食品会社での会社員経験をしたのち、スキー雑誌の編集部に勤務。その後、フリーライターとなり、スキーやスノーボード、ボディボード、ゴルフ、自転車、旅行、ファッションなどさまざまなジャンルを執筆。桶谷式母乳育児で子育てをした一児の母でもあり、現在はbabycoにて自分の育児経験を生かした記事の執筆を行っている。
母乳のあと、赤ちゃんにゲップをさせたいのに出ない! とお困りのパパママ。
どうしてゲップをさせるの?
ゲップが出ないとどうなるの?
いつまでゲップをさせる必要がある?
何度も嘔吐しちゃったけれど、平気なのかな?
そんな疑問に助産師さんがお答えします!
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ助産師たちによって、母乳で育てたいママを「技」と「心」でサポート。 桶谷式乳房管理士(助産師)が全国に約330施設ある桶谷式母乳相談室などで母乳育児支援活動を行っている。
https://www.oketani.or.jp/
「授乳後にゲップをさせましょう」と両親学級や病産院で教えてもらっても、いざゲップをさせようとするとうまくゲップが出ないことってありますよね。
これがわかっていると、ゲップが出ないときにもどうすればいいかも見えてきますよ。
<ゲップをさせる理由>
◆授乳中に一緒に飲み込んでしまった空気でお腹が張って苦しくなるのを防ぐため
◆その空気で飲んだ母乳やミルクが押し上げられて吐き戻すのを防ぐため
大人になると、空気を一緒に飲み込むようなことはなくなりますが、赤ちゃんはまだ「飲む練習」をしているところなので、空気を含みやすいんですね。
そしてもうひとつ、大人とは大きな違いがあります。
赤ちゃんの胃は縦長の形をしていてトックリのようにくびれがあり、胃と食道をつなぐところもまだ筋力がないのでしっかりと閉じることができません。
ですから、ちょっとの圧迫や衝撃で吐き戻しをしてしまいやすいのです。胃袋も小さいので、おっぱいやミルクを胃袋の容量以上に飲んだり、穴の大きい哺乳瓶で飲んで空気がたくさん含まれてしまったりすると、お腹がはって戻してしまいます。
そんな吐き戻しを防ぐためにも、胃の中にたまった空気をゲップで出すことが必要なんですね。赤ちゃん自身も、飲んだあとゲップをすることでお腹がラクになります。
ゲップはそうしたことを防ぐのに必要なことなんです。
ゲップはうんちとも関係しています。
胃と腸はつながっているので、納得ですよね。
うんちが溜まっているとガスがお腹に溜まり、空気が上へと出てきて吐いてしまうことも多くなります。
ゲップとおならは赤ちゃんにとって付き物です。3日以上うんちが出ない場合は、綿棒などを使って肛門を刺激してあげるとガスやうんちが出て、吐き戻しを改善できることもありますよ。
もうひとつお問い合わせに多いのは、
ということ。
ゲップをさせる時期は個人差があるのですが、だいたい生後5〜6ヵ月頃までといわれています。
腰が座ってくるようになると、自分で寝返りをうったり体勢を変えたりできるようになって、赤ちゃん自身が動くことで自然とげっぷが出るようになるからです。
縦抱きで
◆胸のあたりで縦抱きにして、赤ちゃんのあごを肩にのせます。片方の手で赤ちゃんをお尻からしっかり支え、もう片方の手で赤ちゃんの背中を下から上へとさすってあげましょう。
◆お尻を左右に軽く揺すってあげるのもおすすめの方法です。
この体勢は赤ちゃんとママの体が密着するので、安心感も得られます。
膝の上で
◆膝の上で赤ちゃんのお腹を下にしたうつ伏せにします。頭が胸よりも高くなるようにして、背中をやさしくトントンとしてあげましょう。
この体勢は赤ちゃんの体が伸びるので、ゲップが出やすくなります。
<背中トントンのポイント>
赤ちゃんの背中をトントンと軽くたたいてあげる時、手の形を少し丸めたコップのような形(カップハンズ)にしてみてください。平手でトントンするよりもあたりがやわらかくなり、お腹の中の空気が上へと上がりやすくなると言われています。
トントンと細かく背中を叩くと気泡が細かくなるので、ゲップが出にくい子はこのやり方をしてみてもいいでしょう。
赤ちゃんのこんなようすがみられたら、お腹に空気がたまってしまい、ゲップをしたがっているのかもしれません。
