせいかんせんのうよう)」になってしまうので、赤ちゃんがかきむしらないように少しでも早く治療をしてください。
⑵「白いあせも」は水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)。小さな透明の水ぶくれがプツプツとできて、あまりかゆくありません。比較的治りが早いのがこの種類です。
ほかにも、熱帯地方に住んでいる人に多く見られるあせももありますが、日本ではこの2種類が主流のようです。
あせもができやすいのは、赤ちゃんが汗をよくかくところ
あせもができやすいのは、あせもの原因となる「汗がつまってたまるところ」です。ですから、赤ちゃんが汗をたくさんかくところに注意をするといいでしょう。
️赤ちゃんが汗をよくかくところ
・頭から首、耳のうしろ側
・わき、背中、お尻、
・太ももの内側、ひざの裏、ひじの裏
がおもな場所です。もちろんこれ以外にも、汗をたくさんかくところにあせもが現れます。
となると、赤ちゃんが汗をかくのってほぼ全身! ですよね。からだの面積が小さい(せまい)ので、汗をかくと全身がぬれてしまう状態になります。
あせも、乳児湿疹、アトピー性皮フ炎。見分けられるかな?
赤ちゃんにはあせもの他にも湿疹ができることがあります。でもそれが、「あせも」なのか「乳児湿疹」なのか「アトピー性皮フ炎」なのか見分けはつきますか? 初めての子育ての夏。わたしはこどもの肌に赤い発疹を見つけて、「アトピー性皮フ炎だったらどうしよう」と少し不安に思ったことがあり、一見同じような発疹だったので、すぐに皮フ科に行った覚えがあります。
あせも
いまお話ししたように、あせもが出るキーワードは「汗をたくさんかく場所」です。首のまわりや首の後ろ側、わきの下などのくびれ。太もも、ひざの裏やひじ、お尻、背中などによく見られます。この部分は汗がをたまりやすい場所です。
乳児湿疹(乳児脂漏性湿疹)
乳児湿疹というだけあって、生まれて最初に見られる湿疹の多くがこれでしょう。赤ちゃんだからできるのではなく、皮脂の分泌が多すぎるとあらわれてきます。湿疹ができる場所は、顔・おでこ・頭・首・お腹などからだの広い範囲。赤く小さなプツプツや黄色い湿疹、表面がザラザラすることもあります。
アトピー性皮フ炎
ママパパが気になる症状ですよね。アトピー性皮フ炎は、2ヶ月以上かゆみを伴う湿疹が続いたり、保湿剤や薬をぬって一時的には収まるけれど、またくりかえしあらわれるという特徴があります。顔まわり・背中・お腹・手足などの肌の柔らかい場所に出やすく、肌が乾燥していることも多いです。
赤ちゃんの肌に炎症が見られたら、小児皮フ科のお医者さんに診てもらおう
それぞれの皮フ炎は、見た目は同じようでも原因が違います。炎症を起こしていたり、気になったり、治るのに時間がかかっているようなら、すぐにお医者さんを受診するようにしましょう。
よく、
皮フ科がいいですか?
小児科がいいですか? と聞かれます。
いちばんいいのは小児皮フ科のお医者さんです。まず診てもらうならホームドクターやいつも通っているお医者さんもいいでしょう。
こどもの救急(厚生労働省研究班/公益社団法人 日本小児科学会監修)
まだかかりつけのお医者さんが見つかっていないなら、近くの小児科で診てもらって、症状によっては皮フ科を紹介してもらうと良いかと思います。
気になる「ステロイド薬」。赤ちゃんにつかっても大丈夫?