◆グズグズと大泣きしている
◆口をパクパクする
◆うなったりいきんだりしている
◆何度も吐き戻しをしている
一度ゲップをしていても、飲み込んだ空気の量が多い場合はまたゲップをしたくなることも。少し姿勢を変えたりしながら、ゲップをさせてあげてみてくださいね。
赤ちゃんが泣くと、
と思って、ついついおっぱいをあげてしまうママもいると思います。
でも、本当に母乳が足りないのでしょうか? 実はその逆、「お腹がいっぱいで苦しいよ」というサインということもあるのです。泣いていても、お腹に空気が入っていて苦しいという場合も。
言葉が話せない赤ちゃんだからこそ、いろんなパターンを想像してみてあげてくださいね。
ゲップのさせ方について紹介してきましたが、実は、授乳後のゲップは必ず出るとは限りません。乳頭を深くしっかりとくわえて、上手に母乳が飲めている赤ちゃんはあまりゲップをしません。
「ゲップが出ない」と桶谷式相談室でも相談を受けることもありますが、ミルクの赤ちゃんに比べて、母乳の赤ちゃんはあまりゲップが出ないものなんです。
5分くらい、ゲップが出るように背中をさすったり、トントンと軽くたたいたりしても出ない時は、そのまま様子を見てあげて。
赤ちゃんによってはゲップが出やすい体勢もあるので、いろいろな体勢を試してみてくださいね。特にゲップが出なくても、機嫌よくしていたり、寝ていれば気にしてなく大丈夫です。
寝かせる時には横向きにして、嘔吐に備えてタオルなどをひき、少し頭の位置を高めにしておくといいですね。
授乳した後は赤ちゃんも大満足!
そこでちょっとパパの出番です。ゲップ当番、してみませんか?
母乳はあげられないパパも、母乳育児でできることはあるんです。
授乳をするとママはとっても喉が渇きます。水分量が足りないと母乳不足になることもあるぐらい、ママの水分補給は大切なこと。喉が乾いていなくても授乳は疲れるので、授乳後のゲップをパパが担当することでママも授乳後の水分補給ができたり、ちょっとひと息つけますよ。
コツをマスターすれば、パパだって大丈夫!
赤ちゃんにとって母乳の時間は、安心をえられる何ものにも変えがたい時間。そんな母乳タイムをママだけに任せておくのはもったいないですよ。赤ちゃんと安らぎのひとときを、ゲップをさせながらスキンシップをとって、ぜひ分かち合ってくださいね。
また、母乳の時間は3時間おきで、それが毎日続きます。毎日のことだけに、「さっきあげたの何時だったっけ?」とわからなくなることも。
授乳の時間をアプリなどでパパが管理しているよ!というご夫婦もいらっしゃいます。
夫婦で力を合わせて母乳育児を進めてくださいね。
ママの母乳育児関する悩みには
■おっぱいが出ていないみたいで不安
■おっぱいが痛い…これって乳腺炎?
■赤ちゃんがうまくおっぱいを飲めていないみたい
など、たくさんありますよね。
そんなママの悩みを解決してくれるのが、桶谷式の助産師の方々。授乳や搾乳の方法など母乳育児に関することなら、なんでも答えてくれるエキスパートなんですよ。
例えばおっぱいが出にくいという悩みには、オリジナルの乳房マッサージで柔らかくしておっぱいを出やすくしてくれたりもします。
今回はそんな桶谷式の助産師さんたちに、「ゲップが出ない」と悩んでいるママへ回答いただきました。
直接悩みを相談したい!というママは、全国約330箇所にある「桶谷式母乳育児相談室」に、気軽に相談することもできますよ。
授乳や搾乳の指導も行っているので、以下「OPPA!」 から気軽にご相談ください。
桶谷式母乳育児とは助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、つまり心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
現在は、桶谷そとみの意志を引き継いだ後進達によって、桶谷式母乳育児推進協会を発足させ、桶谷式乳房管理法の正しい伝承と桶谷式乳房管理士の育成、母乳育児支援活動を行っています。現在の会員数は550名。全国の助産院(母乳相談室)をはじめ、病産院で皆さまの母乳育児をサポートしています。
イラスト/いいあい