ママパパなら「ステロイド薬」が気になりますよね。あせもの治療薬だけではありませんが、炎症を起こしている肌の状態や重度によっても変わるので、受診したお医者さんに聞くのがいちばんです。
ステロイド薬は炎症を抑えて症状を改善させるのによく使われます。赤ちゃんや小さな子どもに使うステロイド薬は刺激が弱いものを処方されるはずなので、あまり心配しすぎることはありません。それでも処方される薬が何かを率直に聞くことが大事ですし、量や期間など、お医者さんの指示通りにすることも重要です。
薬は、自己判断や思い込みで、つけたりつけなかったりすることのないようにしましょう。
また、薬は小さなお子さんが誤って食べてしまったりしないように、ママパパだけが触れる場所に保管しておきましょう。
赤ちゃんのあせも。予防でできること・しちゃいけないこと
あせもは事前に予防ケアができます。もちろん、すべてのあせもを防げるということではありませんが、重症化しないためにママパパができることはありますのでぜひ、おうちで試してみましょう。
汗をたくさんかいたら ぬるめのお湯でスッキリ流してしっかり乾かすこと
あせもにならないようにするには、やっぱり汗をきれいに流すことです。とくに気温が上がる季節で、赤ちゃんが汗をたくさんかいたら何回でもシャワーで洗い流しましょう。皮脂やホコリなどのよごれも一緒に洗い流したいので、お水よりお湯を。肌に刺激を与えたくないので、ぬるめのお湯がベターです。
スッキリ洗い流したら水気をやさしく拭き取ります。
タオルでゴシゴシはNG! 優しく軽く吸い取るようにぱたぱたぱたと、できるだけ摩擦を起こさないようにします。肌の表面に傷がついてしまうと、そこから雑菌などが入り込んでしまうので、水滴をすいあげるように拭きましょう。
ポイントは「よく乾かす」こと。乾燥した清潔な肌をたもつこと。
汗をかきにくいお部屋づくりは湿度にも気をつかおう
肌がきれいになったら、お部屋も快適にしましょう。
汗をかきにく心地よい環境ってどういうものだと思いますか。
「暑くしないようにエアコンをつけて涼しくしておく」
は正しいですが、湿度もとっても重要です。高温多湿になればなるほど汗は出やすくなりますから、赤ちゃんと一緒に過ごすお部屋は、湿度調整もお忘れなく。お部屋に除湿機を置くなど、おおよそ50〜60%くらいの湿度を目安に、汗をかきにくい環境をととのえましょう。
自己判断で薬を選ばないこと!これ大事!
これはあせもだから、あせもの薬を買ってくれば大丈夫。と簡単に考えてしまうことも多いですよね。でも、もしかしたらあせもじゃない可能性もあります。赤ちゃんの肌はバリア機能がまだととのっていませんので、市販薬が強すぎてしまうこともあります。
自分で薬を選んで患部に塗ったり、お風呂に入浴剤を入れたり、炎症を抑えようと保冷剤や氷で冷やしたりすることはあまりおすすめできません。応急処置と称して病院に行くのを後まわしにしたり、自己判断で治そうと思うのは赤ちゃんの健康のためにもあまり良いことではありません。まずはお医者さんに診てもらって相談をしてほしいと思います。
最初にもお話しましたが、
「あせも」は夏だけに限りません。 寒い季節にもなることがあります。
たとえば!
お部屋の設定温度が高すぎたり、ママパパが寒いからといって、暖房がついている室内で厚着をさせた結果、赤ちゃん汗びっしょり! なんてこともあり得ます。冬場だからママパパが気づかないことも多く、そのままほおっておくと首まわりやわき、背中、ひじ、ひざ裏あたりにポツポツと発疹が出てきて「何かにかぶれた?」と皮フ科で診てもらったら「あせも」です、と言われてびっくりすることも少なくありません。
赤ちゃんの肌を健康にたもつためにも、ときどき「汗をかいていないかな」と、汗チェックをしてみましょう。
いつも赤ちゃんの様子を見守っていることで赤ちゃんの健康チェックはできるものです。
この記事を書いた人
書籍・雑誌の編集者であり、知育アドバイザー。絵本をはじめ子育て・知育・教育学習本などの企画から編集制作に携わる。
15年前にスタートした育児情報誌『babyco』を通して、上手な子育てには親の学びがとても大事! 親として学び途中なんだから失敗したっていい! と思うようになりました。知っていれば子育てで起こる様々な出来事について対処できます。突然何か起きても、知っていれば考えることもできます。学んで知って考ることで、子育てがもっと楽しく深くなっていくんじゃないかな〜と。さあ! 親が学べるbabyco、親育のためのコンテンツをたくさんつくっていきますよ。私たちも一緒に学んでいきます!